第2話【男らしさ】

お茶を出して切ったメロンを出す夢宮。


「・・・・・御両親は御病気で?」

「いえ・・・怪人に殺されました、遊園地に現れて・・・僕を庇って・・・」


俯く夢宮。


「夢宮君、泣いちゃ駄目、男の子でしょ?」

「会長さん・・・」

「男ならばしっかりとしなきゃ、ね?天国に居る御両親も

病院に居る叔父さんも安心出来ないわ」

「・・・・・」

「所で叔父さんの医療費とか生活費は大丈夫なの?」

「えぇ、保険で賄えますし・・・僕もバイトしています」

「そうなの・・・何処でバイトを?」

「豆腐屋のバイトです」

「豆腐屋・・・まぁ良いでしょう、でも学業は大丈夫なの?」

「一応は高校に居ますが・・・何ですか?」

「・・・夢宮君、私はね、なよなよしていたけど亭主を早くも亡くし

子供も居ないのよ、それでお金は充分に有る」

「・・・それで?」

「夢宮君、私の養子にならない?」

「え?」

「頼りになる親戚が居ないのでしょう?」

「ですけど基本的に叔父さんは記事を書くのに出張も良く行くので

一人暮らしには慣れています」

「そうなの・・・

でもね私は大人として子供を導いていかないといけないと思っているの」


立ち上がる町内会長。


「最近の男は駄目な連中が多い、男らしさに欠けていると思う

ウチの亭主しかり変な職業に就いている人が大勢居る、男らしさに欠ける」

「は、はぁ・・・」

「昔の男は良かった、女を引っ張る甲斐性って物が有った」

「それが僕を養子にする事と何の関係が有るのですか?」

「私が貴方を男らしく教育したいのよ」

「え、えぇ・・・」

「勿論、男らしくと言っても漁師とか警察官とかそういう仕事だけじゃないわ

エリートサラリーマンとかそういう職も私は理解が有る」

「うーん・・・僕にはちょっと・・・」

「気持ちは分からなくもないわ、険しい道だもの

だけども険しい道だからこそ進まなきゃならないのよ

過去に苦しい事が有っても私達は生きている限り

前に進まなきゃ行けないんだから」

「・・・・・」

「・・・今日は急過ぎたわね・・・一旦帰ります、良く考えて見て頂戴」


町内会長はそのまま夢宮の家を後にした。


「・・・・・」


一人残された夢宮は茶碗を片付けて一人で考え込んだ。

これからの事とこれまでの事を、もしもこの日町内会長がここに来なければ

彼はこのまま悲劇が有ったが平凡な人生を送ったのかもしれない

しかし運命は彼に平穏を許さなかった。

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