第167話悩む

家では凜の前では悩まないで数十日経っていた、学校での授業中は小さい溜め息をついていた。


授業中に凜が先生に当てられた、黒板に向かう姿を目で追って、振り向いて視線が合うと、晴斗は恥ずかしそうに笑みを送った、すると、凜もはにかんでいた。

…あぁ、可愛いなぁ


次の授業中に晴斗は勉強姿を眺めていた。

「どうしたの?分からないの?」

「…眺めてたい」

「寂しいの?大丈夫?」

「ただ眺めてたいだけ!良い?」

「寂しいなら良いよ、でも、もうすぐテスト期間だよ、勉強しないとダメだよ」

「…うん、眺め終わったら勉強するね」

「いい子だね、晴くんの頑張り次第で、お昼に膝枕が待ってるよ」


二人は席を近付けて小声で話し合っていた、晴斗はデレデレになると、机に両肘をついて黒板に視線を向けた。

「…早く昼にならないかなぁ」


晴斗は思わず声に出していた、すると、先生は振り向いた。

「飯島くん、両肘ついてるけど、私の授業が暇?」

「違いますよ、先生の後ろ姿見てると…こう、胸がドキドキと…」

「冗談はいいよ、前に出て問題解いてもらえる?」

「バレましたか、解きますよ」


英語の授業中に晴斗は黒板の前に立つと、先生に笑みを送って、すらすらと「I want to always be with you.」と書いた

「飯島くん、誰に送って書いた言葉?」

「先生じゃないですよ、可愛い義妹に送った言葉です」

「良いから、先に英文を訳してね」

「…あ、呆れなくても」


先生が書いた英文をすらすらと、初めて皆の前で解いていった。

「飯島くんは英語も喋れる?」

「僕はバイリンガルじゃないですよ、凜に聞いてください」


聞かれた凜は「私に隠し事するので知りません」と先生に答えた。

「英語の発音も良いよね、英語のテストだけほぼ満点だったよね、動画を見たけど洋楽しか歌ってないよね!」

「僕は日本人ですよ、凜と友達の前でJポップ歌いましたよ…あと、モデルの晴じゃないですよ」


無視され、先生は友達に晴斗がJポップも上手いか聞いて「マリーゴール◯歌ってたけど上手かったよね、ふざけてI LOVE YOUの発音もよかったよね」と友達も友達に聞いて、思い出し笑いをしていた。

「ふざけて歌ってねぇよ、普通にI LOVE YOUって言って歌ったんだ、思い出して笑うな…さすがに傷つく」


晴斗が黒板の前で落ち込むと「上手かったよ」と笑いながら言われて落ち込んだ。

「モデルの晴が飯島くんじゃないんだね」

「はい、違いますな」

「信じないけど‥そうなんだね、バイリンガルで洋楽も歌えるんだよね」

「何でそうなるんですか?歌だけですよ、I want to always be with you.も凜に言いたいから覚えただけですよ」

「すらすらと英文解いといてよく言うね」


凜は首を傾げながらI want to always be with you.を単語を口ずさんでいた。

「凜も皆の前で言ってくれるんだ…聞き取りずらいけど気持ちが伝わってくるよ、俺も同じ気持ちなんだよ」

「…ちょっと英語が苦手で読んでただけ‥‥バカじゃないから読めるからね」

「読めるなら読んで~」


凜に無理矢理読ませると、先生と数人な生徒が呆れていた。

「先生…凜が、私はあなたとずっと一緒に居たいですって皆の前で何度も言ってくるから‥胸が苦しい」


晴斗は真っ赤な顔で照れながら溜め息をついて浮かれていた、凜は唇を噛んでいたが、意味がわかった生徒が呆れていた。

「早く席に戻りなさい」


先生に起こられて晴斗は席に戻った、また凜に言ってもらおうとしていたが言ってもらえなかった。授業が終わると二人は屋上で食べていた。

「…中間テストは‥お家に二人きりでしたい」

「良いけど‥‥総合点の…」


なぜか、お互いに目を合わせずに恥ずかしそうにしていた。

「…一つだけ言うこと聞く‥‥い、良いかな?」

「何でもだからな」

「…良いよ、晴くんドSだから‥皆の前でお尻と胸と足とか触らないでね」


晴斗は少しムッとしていた。

「俺ってそこまで変態と思われてたんだな、てか体触らないでねって言ってほしかった」

「晴くんのことだから‥制服触っただけなって言いそうだもん」

「…言ってたかも‥怒ってごめん」


晴斗は落ち込むと手を握られて顔をあげると、凜に笑みを向けられていた。

「気にしてないよ、晴くんはドSだから、捲し立てるか威圧感で相手を押さえ込むもん」

「…ごめんなさい」

「晴くんどうしたの?」

「…毎日‥毎日、凜と麻莉菜を怖がらせてたんだ‥‥ごめん」

「気にしてないよ、私はあんまり怖くないよ、麻莉菜も怖がってたら‥‥私の晴くんにベタベタしてないよ、気にしないで」

「…少しは怖いんだ、本当に‥ごめんね」


晴斗は手をギュッと握り締めてられて、顔を覗かれてニコッと可愛らしい笑みを見せられた。

「晴くんの悲しそうな顔見せると‥私も悲しいよ」

「…凜に迷惑ばっかり掛けて、頼りない男でごめん」


凜に顔を覗かれ「大丈夫だよ、泣かないでね」と言われた。

「…もう泣かないよ、ただ凜と麻莉菜を怖がらせてた自分が‥許せないだけなんだ」

「落ち込まないで…今は先輩に文句言われても無視して歩いてるよね、先生に言い返すから、見てると怖いんだよ」

「…俺が悪いんじゃないよ、口が勝手に動くんだよ」

「ああ言えばこう言うよね、悪い子にはお仕置きです」


キスされると、晴斗は静かにお弁当を食べ始めた。

「晴くんにはキスというお薬が投与されましたよ、効力は元気になるんです」

「…何秒効くの?」

「半日」

「はぁー‥持って数秒だよ」

「…み、短かったんだね、食べたらまたお薬あげる」


二人で話ながら食べていると晴斗は元気になった、お弁当を食べ終わると凜は落ち着きがなくなり、晴斗は手を握ってキスしていた。

「効力は、人前でキスしても気にならなくなるよ」

「効いてない」

「試してないからだな、試しに行こっか」

「…二人でこそこそしたいの、人前はやだ」

「分かったよ、膝に座る?」

「…うん」


膝に座らせるとお尻を触り、凜に見詰められながらキスされていた。

「落ち込んでごめんね、この先ずっと泣かないから一緒に居て」

「晴くんはモデルさんだから、誰に見られてるか分かんないよ、お家で笑わないから泣いても良いんだよ」

「男だから泣きたくない、泣かない」

「男も女もない、泣きたくなったら泣いていい、麻莉菜に頼ったらダメだよ」


晴斗は「さすがに年下に泣きつかないよ、プライドが‥‥」と言いながらお尻を触っていた。

「…学校ぐらい‥触るの我慢してよ」

「無理…どうしても我慢させたいなら、学校で二人きりになるとキスしてくるけど我慢してね」

「…無理だよ、気持ちが押さえられないもん、離れたくないもん、ずっと抱き締めてたいもん、晴くんが大好きなんだもん…」

「あぁ、もう分かったから、もんもん言うな…重く感じる」

「愛情が漏れてるんだもん、重い女と思った罰だもん」


キスされると首を甘噛みされ「落ち込ませた罰だもん」と連呼していた。

「ごめんね…俺も人前では我慢してるんだよ」

「してないもん、抱き締められるもん、あーんされてるもん、まだあるもん…全部嬉しいから許すもん」

「分かったよ、変な気持ちになるから‥‥やめて」

「やだもん‥‥お家まで我慢したら‥ご褒美あげる‥晴くんにしかあげない」

「もん付けないんだな」


凜は急に「ニャー」と言い出すと同時に口を塞がれた、手を退けると晴斗は見詰めていた。

「…気持ち悪かったの?」

「甘え声で言うから可愛くてね」

「……」


晴斗は片手で凜の頭に手を回した。

「…優しくお仕置きしていい?」

「だーめ、我慢して‥」

「やだ」

「我慢覚えないとダメだよ」

「…だって‥物欲しそうに見詰められるんだもん」

「真似しないで、晴くん見てるだけ」

「はぁ? 自分で見詰めてるって言ってるぞ…ポンコツ」


溜め息をついて抱き締めていると、チャイムが鳴った。

「晴くん離して」

「…はーい」

「お家で甘えていいから行くよ」


誰もいない廊下を二人は手を繋いで走った、教室に着くと、先生が来てないことを確認して凜は安心していたが「今日も二人でこそこそしてたんだね」とかわらわれ、良太や友達も声を掛けてきた。

「晴斗に中学生の女子が、晴くん居ませんかぁってわざわざ来てたぞ、モテモテだな」

「何で毎日飽きずに中学生は、高校の校舎に来るんだ?」

「モデルが居るからだろ」

「どこに?」

「晴斗くんだよ」

「…そのくだり疲れるな」


晴斗は呆れて突っ伏した、授業が始まり、真面目にノートを取ること約二時間…放課後を迎えた。


二人は寄り道することもなく家に帰った、寝室に入ると着替える前にベッドに座って凜を見ていた。


凜は見られていることに気づき、着替えの途中でも抱き締めてきた。

「寂しいの?私が傍に居るからね」

「寂しくないよ…ただ、バイトに行くと‥‥凜は寂しいよね?」

「急にどうしたの?」


晴斗は思い詰めた顔で、また同じ質問を問い掛けると「…寂しい」と顔を伏せて伝えられた。

「毎回外で帰りを待ってたよね、もう辞めるから寂しくないよ」


ベッドから立って、凜を抱き締めていた。

「寂しい思いさせてごめんね」

「…本当にやめちゃうの?」

「凜が望むなら辞めるよ」

「晴くん自信は‥まだ働きたいの?」

「給料良いけど‥分かんねぇ、俺は凜と同じバイト先で働きたいな」


凜に急に押され、バランスを崩してベッドに倒れ込み、上に乗られていた。

「…また雑誌で見たい」

「最後に来月に載るよ」


急に制服をギュッと捕まれた。

「…バイト中は寂しいけど‥帰りを待つのも楽しいよ、まだバイトしたいならして‥本当はまだ働きたいんでしょ」

「稼げるときに稼ぎたいけど…他の子に晴くんって呼ばれて怒るけど‥‥俺も馴れ馴れしく呼ばれて‥ずっと嫌なんだ」

「今さら辞めても呼ばれるだけだよ、私は晴くんの活躍まだみたい、呼ばれて嫌な思いしても私が慰めてあげる」


晴斗はおもむろに立ち上がると、引き出しから一枚の紙を取り出して見せていた。

「お試しで1ヶ月契約だったんだ、次は契約期間が3ヶ月…」

「家族として晴くん応援する…またお迎えしたい」


凜をベッドに押し倒すと股がって手を握った。

「凜として‥どうなのかな? 辞めてほしい?」

「…応援する‥また、お外でおかえりなさいって言いたい…たまに夜の駐輪場でキスするのが‥楽しみなんだよ」


晴斗は凜の胸に顔を当てて「うーん」と言いながら考えていた。

「本当に応援する?嘘じゃないか」

「嘘じゃないです、私が晴くんの活躍が見たいです…」

「まだ続けるね」

「…はい」

「なんでよそよそしいの?」

「……着替えの途中だったから‥はだけて‥恥ずかしい」


無言で見詰めていた。

「両手で押さえられると‥動けない‥乗らないで」

「体重乗せてないよ」

「…いいから退いて」

「…少しでいいから‥抱き締めて欲しい」

「…良いよ、手を退けてね」

「急に甘やかされると‥ドキドキする」

「知ってるよ、毎回嬉しそうだもん」


手を離すと抱き締められると抱き締め返していた。

「恥ずかしがってたのに‥‥毎回切り替えが早いんだよ」

「晴くんの喜ぶ顔が見たいから、私にしか向けない笑顔だもん」


晴斗は少し下がって、凜の胸に顔を埋めて寝る体勢を取って静かにしていた、凜に背中を擦られると、擦り返していた。

「はだけてるから先に着替えようね…制服がシワになっちゃうよ」

「…ねぇ、恥ずかしいからやめてって言い方してくれないかな?」

「嫌だよ…最近甘えてきたよね、悩んでるって知ってたよ、私が寂しがらないように辞めようとしてたんだね、言うまで待ってたけど長かったよ」

「ごめんね…凜にバレないと思ったのになぁ~」

「家でも外でも‥ずっと見てたんだから分かるんだよ」

「授業中に隣から気持ち悪い視線って凜だったのか」

「私に気持ち悪いって言ったらだめですよ、傷付くからね」

「…いつも通りに怒ってよ、ペースが…」

「ペースが乱れるんだよね、知ってるよ」

「…ま、まぁ、そんなところだな…少し静かにしてて」

「恥ずかしいけど、晴くんなら‥そのまま胸で寝て良いからね」

「…はぁー」


寝ることはないが、晴斗は目を閉じて気持ち良さそうに、凜の胸に顔を埋めて静かにしていた。








  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る