【夢を見ました】


夕飯の片付けが終わった家の中は蒸し暑く、息苦しい。

娘と散歩に出ることにした。

歩いているとのどが渇いてきたが、小銭など持っていないので自販機が使えない。それでも散歩を続けることにした。


町の中を歩いていると、空に星がたくさん見え始め、どんどん数が増えていく。そして夜空は星で埋め尽くされた。

以前、星を見るために山の公園に行った時は、こんなに見えなかったのに、歩いてすぐの所で見えるとは。やはり思ってるのと違うことは多いのだ。


星をながめながら町を歩いていると、御所の石垣が見えてきた。

御所の中はもっと星が見えるのではないかと、入ってみた。

しかし中は昼間のように明るくて、星など見えるはずがない様子だ。

巨大な太鼓が真ん中で串刺しにされ、大人も子供もシーソーのように乗って遊んでいる。なんだか暑い。


御所の外に出ると、相変わらずの夜の町。

娘が「この町の灯りが消えてしまうようなことがあると、怖いね」と言う。

私は「灯りなど全部消え、暗闇がいい」と言うと、「私はお母さんとは違うよ」と返された。

灯りを背にした工場は巨大な黒い影になり、心が重くなった。


突然アインシュタインの顔が浮かび、彼は数式で何かを見つけたから、気楽になったんだろうな、と思い巡らしながら歩いた。

そして、私は何も見つけられないから、地上でもがき苦しみ続けなければならない。


アインシュタインは何を見つけたんだろうか?偉大な数式だけで、人生が変わるのだろうか。

私は黒々とした影の森を歩き、さまよい始めた。

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