第153話触ってた

電車から降りて、五人はモールのフードコートに来ていた、晴斗は先にラーメンを頼んでいた。

「晴くんがラーメンなら、私も同じの頼むね」

「良いよ」


凜は「…晴くんがとんこつなら、私はみそにしよ」と独り言を言って頼んでいた。


晴斗は凜の頭を擦って「一人で注文出来るんだね」と言ってからかった。

「バカにしないでよ」

「いっつも小声で俺に頼ませてたじゃん」

「…そうだけど‥出来るもん」

「少しは成長したな」

「ばか」


二人はラーメンを持って皆と席に座って食べていた、お好み焼きやタコ焼き、粉物ばっかり選んでいた。

「皆、野菜食べないと太るよ」

「失礼だよ、晴斗くんも太るよ」

「晴くん、最近お家で野菜食べないでしょ、食べないと駄目なんだよ」

「凜が食べさせてくれるなら食べるよ」

「あーんしてほしいの?甘えてるの」

「…今日の凜可笑しいよ…皆の前なのに‥女の子の日だから可笑しいんだな、納得した」


晴斗は一人で納得した、女子四人は楽しそうに笑うと、晴斗は舌打ちしていた。

「晴斗くん私があーんしてあげるよ」

「美優紀ってしつこいな、一人で食えるから黙ろうな」


美優紀はタコ焼きを串に刺して笑いながら待っていたが、晴斗は断ってラーメンを先に食べ終わった。

「晴くん食べるのが早いよ、噛まないと駄目だよ」

「ごめんね」


晴斗はペースを崩され静かに待っていた、皆が食べ終わると、ゲームセンターに来ていた。


女子四人について行くと、プリクラ機を選んでいた。

…そんなに選ばなくても、どれも一緒だろ


色々と選んでいた、決まったのか女子だけ入ると、晴斗は棒立ちしてた、美優紀に手を引っ張られて連れ込まれていた。

「晴くん、二人で撮りたかったの?」

「別に‥考え事してた」


カウントダウンが開始され、1と言われると同時に晴斗は凜の口にキスして撮影した。

「晴くん、急にしないで」

「皆の前でしたくなった、駄目だった?」

「…ばか」


直ぐに美月と美優紀に驚かれたが「強引にキスしたよね」と聞かれて「落書きまでお楽しみ」と教えた。


落書きコーナーに移ると、誰も凜にペンを持たせなかった。

「凜は落書き禁止な」

「何で、誰かペン持たせてよ」

「凜ちゃんは待っててね」


凜はキスされてる画面を見て隠してもらおうとしていたが、友達に拒否されていた、ラインで画像を送ってもらうと晴斗は嬉しそうに眺めていた。

「待ち受けに設定だな、クラスメートに見られるなぁ」

「晴くんふざけないで‥恥ずかしいからやめてよ、皆も消してよ」

「凜ちゃんだけいい思いしてるね、強引にされてるの見てたから言わないよ」

「…消してよ」


凜はぷくぅっと頬を膨らませて怒っていたが、笑われていた。

「晴くんが‥‥急にしてくるから…」

「今度から言うよ‥許してね」

「もう知らない…」


晴斗はスマホの画面に設定していた、ゲームセンターをあとにして皆でモールを歩いて色んなお店を見て歩いていた。

「晴くん、晩御飯作らないと…」


スマホで確認すると18時前だった、皆と別れる前に凜の手を握って晴斗は手を降った。

「晩御飯の準備があるから帰るよ…またね」

「寂しくて凜ちゃんの手を握ってるの」

「そうだよ、落ち着くんだ」


三人はもう少し遊ぶらしく、クスクス笑われたが凜と手を繋いでモールをあとにした。

「キスしてごめんね」

「…もういいよ、見られて恥ずかしいかったけど嬉しかったよ」


家に入ると着替えてリビングに入ったが、麻莉菜がエプロンを着て台所に立っていた。

「二人とも遅かったね、デート楽しかった?」

「友達と遊んでたんだけど、何でムッとしてんの?」

「何でだろうね、気にしないで」


晴斗は肘をついて二人の晩御飯を作る姿を眺めていた、麻莉菜と目が合ったが逸らさず見つめていた。

「何で見てくるの?」

「なんか言いたそうだなって思ってな」


何処に行ったか聞かれ、優菜が店員してたmoonとモールで遊んだと教えた。

「今日だったんだね、私も優菜ちゃん見に行けば良かったな」

「麻莉菜もファンなんだな、知らなかった」

「私は優菜ちゃんの髪が長いから伸ばしてるんだよ」

…実際短いけどな、知らないの当たり前だよな。

「そうか、優菜が長いから伸ばしてんだな…可愛いよ」

「…す、直ぐ晴兄って‥可愛いって言うよね」

「本当のことだからな、照れてんの?」

「照れてない、黙って待ってなさい」


テレビやスマホを見て待っていた、呼ばれて椅子に座ると変わった餃子が置かれていた。

「なにこれ?」

「鶏皮餃子だよ」


鶏皮で作った餃子だった、食べると普通の餃子よりパリッとして美味しかった、凜に野菜を皿に入れられ無言で食べていた。

「私が作った餃子なんだよ、晴兄美味しい?」

「麻莉菜が餃子作ったの?美味しいよ」


麻莉菜が喜ぶと凜がムッとしていた。

「凜は女の子の日で機嫌が悪いな、からかってくるし」

「晴くんは毎日からかってくるでしょ」

「でも、皆の前でキスしたのは初めてだからな」

「は、はる、晴兄‥口にキスしたの? ほ…本当にしたの?」


麻莉菜は真っ赤な表情で身を乗り出して聞いてくると、晴斗はスマホをポケットから取り出してテーブルに置いた。

「…はい、無理矢理しました」

「無理矢理したの?何でスマホ取り出したの?」

「そんな怖い顔で見られて手が勝手に動いた‥だけ」


凜がスマホを持って電源ボタンを押した。

「晴くん、なんで設定してるの?」

「お気に入りだからな」

「…絶対にゴールデンウィーク中だけ‥学校始まったら変えてよ」

「友達も映ってるから良いじゃん」

「私にも見せてよ」


麻莉菜は隣に来て覗き混むと、凜が隠して渡してきた。

「私にも見せてよ、なんで隠すの?」

「見ない方がいいよ、晴くんも設定しないでよ」

「お気に入り変えてもいいけど、愛想つかすぞ」

「…冗談でも言わないでよ」

「ごめん」


麻莉菜にスマホを奪われて舌打ちをされ、スマホで頭を殴られ「見なきゃよかった‥最低」と言いながら、落ち込んでいた。

「…なんか、俺が悪かったな」

「晴兄も友達も映ってるからって待ち受けにしないで‥キスした画像なんて‥見たくない」

「凜は許してくれたし、誰が何を言っても待ち受け変えない」


食べ終わるまで静かになった、食べ終わると麻莉菜は静かにお風呂に向かった、入浴後晴斗が入って凜が入った。凜がお風呂から出てくるまで麻莉菜は静かに俯いて座っていた。

「……凜姉ちゃん一緒に寝よ」


麻莉菜は落ち込みながら凜に聞くと許可を出した、晴斗も「俺も一人で寝たくないんだけど」と聞いていた。

「…三人で寝よ」

…寂しくなったのかな?


リビングの電気を消して寝室に入った。

「どこで寝る?前は麻莉菜が奥だったな」

「…晴兄の横がいい」

「俺は別に良いけど、枕持ってこないのか?」

「……凜姉ちゃんにしてるように‥私にも腕枕して欲しい」

「俺って麻莉菜の前で凜を腕枕して寝てたかな?」

「…私の実家に来たら寝てるよ」

「そうだったな…なぜ俺?」


晴斗が困った表情を向けると麻莉菜が「嫌がらないでよ」と言いながら泣きそうになり、凜が「晴くんしてあげて」と言われた。

「別に良いんだけどな、麻莉菜はなんで俺に甘えるの?」

「…教えない」

「俺が好きとか?」

「違うから…本当に勘違いしないで」


麻莉菜は泣きそうな表情だったが顔が真っ赤になって、睨まれて声を荒らげて怒られた。

「そんな怒んなよ、まさか好きになったのかなって一瞬思っただけ…勘違いしてごめん」


晴斗は何度も謝って横になった「俺が嫌いなのに一緒に寝るんだな」と麻莉菜に伝えた。

「…別に嫌いじゃない…す、好きでもない」

「そっか」

「晴兄は親戚だから嫌いじゃないよ」

「嬉しいけど、真っ赤な顔で見つめてくんな、だから最近勘違いするんだよ‥黙ってたけど」

「…うるさい」

「早く横に寝て、引っ張るよ」


麻莉菜が横に寝転ぶと、凜も麻莉菜に背を向けて寝転んでテレビを見ていた。

「晴兄‥う、腕貸してよ」

「嫌だ‥凜の胸で寝たい」

「毎日胸に押し当てて寝てるの」

「そんな言い方すんな…もう腕枕するから黙って」


腕を伸ばしたが、麻莉菜はこっちを向かなかった。

「こっち向いてくれないと抱き締められないんだけど」

「な、何で抱き締めるの?必要ある?」

「あるよ、抱き枕で寝たいんだ…今日凜と友達に弄られて、心が寂しいんだよ、嫌なら凜と変わって」

「今日は強引に引っ張ったり、黙って抱き付いて来ないのは、本当に晴兄は寂しいの」

「…そうだよ、家族連れとか見てると寂しくなるんだ、凜は外で寂しいって分かると‥手を繋いで大丈夫って言ってくれるんだ」

「そうなんだね、私を抱き締めて寝て良いよ」

「……麻莉菜は一人で寝れるようになろうな」

「…うん」


晴斗は麻莉菜を抱き締めて目を閉じて何十分経ったのか、凜に「変態、手を放しなさい」と怒られて目を開けた。

「…あっ、ごめん」


晴斗は目を閉じて麻莉菜の胸を触っていた。

「麻莉菜が蹴ってくるから振り向いたら揉んでた……この変態」

「凜のシャンプー使ってたから‥目を閉じてると匂いで安心して…本当にわざとじゃない」

「麻莉菜も私に合図しないで直ぐ言ってよ、変態触るなって」

「触られて…声が出なくて、体も動かなかったの」


凜に頭や腕を数発殴られたが、晴斗はやり返すことも言い返すことも出来なかった。

「……麻莉菜が凜のシャンプー使うから」

「触る変態が悪いんだよ、晴くん反省してないの?」

「…反省しました、麻莉菜にもシャンプー使ったこと怒ってください」

「反省してるなら言い返さないで」

「ごめん」


麻莉菜もシャンプーを勝手に使ったことを怒られ、晴斗もまだ怒られていた。

「そもそも、晴くん‥お、大きさで分かるでしょ」 

「無意識で触ってました」

「なおさらたちが悪いって分かってるの?」

「僕の手が悪いです‥最近凜の触ってないと思いますが何か?」

「反省してないね、晴くん自身が悪いんだよ、バカにしてるの?」

「……」


凜に馬乗りされ、麻莉菜はベッドの横に立って見ていた。

「大きさで分かるでしょ…聞いてる?」

「…麻莉菜がちっぱい‥凜の方が大きいです」


麻莉菜は「Bだからね」と言うと凜に睨まれて俯いた。晴斗は小声で凜に言われた

「前に言ったよね…私の触りなさいって」

「…はい、すいませんでした…でもわざとじゃない」

「言い訳しない」


それから数分間、馬乗りのまま言い返すと耳を引っ張られて怒られていた、麻莉菜は立って見ていた。

「晴くんの隣は私が寝るからね‥分かった?」

「はい、お姉ちゃんの言うこと聞きます」

「麻莉菜の横がいい、凜は離れてよ…本当に怖い」

「はぁ、何?まだ言い返すの?」

「生理でイライラするらしいけど‥凜さん八つ当たりやめて」

「はぁー、麻莉菜の胸揉んどいてどの口が言うの?」

「……ごめん」


女性を殴り返せない晴斗は本当に怖がっていたが、凜の怒った顔をずっと眺めていると、抱き締めて小声で伝えた。

「大好きだから怒らないで、言い返したのは相手してほしかった」

「もう、他の子の触らないでね」

「今度から凜にバレないように触るね」

「…からかわないで」

「約束するから、仲直りのキスは?」

「…麻莉菜が見てる」

「なら、朝も夜も行ってきますのキスしないからな」

「やだ」

「ならキス」

「…我慢して」

「なら麻莉菜に無理矢理キスしよ」

「もっと駄目」


キスしようと顔を近付けたが、凜に顔を押さえられた、凜を横に寝かせると麻莉菜を抱き抱えて横になった。

「凜が怖いから、麻莉菜が横に寝てね」

「…うん」

「晴くん…」

「チャンスあげたのにね…」

「…晴くん」

「殴ってきたり摘まんだり、痛かったから知らない…麻莉菜‥触ってごめんね」

「……晴兄わざとじゃないんだよね?」

「本当にわざとじゃないよ、でもごめんね」

「…晴兄に‥触られて嫌じゃなかったから良いよ」

「麻莉菜からかってんの?もう凜のシャンプー使うなよ」

「……う、うん」


麻莉菜を正面から抱き締めていた、凜はこっちを見て睨んでいた。

「凜、お休みなさいのキスは?」

「……今日だけだよ」

「凜からしてね、嫌いになるよ」


凜は手をついて顔を近付けてきたが、麻莉菜に手を出されて阻止されていた。

「……やめてよ‥見たくない」

「目をとして見なきゃいい」

「…そういう問題じゃない」

「凜が言うこと聞くから楽しいんだ、羨ましくて嫉妬しないでね」

「二人に嫉妬しないから‥本当に勘違いやめて」

「だったら頬を染めて悲しそうに見つめてくんな」

「…見ないでよ」


麻莉菜の頭を撫でていると凜に睨まれていた、麻莉菜を自分の枕に頭を置かせて、凜の視線を遮った。

「…凜が睨むから麻莉菜ガードしてね…本当に怖い」

「…私も初めて怖い凜姉ちゃん見たよ‥振り向けない」

「…気持ち分かるぞ‥てか近くで麻莉菜見たの初めてかもな、やっぱり可愛いな」

「晴くん聞こえてるよ、怒られたいの?」

「本当のこと言ってごめんなさい、凜さん僕は寝ます…お休みなさい」


皆もお休みと言うと、晴斗は目を閉じて麻莉菜を抱き締めて数分後に眠りについた。


凜は晴斗が寝てると分かり、麻莉菜に伝えた。

「晴くんが寝てるからってキスしないでよ」

「…お姉ちゃんしたことあるの?」

「…う、うん…麻莉菜はしないでよ、怒るからね」

「……お姉ちゃんお休み」

「寝てる晴くんにキスしないでよ…聞いてる?」

「……うるさいよ…晴兄起こしちゃうよ」

「晴くん一度寝ると起きないよ、ねぇ‥キスしないって約束して」

「おやすみ」

「…したら怒るからね、晴くんに追い出してもらうからね」

「………気づかない振りしてたけど、キスマーク知ってるからね」

「…もう‥知らない」


麻莉菜が寝るまで凜は見張ろうとしていたが、睡魔に勝てるはずもなく眠りについた。

































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