第23話【ヘンリーの身の上話】

ヘンリーは自分の身の上話を語って行った。


『僕はねー日本人とアメリカ人のハーフでねー

でも両親が離婚してねー日本にやって来て生活したから

見た目は外国人なのに英語が苦手なんだよー』

『・・・それはお前が怪人だと言う事に関係有るのか?』

『んー・・・無いかも、ごめんねー、でもねー僕はねー

そういう普通とは違うから友達とかも居なかったんだよー』

『・・・・・』

『それで友達が少ない僕はね自然を愛する様になったんだよ

ナチュラリストになった理由って奴だねー』

『・・・それで?』

『・・・・・あんまり思い出したくないからボカして話すけども

当時本当に殺したくてしょうがない奴が居たんだよ

それで気が付くと怪人になっていたんだよ、君はどんな感じ?』

『・・・怪人に家族を奪われて・・・それで怒りに任せて叫んでいたら・・・』

『そうか・・・きっと人を憎む心が怪人を生むんだと思う、良く分からないけど』

『・・・それで如何したんだ?』

『殺しに行きたかった、でも人を殺すのは良くない事だと僕は思うし

人が気に喰わないからって殺すのは嫌いなアイツと同じになっちゃうから嫌だったんだ

だから我慢したんだ』

『我慢?』

『うん、僕はナチュラリストでね

禅とか瞑想とかそういう心を落ち着かせる事が得意でね

それで体を集中させて怪人から人間に戻る事が出来たんだ』

『ナチュラリストって凄いな』

『うん、でもなんだかねー我慢している内にどんどん体が大きくなってねー・・・

気が付けばこんなサイズになっちゃったんだよー・・・

こんなんじゃ街中で暮らせないからこうして山の中に埋まっているって訳だよ』

『つまり人を殺さなかったから体がこんなに膨れ上がったと?』

『そうだねぇ・・・このまま大きくなり続けたら

怪獣と見做されて殺されちゃうかもしれない』

『気の毒に・・・』


夢宮はヘンリーを気の毒に思った、怪人になってしまったこの心優しき男

いや女だか分からないが兎に角気の毒だと思った。


『78君は如何してここに?』

『怪人が気に喰わなくて怪人を殺す旅に出たんだ、そこで怪人と戦っていたら

警官に銃で撃たれて山の中に逃げて来たんだ』

『そーなんだー、怪人の治癒力なら暫くすればきっと治るよ

治るまで山の中で暮らすと良い』

『そうだな・・・そうしよう・・・』

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