第8話【桜子】
喫茶店の上の階にある住居スペースに通される夢宮。
一つの部屋の前に通される、部屋には『さくらこのへや』と書かれた
プレートがかけられていた。
「桜子ー?ちょっと良いか?」
飾玉はドアをノックして中に居る自身の娘に尋ねた。
「・・・・・」
「実は今日から新しく暫くウェイターを雇ったんだ」
「・・・・・」
部屋を少し開けて目を覗かせる少女。
「・・・・・」
「夢宮 徹君だ、バイクの知識が欲しいから暫く仕込む代わりに
ウェイターをやって貰う、徹、これがウチの娘の桜子だ」
「よ、よろしくお願いします」
部屋の扉が閉められる。
「・・・・・え、えーっと嫌われましたかね?」
「彼氏が居なくなって落ちこんでいるんだ、そっとしておいてやってくれ・・・
所で徹は住む所は如何するつもりだ?」
「ビジネスホテルでも泊まろうかなと」
「ウチならビジネスホテルの半額で泊めてやっても良いぞ?」
「良いんですか?娘さんも居るのに見知らぬ男を泊めるって言うのは・・・」
「何だお前娘に気が有るのか?」
「いや・・・そのちょっと心配かなぁと」
「気にするなよ、ちょっと汚れているけど、使って無い部屋が有るんだ」
徹は別の部屋に通した、ベットは有るが床はギシギシ音がしている部屋だった。
「蜘蛛の巣も張っているじゃないですか・・・」
「だが悪い所だけじゃないぞ、窓を開けて見ろ」
「?」
夢宮が窓を開けるとそこには階段が有った。
「火事の際に非常階段から逃げられる」
「角部屋って事ですか?」
「俺も若い頃は非常階段から逃げ出した事が有ってなぁ・・・
夜中にコンビニ行きたくなったりした時にも良いだろう」
「はぁ・・・」
「それじゃあ飯にしようか」
「良いんですか?」
「金を取るんだし飯位作ってやるよ、簡単な奴だけどな」
「へぇ、どんなのですか?」
「米にハンバーグソースを混ぜて炒めて卵を乗せた
デミグラスオムライス丼とか」
「美味しそうですね」
「具は入って無いぞ?」
「具無しの方が好みなんですよ、具が入っているとぼそぼそして」
「分かる、米を喰っている感じがしないんだよな
あ、そうだ、出来たら桜子の所に持って行かないと」
「一緒に食べないんです?」
「色々気を使うんだよ・・・」
そんなこんなで食事を終えた夢宮は部屋に入り、軽く掃除をした後に床に就いた。
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