第121話【経済活動】

貨物トラックに偽装した移動式作戦本部に乗って

誠也と鶴瓶は六頭からブリーフィングを受ける事になった。


「ブリーフィングって言ってもそんなに変わった事起きて無いんじゃないのか?」

「そうでもない、 怪獣11号の出現や政府主導の対怪人部隊の設立

そして組織的な行動を取る怪人達が確認されている」

「組織的な行動を取る怪人? ノギクボ製薬みたいな人造の怪人部隊って事か?」

「いや、 正体は分からない、 だが組織的な行動を取っている怪人が居るらしい

さっき言った政府主導の対怪人部隊、 通称【C2号部隊】を襲撃し

多くの死傷者を出したと言う、 強固な盾で武装し

ダンプカーを用意していた事から

そんじょそこらの連中が徒党を組んだとは考えにくい

数も100以上、 はっきり言ってそんな大勢が訓練も無しに

組織的行動を取れるとは思えない」

「・・・超凄い怪人が統率しているとか?」

「外国からの刺客とか?」

「分からない、 一切が謎だ」


沈黙が流れる。


「怪人の組織が存在すると言う事は怪人のリクルートをしてくる奴もいるかもしれない」

「怪人のスカウトマンって事?」

「怪人誘拐屋と言う事も考えられますよ」

「誘拐か・・・嫌だなぁ・・・」

「いずれにせよ怪人組織が何の目的で動いているか分からない以上

警戒は必須だ、 君達の安全確認もしなくてはならない」

「何の目的か分からないか・・・そういえばウチの目的は何なんだ?」

「ウチの目的?」

「ノギクボ製薬が怪人を造る理由だよ」

「・・・・・」

「そうか、 誠也君は知らなかったんだね」

「鶴瓶さん、 説明して無かったんですか?」

「ごめんごめん、 当然の事だから分かるかなぁって思ったんだよ

良いかい誠也君、 怪人を造る目的

それは怪人を造る為に決まっているじゃないか」

「は?」

「怪人を造れる技術が有るのなら、 怪人を造るでしょう?」

「マッドサイエンティストじゃねぇか・・・」

「あー・・・鶴瓶さん、 それは貴女の個人的な意見でしょう

誠也君、 我がノギクボ製薬が怪人を造る目的は単なる商品開発

つまりは経済活動です」

「経済活動?」

「怪人を商品として売り出して新しい市場開拓を行う

それが我が社の目的です」


六頭の説明に絶句する誠也。


「・・・・・・・死の商人じゃねぇか・・・」

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