家
【夢を見ました】
今、都合で別の町に住んでいるので、家に帰るには長いドライブをすることになる。
運転していると腰が痛くなる。腰が痛いと何事もおっくうに感じ、気持ちも沈んでくる。
やっと家に着いた。家族がそろって食卓を囲んでいて、おばあちゃんがトマトを切ってくれた。
皮付きのトマトをほおばっていると、気を使わなくてすむ家があって本当に良かったと、しみじみ思う。
腰が痛くて不機嫌になっていようが、どういう状況でも居場所があるのはすごいことだ。みんな私を放っておいてくれる安心感。
次の日出かけることにした。久しぶりだし、一人で気楽に自転車で北白川に行こうと思ったのに、二人ついてくると言うので、結局三人で連れ立って出かけた。雨が降ってきた。
商店街でワゴンセールがあった。売れ残りの商品などが積み上げられている中に、以前私が作ったバッグを見つけた。長い間店先でもみくちゃにされて、古くなってぐちゃぐちゃになった挙げ句、安価な札を付けられてワゴンの端っこに放り込まれている。
以前手作り品をたくさんつくっていたが、今は遠のいているから、この有様だ。何か思い出さなければ次は作れない。
気を取り直すために、烏丸のアクセサリーショップへ行くことにした。
しかしついてきた二人が、いつまでもかまってくるのでうっとうしい。
店に入っておしゃべりに夢中になっているうちに、自転車を置き忘れてきたのに気づいて取りに行ったりしたので、大勢で行動するのは面倒な気がする。
いったん家に帰った。服も着替えて仕切り直しをしよう。
家の中はすでに仕事の人でいっぱいなので、隅の方に隠れるようにしながら、あまり脱がないように工夫してさっさと着替えた。
次は電車で行くことにした。
今回も誰かが一緒だ。さっきと違う誰かがついてくる。しかも行き先を決めるのは私ではないので、逆に私が付いていくはめになった。
どこか知らない駅で電車を降りると、ホームからすぐにエレベーターに乗りかえる。
エレベーターはワイヤーが切れたのではないかと思うくらい急降下する。
そして間もなく水平移動して、扉が開いた。
扉の向こうに巨大な岩山が現れ、ごつごつした岩をむき出しにして赤い光を反射させている。山に人が大勢、まるで蟻のように群がっている。
私は思わず叫んだ「ここはどこですか?」すると連れは、当たり前のように「市内やで」と言う。
風景が怖いし、暑くて息苦しいので、一人で行こうとして駅を探す。
駅はその赤い岩山の向こう側だった。
人々がぞろぞろ同じ方向に歩いている。
赤い光を浴びないように、できるだけ日陰を通るようにして、山の陰から裏にまわった。
薄暗い山の裏に古い集落が現れた。どの家の屋根も、粗末な
軒の高さが私の背丈もないくらい低い。その暗い軒先から家の奥まで洗濯物がぎっしりと干してある。怖い。
駅を目指して大勢の人が歩いているが、集落の風景に目を止める人はいない。自分以外の人間に目を向けることもない。
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