第171話テスト勉強

翌日、お昼になる頃には、三人で家に帰っていた、凜と麻莉菜は昼御飯を作り初めると、晴斗はテーブルで勉強させられていた。

「晴くん、テレビを見ない、消しなさい」

「……」


テレビを消すと麻莉菜に「お利口」と言われ、バカにされたと感じた晴斗は、深い溜め息をついて二人を見ていた。

「勉強しなさい…どうして晴くんは怒られると笑うの?」

「心配されてるって思うと‥嬉しくてね」

「毎日心配してるよ…勉強して待っててね」


返事をして、勉強を始めた、数十分後にお昼御飯の支度が終わると、テーブルから教科書などを片付けた。


三人でお昼御飯を食べ終わると、各自自分の部屋で勉強を始めていたが、ドンドンと窓ガラスを叩く音が聞こえた。

「誰、友達呼んだ?」

「私‥呼んでないよ」

「なんか買ったっけ?優樹姉達かな?」


晴斗は窓ガラスを五センチほど開けると「どちら?宅配?」と聞くと、ひょこっと恵が姿を現した。

「今勉強中なんだ‥じゃ」


窓を閉めると、コンコンとノックされ、一センチ開けて覗いた。

「私も友達と勉強してるんだよね、前みたいに勉強しよ」

「嫁さんに入室許可取って…から」

「晴くん、誰に何言ってるの?」


振り向くと、真後ろに立っていた。

「恵が来てる、一緒に勉強しょって‥」

「来たなら入れてあげて」

「お嫁さんから入室許可が降りたよ、勝手に入って」

「鍵掛かってる」


晴斗は窓ガラスを閉めて玄関に向かうと、ケラケラと数人の笑い声が聞こえた、チェーンを掛けてドアを少し開けた。

「恵だけじゃねぇの?」

「友達と勉強してるって言ったよ」

「知らん…恵の家でやれよ、てか‥何人?」

「三人」

「あぁ、ここのアパート重量制限でブザーがなるんだよ」


晴斗がチェーンの隙間から覗いていると、足を踏まれた。

「晴くん、女の子に重いとか言ったらダメだよ、せっかく来たんだから入れてあげて」

「恵だけじゃないんだよ」

「…そ、そうなの?」

「うん…どうする?帰らせる?」

「凜ちゃん、一緒にしよ、家では凜ちゃんの許可がいるんでしょ」

「…ゲッ‥美優紀が居るのかよ‥ダルぅ」


晴斗はバタンとドアを閉めると「…来たなら入れてあげて」と凜に言われて、チェーンを外した。

「可愛いお嫁さんの優しい心で、特別に入室許可が降りたよ」

「嫁嫁うるさい‥分かったから邪魔」


晴斗は押されて角に追いやられ、友達三人は家に入ると、凜が寝室に案内していた。

「へぇー、広いね…誰の部屋?」

「わ、私の部屋」

「晴斗の制服も掛かってるね」

「俺はリビングだから服置いてるんだ…家の中では女が強いんだ‥従妹に部屋取られたんだ‥‥」


晴斗は背を向けると、肩を落として教えていた、ふーんと言われると皆はテーブルを囲んでいた。

「俺の座る場所‥‥どこ?」

「床」

「金輪際、美優紀は出禁な、今日は居て良いからな」

「な、なってうるさい、座りなよ」

「…うざ」

「晴くんの口癖だよね」


凜が言うと、友達たちは頷いて笑っていた、晴斗は教科書とノートなどを持ってベッドに寝転んだ。

「晴くんが参考書持ったら勉強出来ないでしょ、教えてあげるからおいで」


子供に言い聞かせるように言われて、晴斗は静かに座ると、クスクス笑われた。

「家では警戒してないんだね」

「あぁ、してないな」

「やっぱりモデルの晴じゃん」


晴斗は皆が髪を見ていると分かり、両手で頭を隠した。

「あっ‥‥似てるらしいからな‥‥‥染めたんだ」

「見苦しい‥‥毎回晴斗くん見てると思う‥見苦しい」

「二度言うな、そっくりさんだ」

「…そういうことにしとこうね」


溜め息をつかれると勉強が始まった、凜と参考書を見ながら教えられていた。

「…あぁ、凜の声は落ち着く‥頭に入ってくる…」

「こら、すくサボる」

「…あぁ‥ビックリした」

「ごめんね」


勉強を再開していたが、美優紀と優香は二人でこそこそ話していた。

「晴斗くんって学校とはイメージ違うんだね」

「自分ではわからん」

「口調も普通なんだね」

「うるさい、勉強の邪魔すんな…お嫁さんに怒られる」

「晴くん、すぐそういうこと言わないの」

「…だって‥」


凜に足をつねられると静かに勉強を始めた、皆で押し合い教えていたが、晴斗は長続きしなかった。

「飽きた」

「前もそうだけど、晴くんは二時間しか持たないね」

「何でだろうな、凜の声で覚えた方が早いんだよな」

「なんか、晴斗くんが気持ち悪いこと言ってるよ」

「美優紀ってうるさいね、出禁だからな」

「凜ちゃんの許可貰ったからね」

「とにかく一言多いんだよ、静かに勉強しろ」


晴斗はリビング向かい、飲み物を飲んで寝室に戻ると、黙り混んで凜の勉強を横目でみていた。

「やっぱり集中できないな、凜、ちょっとリビングに来て」  

「どうしたの?」

「お菓子でも食べようかと思ってな、ちょっと来て」


凜も静かに立ち上がると、リビングに来ていた。

「晴くんお菓子食べないでしょ、どうしたの?」

「勉強頑張るから‥ハグしてほしい…恵一人なら良いんだけど、二人の前だから‥‥」

「晴くんは学校で抱き締めてくるよね」

「凜には俺がいるって見せたいから‥‥」

「他の男子に告白されても晴くんしか見てないよ」

「嬉しいけど、家なのに落ち着かない‥から…ハグしたい」

「ハグしたらお勉強頑張れる?」

「頑張る」

「晴くんなら聞かなくても良いんだよ、おいで」


晴斗は嬉しそうに抱き締めると「子供扱い嫌い」と教えた、凜も抱き締めていた。

「晴くんが聞くなんて珍しいね」

「…参考書見てたら、相手してほしくて‥寂しかったな」


そっとキスされると、晴斗もキスしていた。

「…皆が待ってる、またあとで‥‥」

「勉強頑張れないから、あと3分」

「…い、良いよ」

「凜も嬉しそうだね」

「うん…隠れてすると楽しい‥‥」


凜が笑うと、抱き抱えてテーブルに座らせてキスしていた。

「…テーブルはダメ」

「今日だけ」

「……」


頷かれると、テーブルに座らせたままで3分経つと晴斗はやめた。

「3分って短いな」

「…うん」

「顔が赤くなってるよ、少し休憩して勉強しようね」


お茶を入れて、椅子に座る凜に渡した。

「ありがと」

「二人きりじゃないと落ち着かないな」

「…休憩してるとき、晴くんによしよししてもらえないから‥やだ」

「皆の前でも良いならするよ、ベッドの上でだけどな」

「だめ…隠れてするのが‥好きなの」

「抱き締めないとやる気でないんだよなぁ~」

「…こっそり手を握ってあげるから‥頑張ってね」

「凜が手を握りたいんじゃ?」

「‥うん、頑張れるから」


二人で話していると、麻莉菜がリビングに入ってきた。

「私も友達呼びたい」

「ダメ、約束したよね」

「したけど、ずるい」

「今日は呼ぶなよ、また今度な」

「…はーい」


麻莉菜はジュースを片手に自室に戻ると、二人も寝室に戻った。

「遅かったね」

「従妹と話してたからな」


お菓子をテーブルに置くと、皆は食べながら勉強を始めたが、晴斗は一口もお菓子を食べなかった。

「晴くん、たまには甘いお菓子食べると良いよ」

「食べると疲れにくくなるだけで、眠たくなるんだよ…要らない」


凜は納得すると、そっとテーブルの下でギュッと手を繋いできて、勉強を再開した。


皆に勉強を教えられて教え返すと、18時を回っていた。

「もう遅いね、また明日皆でしよっか」

「うん、皆でやろ」


凜が言うと、勉強会はお開きになった、皆が帰りの支度を初めるとドアに手を掛けて「早く帰れぇ」と笑っていた。

「また明日皆で勉強会するからね」

「分かったよ、だから早く帰ってね」


お腹を皆に軽く殴られて、玄関までお見送りをして帰っていった、ドアが閉まると同時に凜に抱き付かれた。

「…やっと帰ったねぇ…晴くん‥」


甘声出されると「うるさい」と麻莉菜の声が聞こえた、晴斗は抱っこして寝室のベッドに寝かせて股がっていた。

「キスは何分?」

「…皆居ないから‥好きなだけ」

「なら、今日はいいや、晩御飯食べよ」

「だめぇ、私は我慢してたの‥‥」

「頬膨らませなくていいから、凜からして」

「…晴くんからのが欲しいの‥‥」


服を引っ張られると、晴斗は優しくキスしていた、コンコンとノックされると、凜に押されてベッドから落ちてドンと鈍い音が聞こえた。

「…痛っ」

「ごめんなさい、ビックリしたから‥‥」

「馬鹿力か?‥マジで痛い」

「あとでよしよしするから‥ごめんなさい」

「よし、晩御飯たーべよ」

「痛くなかったの?」

「痛いよ、凜が心配するからさ…まぁ、気にすんな」


晴斗は立ち上がると、凜とリビングに向かった、麻莉菜は晩御飯の準備をしていた。

「凜姉ちゃん手伝って」

「うん」


二人が晩御飯を暖め直す姿を肘をついて眺めていた。

「晴兄邪魔だよ」

「凜のキスまってる」

「…仕方ないね」


麻莉菜は恥ずかしそうに近付いてきた「代わりに…」と言われると晴斗は屈んだ。

「頬な、口は凜専用な」


コクコク頷かれて頬にキスされると、晴斗は凜を見ていた。

「将来のお嫁さんからは無いのかなぁ」

「…エヘヘ……ない」

「睨まなくても…」


晩御飯が出来るまで、椅子に座っていた、晩御飯を食べてお風呂にも入ると寝室にいた。

「はるくん、寝よ」

「眠たいか?」

「晴くんと横になりたいの」

「毎日寝てるじゃん」

「テレビ消して‥お話したいの」


テレビを消されると引っ張られてベッドに横になった、話をしていたが、凜は目を擦っていた。

「21時だけど眠たいの?」

「…うん、先に寝てもいい?」

「良いよ、おやすみ」

「……まだ横に居て‥‥」


寝言のように言われて背中を擦ると「おやすみなさい」と言って眠っていた。


凜が寝ると寝顔を見詰めて、飽きると頭と頬を擦っていた。






























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