第79話【鶴瓶 亜紗の野望】

『・・・脱走の打ち合わせ?』

『まぁ聞きなさい、私達はこれから生物兵器な様な事をさせられるんだよ』

『あの糞親父・・・』

『私は怪人になる事は素晴らしい事だと思うけども

この扱いは流石に許容できない、いや最初の内はそれでも良いかな

と思っていたんだ、でも段々良くが出て来てね・・・

この力を思う存分自由に振るいたい、そう思い始めたの』


完全にヤバい奴の反応だ、と誠也は思った。


『だ、だけど爆弾が体内に埋め込まれているんだろ?』

『それなんだけど怪人の力を使えば使う程

使いこなせるようになって来ているのよ

つまり何れは体の中から爆弾を取り除く事も出来る様になると踏んでいる

今の段階で爆弾が体内の何処に有るのか分かって

位置を移動出来る様になっている』

『おぉ・・・』

『爆弾の問題はこれで解決する・・・

脱走も壁を壊せる程の力だから大した問題は無い

だけど戦力的な問題が有るのよ』

『戦力?』

『怪人ハンターを呼ばれたら如何しようも無いと思う

私は怪人だけど元々は研究者、喧嘩は愚か戦いもした事が無い

超人的な力を得てもプロに勝てるかは怪しい』

『なるほど・・・それで?』

『君の様な新しい怪人を待っていたんだよ!!

これから新しい怪人がどんどん来るだろう、そして機を見計らって脱獄すると言う訳さ』

『なるほど・・・良いじゃねぇか、乗った』


誠也は二つ返事でこの提案を受け入れた。

自分を勝手に怪人にした父への反抗心

自由への希求、その他諸々の感情で合意したのだ。


『二人共、何をギーギー言っているんだ?』


スピーカーから翔の声がする、如何やら怪しんでいる様だ。


『・・・人間に戻るぞ

我々の声は呼吸音とか鳴き声とかそういう感じで口裏を合わせよう』

『分かった・・・』


人間に戻る鶴瓶と誠也。


「ふぅ・・・怪人になると息をするのが五月蠅くて叶わんな」

「・・・・・だな、ちょっと不慣れだわ・・・」

『そうか・・・今日はこの辺にしてもう休むか?』

「そうするよ、じゃあ俺は何処で寝れば良いんだ?」

「久々に生身の人間に会えたんだ、少しお喋りでもしないか?」

「例えば?」

「怪人の起こした事件で一番興味深い事件は何か、とか」


やはりこの女はヤバいと何度目かの確信を得た誠也だった。

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