第122話【葵の地元】

葵の故郷で有る青蘭市のノギクボ製薬の支社にやって来た誠也達一行。


「どーもどーも!! 私青蘭支社の支社長を務めております

青田 苅と言います、 どうもよろしくお願いします警備部の御三方!!」


禿げた中年男性が頭を下げる。


「まぶし・・・」

「ご丁寧にどうも有難うございます」


六頭が青田と握手をする。


「ささっ!! どうぞこちらへ!!」


青田が先導して社内を進む。


「・・・警備部の三人?」

「一応、 我々は表向きには警備部と言う事になっている」

「はぁ・・・」


青田に付いて行く三人、 ある一室に通される。


「この部屋は防音なので喋っても問題有りません、 勿論盗聴も検査済みです

ささっ、 どーぞお座りください」

「どうも・・・」


促されるままに座る三人。

青田は資料のファイルを持って来る。


「えーっと、 今回の目的はウチの支社から

回っていたモルモットが脱走したと言う事で・・・」

「あ、 そこは知っているんだ」

「は?」


誠也の呟きに反応する青田。


「すみません、 彼は若手でして・・・」

「あぁそーなんですか、 私共はモルモットの提供をしていますが

何の実験に使われたのかは知らないのですよ」

「なるほど・・・」

「ですがモルモットの逃亡なんて初めてですよ

そしてモルモットがこちらに来ていると考えていらっしゃる?」

「えぇ、 詳しい内容は答えられませんがね、 モルモットにはそれが可能です」

「そうですか・・・詳しい資料はこちらになりますので、 私はこれで・・・」


青田は禿げた頭を下げて部屋を出て行った。


「まぶし・・・って手伝ってくれないの?」

「あくまで拠点と情報の提供だけだ、 機密情報だからなるべく漏らしたくない」

「そう言う事か・・・でもさ、 故郷に戻ると言うのは有るのか?」

「手掛かりが無いからまずはここからと言う所だ」

「はぁ・・・大変そうだなぁ・・・」

「そうでも無いんじゃないの?」


鶴瓶がファイルをヒラヒラさせる。


「情報はこのファイル一つだけみたいだし」

「何と言うか悲しいよ

俺と同年代なのにファイル一冊に纏められる人生だなんて」

「そうでもない、 ニュースで被害者の誰々さんよりは有情な人生だと思うぞ」

「マスゴミなんて糞だ」

「それは同感だ

マスコミのせいで倫理が厳しくなって実験が出来ないとか有ったなぁ」

「マッドサイエンティストと意見が合うのは嫌だなぁ」

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