第36話【パターン】

翌日、生徒会で一人座る人峰。


「・・・・・」


野木久保とも連絡が付かなくなった事から尋常じゃなく震えている。


「・・・・・」


人峰は携帯電話を取り出し電話をかける、通話先は自分の父親である。


『只今電話に出る事が出来ません、ぴーと言う発信音の後に』


電話を投げ捨てる人峰。

彼は母を早くに亡くし父や人峰流書道の高弟達によって厳しく育て上げられた。

お陰で自分は人峰流書道の達人で跡取りにまでなれた。

しかし何処か心が満たされない、その満たされない心を女を買って埋めている

母親を何処かで求めているのだろうか、しかし今は恐怖に震えている。

自分の身近な人物が立て続けに居なくなったのだ。


「畜生!!如何すれば良い!!」


生徒会室で暴れる人峰、数十万、数百万単位の調度品が次々と壊れていく。


「あーあー勿体無い」


生徒会室に入って来る滝。


「!?だ、誰だ!?」

「怪人ハンターの滝っつーもんだ、よろしくな」

「怪人ハンター!?怪人を殺してくれるのか!?」

「落ち着け、ここの校長から怪人の駆除を依頼されたんだ

とりあえず座れ、話をしよう」


着席を促す滝、人峰は座る。


「まず落ち着いて聞いて欲しいんだが、多分次に殺されるのは

十中八九人峰君、アンタだ」

「な、何だって!?」


座って立ち上がる人峰。


「一体何の根拠が有って言っているんだ!?」

「落ち着け、一昨昨日、一昨日、昨日と生徒会メンバーが次々と殺されたり

行方不明になっているんだ

ならば一つの例外を除いて次のターゲットは間違い無くアンタだ」

「・・・・・例外って言うのは何だ?」

「犯人がアンタ、ってケースだね」

「・・・・・ふざけれるのか?」

「ギャグでも言わないと持たないかなと気を使ったんだが」

「・・・・・」


ジト目で滝を見る人峰。


「怪人ってそんなパターンみたいな物が有るのか?」

「ある、これは経験上確信を持って言える」

「・・・・・」


再度座る人峰。


「それでアンタが僕を守ってくれる、って事か?」

「少し違うな、俺がアンタの傍に居て、その怪人が来た所を殺す、って事だ」

「・・・それは守ってくれるって事じゃないのか?」

「アンタを守るのは契約には入っていない」

「・・・じゃあ僕を守る分の契約金を払うよ、五百万で如何だ?」


手元の鞄から札束を出す人峰。


「ぼっちゃんは金払いが良いねぇ、校長先生とは大違いだ」

「それはどうも」

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