第44話【面接】
禍蜻蛉の作品を熟読した夢宮にとって試験は難しい物では無かった。
全て解き終えた後に見直しを行い無事筆記試験は終了した。
「・・・・・凄いじゃない、満点だ」
採点を行った誰眼鏡が絶句する。
「もう面接する必要無いんじゃない?
禍蜻蛉さんのここまで熱烈なファンも珍しいしー」
顆粒が軽くそう言う。
「いや・・・人柄は知っておく必要があるだろう」
装荷崎が重々しく口を開く。
「装荷崎さんが言うなら仕方ないですが・・・
俺もこの子のファンクラブ加入には賛成です」
「COW君、決まりは遵守しなければならない、そうだろう?」
「でも装荷崎さん、メンバーが」
「COW君、それは秘密の筈だ」
「おっといけね・・・」
「・・・それは如何いう事ですか?」
夢宮が口を挟む。
「・・・・・」
しまった、と言う顔をするCOW。
「ドリーマー君、世の中には知らなくても良い事が」
「別に良いじゃないですか装荷崎さん
最近ファンクラブのメンバーが不幸な事故に遭った事なんて喋ったって」
「顆粒さん!!」
誰眼鏡が声を荒げる。
「まぁまぁ落ち着けよ、ドリーマー君、彼等は神経過敏になっているが
最近は物騒だからこういう出来事が有るよって話だよ
別に我々の関係者が連続殺人をされている訳じゃないんだ
もしファンクラブに入って困った事が有れば抜ければ良い、そうだろ?」
顆粒がまくし立てる。
「・・・えーっと・・・じゃあ面接を始めしょうか?」
松柳が話題を変えようとする。
「じゃあまず俺からだ、さっきの話を聞いて如何思った?」
COWが尋ねる。
「興味深いですね、ミステリーとかは好きなんで詳しく知りたいです!!」
「自分も被害に遭うとは思わないのか?」
「うーん、でもファンクラブに入る=死ぬ訳じゃないですよね?」
「そりゃ勿論だとも、ファンクラブに入って死ぬなら
デスファンクラブになっちまうじゃないか」
けらけらと顆粒が笑う。
「・・・思ったより根性の或る小僧だな」
「そ、そうですね・・・」
装荷崎と誰眼鏡が好意的に見る。
「・・・じゃあ何か他に聞きたい事有る人居ます?」
「あ、じゃあ私、禍蜻蛉先生の作品で一番好きな作品は?」
「大洞探偵の事件簿ですかね、一番最初の奴」
「私もー」
その後、面接と言うよりは同好の会話の様な質問が続き面接は終了した。
結果はその場で合格が言い渡された。
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