第43話【試験】

禍蜻蛉ファンクラブに参加希望を出して数日後。

夢宮のSNSアカウントに試験を行うのでとある貸し会議室に来る様に呼び出された。


「微妙に遠いなぁ・・・」


自分が居る県とは他県なので憂鬱になるも我慢して向かう夢宮。

一応試験なのでスーツと革靴を購入して散髪を行い、出るであろう問題を暗記して

呼び出された時間の30分前には貸し会議室の有る建物に着いた。

しかし・・・


「誰も来ていない・・・もしかして担がれた?」


不安になったが禍蜻蛉ファンクラブが会議室に予約を入れたので間違いは無い筈と

貸し会議室で待機する夢宮。

暫くすると眼鏡をかけた女性が入って来た。


「!?誰!?」

「今日試験を受けるドリーマー(夢宮のSNS上でのハンドルネーム)です」

「・・・もう来てたの・・・禍蜻蛉ファンクラブの会長をしてます、誰眼鏡です」

「本日はよろしくお願いします」

「よ、よろしくお願いします・・・

と、とりあえず他の人が来るまで待って貰えますか?」

「分かりました」


誰眼鏡が来てから暫くして何人かファンクラブのメンバーがやって来た。


顎鬚が特徴的な男性のCOW。

ファンクラブでは場所取りを主に勤めている。


「スーツとか面接じゃないんだから・・・」


チャラチャラした赤いワイシャツの男の顆粒。

役職は特に無いが人気が高い。


「良いじゃん、良いじゃんまじめそうで」


壮年の和服の男性の装荷崎。

ファンクラブの中でも有名な資本家。


「・・・・・」


そしてアイドルの松柳玲子。

禍蜻蛉の映像化作品には大体出演しているそれなりの知名度が有る。

彼女もファンクラブの一員である。


「オフで近所だから来ちゃいましたー」

「誰?」

「誰?」

「誰?」

「ちょいちょーい!!」


これが彼女の持ちネタである。


「今日はお時間を割いて頂き有難うございます」

「いや良いんだよ、ちょっと集まって話し合う予定が有ったから丁度良かったよ

君もそんなスーツ着てるけどもっと気楽に構えて貰って良いんだよ?」


顆粒が夢宮を気遣う。


「はい・・・それで如何いった試験を行うのですか?」

「とりあえず簡単な筆記をやって貰って、面接かな」

「分かりました」


誰眼鏡からプリントを貰い解き進める夢宮。


「期待出来そうな人ですね」

「そうですね」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る