第15話【人生】

「両親は?まだ健在ですか?」

「???・・・あぁまだ無事だ」

「御兄弟は?」

「最初から居ない、ついでに言うと爺ちゃん婆ちゃんも健在だ」

「そうですか、アンタ恵まれているよ」


キッパリと言い切った夢宮。


「・・・何?」

「鈍色の青春だの何だの言っているがこのご時世に怪人の被害に遭わず

家族と死に別れた事も無い、お前は誰が何と言おうと恵まれている

お前が誰かを殺せば遺された家族は色が抜け落ちたモノクロの人生を歩む事になる

辛い人生になるだろう、お前の大好きな桜子さんだって

恋人が亡くなって辛い想いをしているのは分かるだろう!?」

「分かるとも!!だから気にかけているじゃないか!!」

「殺したのはお前だろうが!!」

「子供に何が分かる!?」

「怪人に親を殺された事も無い奴が何を言う!!」


互いに姿が怪人に変わる夢宮と栗林。


『徹君、昨日は油断したがこうして相対すれば

俺には君の攻撃は通じないぞ?

蝙蝠は耳が良いんだ、エコーロケーションって奴だな

超音波で相手の位置を完全に把握する、つまりお前が何をしようとも

俺は全て察して避ける事が出来るんだ』

『・・・・・』


持って来た鞄から道具を取り出す夢宮。


『道具を準備しているのは想定済みだ、こ・・・い・・!?』


拡声機を見た途端に狼狽える栗林。


『お前、それは!!』

『ぎゃあああああああああああああああああああああああああああ

ああああああああああああああああああああああああああああああ

ああああああああああああああああああああああああああああああ

ああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』


拡声機で思い切り大声を出す夢宮。

耳を押さえる栗林、如何やら耳がイカレてしまった様だ。


『馬鹿がッ!!ここで怪人が大声を出して見ろ!!

警官なり軍隊なりの特殊部隊がやって来て怪人なんて殺されてしまう!!』

『その前にお前を殺す!!』

『付き合ってられるか!!』


栗林は空を飛んで逃げようとする。

しかし排水パイプを伝って上に昇り追いかける夢宮!!


『逃がさんぞ!!』

『ふざけんじゃねぇ!!』


排水パイプを攻撃する栗林、排水パイプは砕けたが

夢宮は指で思い切り建物を掴みガシガシと上に昇って行く。


『・・・・・ちぃ!!ならば場所を変えるッ!!』


そのまま更に羽ばたき更に移動する栗林。

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