第7話【おやっさん】

ライダーズカフェで喫茶店の手伝いを初めた夢宮。

そして喫茶手伝い初日、最初の客がやって来た。


「おやっさんコーヒー」

「おう、ってお前かよ・・・待ってな、今淹れる

徹、ちょっと手伝え」

「はい」


奥のバイク屋スペースから出て来る、飾玉と夢宮。


「ん?おやっさん、誰だいその人」

「バイクのメンテナンスについて教える代わりに

今日から暫く手伝って貰う事になった徹だ」

「ふーん・・・桜子ちゃんはまだ寝込んでいるの?」

「あぁ・・・心配だがな・・・」

「桜子?」

「俺の娘だ、最近恋人が行方不明になってな・・・

見つかった荷物にべっとりと血が付いていたらしくて・・・

それで気が気じゃないって寝込んでるんだ」

「そうですか・・・」

「おっと折角の御客さんの前で辛気臭い話になっちまったな、コーヒーだったな

待ってろ、直ぐに豆を挽くから」

「ええ、大丈夫ですよ・・・」


飾玉はコーヒーミルにコーヒー豆を入れて回し始め挽いた粉を

ペーパードリップでコーヒーを淹れた。

客はその間、静かに待っていた。


「ほい、御待たせー」

「ありがとうございます」


コーヒーを客に手渡す飾玉。


「・・・僕要らなくないです?」

「いや、お昼時とか結構混むんだよ」

「そうなんですか・・・」


事実、その日の昼時は混み入って大変だった。

捌き切るのがやっとだったが目立ったヘマも無く滞りなく客を捌けた。

そして仕事の合間にバイクのメンテナンスについて学んでいく夢宮。


「・・・徹、お前の働きぶりとバイクのメンテナンスに対する姿勢を見ていて

思ったんだが・・・ちょっとお前集中力が高過ぎないか?」

「どういう事ですか?」

「全力で物事に取り組むと言うか・・・何と言うか真剣味が半端じゃない

お前にとってバイクでの旅って一体何なんだ?」

「うーん・・・人生ですかね?」

「人生?まぁ分からなくも無い、俺もバイクを走らせていた頃はそんな感じだった

だがお前はバイクについて素人だったんだろ?それなのにバイクが人生っておかしく無いか?」

「僕の場合は旅の方が人生、と言う感じですかね?」

「・・・良く分からんな・・・とりあえず今日はもう夜も遅いしここまでにしよう

飯を食おうか、あ、それから桜子にお前を紹介しておこう、付いて来い」

「はい」

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