小学校

【夢を見ました】


小学校の周りの植え込みは、葉のない低木である。

逆上がり用の鉄棒から裏に入ると、人気のレストランが開店しているといううわさ。

誘い合って何人かでぞろぞろ行ってみた。

庭木に埋もれた店からはすでにいい匂いが辺りに漂い、期待はふくらむ。

しかし、茂る枝をかき分けて行った先には、店も何もなかった。

噂というのはこんなもの。一緒にいる人たちも影のよう。


そうしているうちに、学校の真っ暗な廊下を走っている。曲がり角では足を滑らせて闇に取り込まれそうになって転んだ。

必死で起き上がって闇を振り払うようにして走った。


校庭は白いコンクリートで固められている。

同じ白い体操服を着た人たちが、大勢で同じ行動をしているのが見える。

私は娘を連れてその向こう側に行きたい。

そのためには白い校庭を通り抜けるしかない。


同じ服を着た人たちが同じ行動をし続けている所に近づくのは怖かったけれど、彼らは私たちに気付いても、絶対に団体行動からはみだすことができないので、何もできない。


怖いと思うのは、最初のうちだけだ。


通り抜けた先に、大きな山が現れた。上の方は霧がかかって見えない。

山の斜面にはぎっしり家が建っている。斜面がきついので崩れ落ちている家もある。

そして今まさに海に崩れ落ちようとしている家が見えた。

窓から小学生の女の子が顔を出している。と、次の瞬間、女の子は窓からジャンプして家を脱出し、すごい高さから落ちたのに、無事に着地した。

そして彼女は海が見える方向に歩いていった。


小学校の校舎はとてつもなく高く巨大なジャングルジムで、渡り廊下も危ない。

子供たちはみんな落ちないようにしがみついている。無事に過ごせるかは自分自身の問題で、自己責任だそうだ。


教員の姿はなく、錆びて輪郭が崩れ落ちた拡声器から声だけが響く。とぎれとぎれで言葉が聞き取れないし辺りに響き渡るだけなのに、何のことか分からない話を延々と続けている。


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