第123話【葵の人生】

ファイルを開く誠也。


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日暮 葵(18)

カグラッツ=サンフレアと陽炎 洋二との間で生まれる米国とのハーフ。

しかし洋二は葵が赤子の頃に怪人被害で殺害されサンフレアは日暮 根古と再婚。

葵が小学校高学年の頃にサンフレアと根古は離婚し、 サンフレアは葵を置いて出ていく。

その後、 根古は男手一つで葵を育て上げるが、 事業を起こして失敗し

根古は借金のカタとして葵を売り払う。


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簡単な葵の半生を見て眩暈を起こす誠也。


「エグイな・・・」

「葵とは話した事は無かったのか?」

「六頭さん、 私達はあんまり話した事が無いのよ、 知らないの?

監視カメラは一体何のために有るのかな?」

「それは失礼した、 鶴瓶さん

それで如何する? まずは通っていた葵が通っていた高校から行くか?

それとも家から行くか?」

「家・・・に行っても仕方ないんじゃないの?」

「何故?」

「借金のカタに娘を連れて行ったって事は父親も・・・」

「いやこの記述だと父親は葵を売って自分だけ助かったって事じゃないの?」

「外道じゃないこの父親・・・」

「マッドサイエンティストに言われちゃおしまいだわ」

「じゃあ父親の所に行って下さい」

「行って下さいって・・・六頭さんは来ないの?」

「三人は多過ぎますし、 私は別行動をとります」

「さいですか・・・」


立ち上がる鶴瓶と誠也。


「あ、 そうだそうだ、 忘れていた、 御二方右手を出して貰って良いですか?」

「?」


言われるがまま右手を出す誠也と鶴瓶。

かちゃり、 と腕時計の様な物が着けられる。


「何だこれ?」

「発信機ですよ、 逃走防止用の奴です、 無理矢理外そうとしたら分かりますので

よろしくおねがいしますね」

「・・・・・腕をぶった切れば良くないか?」

「私は嫌よ、 腕を切るなんて」

「そう言う事ですのでよろしくおねがいしますね」


誠也と鶴瓶の二人はそのまま部屋を出た。

発信機に向かって唇をぴちゃぴちゃ合わせる鶴瓶。


「・・・何してるんだ?」

「いや、 どうせ盗聴の機能も付いているんだろうなって思って悪戯を」

「・・・・・」


誠也は『この発信機を如何するか?』等の話し合いをするつもりだったが

盗聴されている可能性があるのなら止めておこうと思った。

マッドサイエンティストでも年長者だ、 と素直に感心した。

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