第39話【失敗の報告】

翌日、校長室で向かい合う滝と校長。


「怪人がもう一体現れた?」

「あぁ、そいつに標的の怪人が始末された」

「怪人同士の殺し合い・・・ですか?それは良く有る事なのですか?」

「俺が知る限り初めて見た・・・それに何と言うか・・・

今まで見て来た怪人の中でも相当強い感じがする奴だった・・・」

「そ、そうですか・・・それで今日は如何いった御用件でしょうか」

「あぁ・・・今回俺がここに来たのは依頼の失敗の報告に来た」

「失敗?」

「あぁ、怪人の始末を依頼されたのに怪人を横取りされた訳だ

これは依頼の失敗に外ならない、契約により手付金の返還と支払い義務を取り消させて貰う

これが手付金の一千万円だ」


そう言って滝は一千万円を校長の前に置く。


「それは・・・ありがたい話ですが

もしその・・・貝の様な怪人を殺した怪人と言うのか仕手人の可能性は・・・」

「無くはないかもしれない、だが俺は戦わない」

「な、何故です?」

「割に合わない

もしも奴と戦えと言うのなら前金一億、成功報酬で更に一億を求める」

「二億ですって!?そこまでの怪人が居るのですか!?」

「あぁ、世の中には怪人一匹にウン十億なんて懸賞金かけている奴もいる位だ

強い怪人の首にはこれ位の金がかかっているっていう事だ、じゃあな」


校長室から出る滝、滝は校長室の外に出て携帯電話を取り出して通話を始めた。


「もしもし、廉太郎か?滝だ」

『滝か、如何した?もう怪人仕留めたのか?』

「いや、逆だ、怪人を横取りされた」

『横取り?長谷川か?』

「いやアイツじゃない、知らない怪人だ

甲殻に身を包んだ三葉虫みたいな怪人だ」

『怪人が怪人を・・・?初めてのケースだな、それで依頼は如何なった?』

「失敗だよ」

『馬鹿正直に答えたのか!?』

「しゃあねぇだろう」

『ばっか、相手が怪人なら手柄持って行っても良いだろう!!』

「そうもいかねぇだろう、俺は不労取得とかそういう楽して稼ぐのが嫌いなんだ」

『全くお前は・・・本当に身勝手だな!!今回無駄に時間を使っただけか!!』

「弾とガソリンも無駄に使ったぞ」

『茶化すんじゃない!!良いか!!お前は一応個人事業主なんだから

もっと経営を真面目に』

「あーはいはい、分かりましたよ、ったく・・・」


そう言いながらバイクの所まで歩く滝であった。

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