第22話【大幼虫】
山中に逃げ込んだ夢宮、怪人から人間に戻り射殺の危険性は無くなった物の
銃弾によるダメージがまだ残っている。
病院に行きたい所だが銃弾を喰らったとなると
警察の厄介になる事は避けられない、通常の銃弾ならまだしも
怪人用の特殊弾薬を身に喰らって生きている人間等居ないのだから
警官の厄介にならなくても奇異の眼で見られ警戒されるのは確実である。
「はぁ・・・はぁ・・・」
激痛に顔を歪めながら山の中を進んで行く夢宮。
「・・・・・何で山の中を進んで行くんだ?」
普通に考えれば山の中に隠れるだけならば進む必要が無い。
なのに何故か夢宮の足は山の中に進んで行く。
「・・・本能と言う奴か」
怪人を追い求める本能、その存在を夢宮は己の中に感じている。
超音波を発した栗林は置いておくとしても
先程戦ったヤマアラシ怪人にしても、蜘蛛怪人にしても
本能的な物で怪人を察したのだろう。
「こんな山の中に怪人が居るとは信じられないが・・・行ってみよう」
山の中を進む夢宮。
山の中を進んで行くと足元に不自然な感覚がした。
妙に柔らかいのだ、まるで何かが埋まっているかの様に・・・
「・・・・・!!』
夢宮の体が怪人に変わって行く、この下に怪人が居ると確信した。
夢宮は拳を地面に叩きつけた。
『いたーい』
間の抜けた声が響き、足元を揺らす、夢宮は転んで倒れてしまう。
そして地面から隆起して来たのは怪人・・・いや怪獣だった。
その姿は幼虫だったがサイズは20mは軽く超えているだろう。
そんな生き物が夢宮の前に現れた。
『なにするのー』
間の抜けた声でこちらを非難する大芋虫。
『お前怪人だろう?』
『でも何もしてないよー、こうして埋まっているだけ』
『埋まっているだけ?』
『そうだよ、僕はねーナチュラリストでねーこうしてねー
山の中にねー居てねー埋まって自然と一体化してるんだよー』
『ナチュラリスト・・・ねぇ』
『君も怪人だろー』
『まぁそうだけどさ・・・何でそんなに大きいんだ?』
『最初はねちっちゃかったんだよ、普通の人間位の芋虫だったんだけど
だんだん大きくなって来て・・・それで山の中に入る事にしたんだー』
『人間の姿になっていれば良いんじゃないのか?』
『最初は出来ていたんだけどねーだんだん難しくなってきたんだよー』
『如何いう事だ?』
『おしえてあげるー、その前に君の名前はー?』
『・・・78と呼んでくれ』
『ふーん、変なのー、僕は倉畑ヘンリーって言うんだ、よろしくねー』
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