第120話【捜索】

二度寝から起きて食堂で朝食を食べる誠也。


「おはよー」


鶴瓶が朝食を持って誠也に前に座る。


「おはようございます」

「聞いた?」

「何を?」

「葵ちゃんの捜索に私達も出るんだってよ」

「本当ですかそれ?」


ノギクボ製薬の研究施設にずっと閉じ込められていた身に取っては

外に出られるのは仕事だとしても嬉しい事だ。

しかし信じ難い話だった。


「見張りは居るけどね」

「あらら・・・でも久々の外だ、 楽しませて貰いますよ」

「一応仕事よ」

「うーん・・・社会経験無いけども地方に出張に行くみたいなノリで行こうかなと」

「君は出張を舐め腐っているのか?」


若い美男子がやって来る。


「誰だアンタ?」

「君達の監視役を務める六頭だ」

「あぁ・・・さっき俺達を叩き起こした」

「それはすまんかったよ、 でも仕事だしな

食事が終わったら直ぐにでも出発しようと思うが構わんね?」

「拒否権が有るの?」


笑いながら誠也が尋ねる。


「無いよ」

「葵ちゃんは始末します?」


鶴瓶がサンドイッチを頬張りながら尋ねる。


「見つけ次第抹殺、 目撃者も始末しておいてくれ」

「あー・・・目撃者を殺す必要は無いんじゃないのか?」

「どういう事だい誠也君」

「俺は大麻の怪人だから目撃者にはヤクを打ち込んでおくよ」

「なるほど、 それなら証人として成立しないな」

「それってまどろっこしくない?」


鶴瓶がかったるそうに合いの手を入れる。


「まどろっこしいってバンバン人を殺したかないよ俺は」

「人を殺すよりも薬物中毒にした方が後腐れが無いし良いと思います」

「ならそれで良いか」


サンドイッチを全部食べる鶴瓶。


「そうだ、 連絡用に君達に渡す物が有る」

「携帯か?」

「ポケベルだ」


ポケベルを二人に渡す六頭。


「・・・・・何だ、 これ?」

「誠也君、 ポケベル知らないの?」

「知らないなぁ・・・」

「君達には発信機を付けて貰うがこのポケベルで30分毎に連絡をして貰う」

「何でポケベルなの?」


当然の疑問を口にする鶴瓶。


「携帯電話を渡すと色々と厄介な事になるかもしれないからな」

「そんなに警戒しなくとも逃げやしないよ」

「いやいや、 これは君達の身を案じているんだよ」

「はぁ?」

「どういう事ですか?」

「外に出て移動中にブリーフィングを受けて貰おう、 今外が如何なっているか」

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