第41話【ファンクラブ】

夢宮は座って話をする事にした。


「夢宮君は何注文する?ズズー」

「じゃあ・・・カツカレーで」

「がっつり食べるんだね・・・」


タピオカとカプチーノが呆れる。


「プリンセスさん、何でそう思うんです?」

「何を?」

「いや、だから何でこの二人が怪人の仕業だと?」

「良く聞いてくれました!!実は怪人の行動にはパターンが有るのよ」

「パターン?」

「怪人が暴れて人を殺すのは無差別じゃなくて一定の規則性が有るの

無差別と言うパターンも有るけど」

「・・・・・」


考える夢宮、確かに無差別殺人よりは動機の有る殺人を行う奴の方が多いだろうと推測する。


「これはね、有名な怪人ハンターも実際に行っている有力説なのよ!!」

「で、でもプリンセスさん・・・無差別というパターンも有るって言っている時点で

ちょっと信憑性が無いかと・・・」


カプチーノがぼそぼそと言う。


「いえ、怪人にも人格が有ると思います、ならばあり得ない話じゃないですよ」

「ドリーム君分かってるぅ!!」


テンションを上げていくプリンセス。


「でもこの二人にどんなパターンが有るのですか?

凶器が一緒なだけな感じもしますが・・・」

「良くぞ聞いてくれました!!

この二人は実は禍蜻蛉って言う小説家のファンクラブに入っていた二人なのよ!!」

「禍蜻蛉?」


プリンセスの言葉に首を傾げる夢宮。


「大洞探偵の事件簿シリーズで有名な小説家の禍蜻蛉って知らない?」

「知らないですね」

「ズズー、同僚が面白いとか言ってたね」


タピオカがアイスコーヒーを啜りながら言う。


「学校の図書館にも有りました、面白い冒険小説でした」

「一応推理小説なんだけど・・・兎に角殺された二人は

禍蜻蛉のファンクラブに入っていて最近脱退したのよ」

「脱退?何故?」

「最近の禍蜻蛉作品が面白くなくなったから、らしいよ

推理のトリックとかが滅茶苦茶で雑になったって」

「推理物の皮を被った冒険小説として見たら面白いですよ?」


カプチーノがフォローする。


「恐らく次も脱退した

禍蜻蛉ファンクラブ会員が殺されるに違いないって思うのよ!!」

「それでプリンセスさん、これから僕達は如何するんです?」

「如何する、って?」


プリンセスの上がったテンションが困惑で鈍る。


「禍蜻蛉ファンクラブ会員を怪人が襲う、この事実を如何扱えと?」

「如何扱う、って・・・私達は怪人の考察をするネット住民よ?

如何も出来ないんじゃない?」

「・・・折角オフ会に参加したんですから首突っ込んでみませんか?」


三人が驚愕する。

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