第125話【コスパ】

「じゃあ鶴瓶さん何食う? 肉まんとか色々有るけど」

「あー私はホットスナックはパスだ、 コスパ悪い」


買物籠を持つ鶴瓶。


「コスパ悪い?」

「ちょっと沢山買うと直ぐ1000円超えるじゃない、 それだったら

普通に御飯食べに行くよ」

「じゃあ何を食べるんだ?」

「カップ麺とかかなぁ」

「・・・・・この店、 お湯のサービスは無いっぽいが・・・」

「このコンビニ長くないぞ」

「それはまぁ同意見」


余り清掃が行き渡っておらず商品配列も乱れている。


「イートインスペースが有るしホットスナックにしとこうぜ?」

「うーん、 それだったらおつまみ的なのにするかなぁ・・・」

「おつまみだったら酒も欲しくならねぇ?」

「君、 未成年でしょ」

「今更な指摘だなぁ・・・」


薬物を打っている者に言う台詞では無い。


「まぁ良いか、 所詮さっき貰った人の金、 多少コスパ悪くても問題無い」


そう言うとさっきのブリーフィングの時に貰った財布を取り出して

適当に揚げ物と肉まんを買ってイートインスペースに行く鶴瓶と誠也。


「・・・・・あんまり旨くないな」

「普通のスーパーの肉まんを蒸した感じだ・・・」

「あれはあれで好きですけどね・・・」

「そうか・・・まだやってるな」

「何が?」


鶴瓶が外を指差す。

まだ根古が強面の男に叱られている。


「あれもコスパ悪い」

「?」

「住宅地のど真ん中と言う立地なのにあんなにガミガミ言って

店の評判が落ちる事が分からないのかね」

「それは分かります・・・おっ、 終わったみたいですね」


コンビニの中に入って来る根古の前に立つ鶴瓶と誠也。


「?・・・な、 何か・・・」

「日暮 根古さんですね?」

「そ、 そうですが・・・」

「実は少々お話がしたいのですがお時間宜しいでしょうか?」

「・・・・・涼風さん、 ちょっと出かけるのでお店お願いしますね」

「はーい」


アルバイトの娘に店番を任せて自宅へ移動する根古。


「勘弁して下さいよ!! 店にまで来るなんて!!」

「何の話ですか?」

「・・・・・借金取りの方では無い?」

「違いますよ・・・と言うかまた借金をしているんですが」

「娘を売って返済したのにまた借金とは・・・」

「売った? 何を言っているんですか

娘はノギクボ製薬でアルバイトをしている筈です」

「「はぁ?」」

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