第152話からかわれる
晴斗と凜は列に目もくれずに、moonが経営している専門店の前に立っていた。
「凜の好きな優菜が居るぞ」
「知ってるよ、可愛いね」
「凜の方が可愛いけどな」
「……」
凜の頬が赤くなってたが気にしなかった。女友達三人は並んでいたのか、二人は名前を呼ばれて一緒に並んでいた。
「何で一時間掛けて来たの、近くモールで良かったくね?」
「はぁー…モデルさんに会えて、新作の服も買えるんだよ」
女友達三人に呆れたと視線を向けられていた。
「有名か知らないけどさ、そんなにモデルに会えるのが嬉しいのか?」
「…ねぇ‥見られてるんだけど」
「ごめんね」
晴斗は視線を列に向けると何故か知らない人に睨まれていた、居心地悪くなり「散歩してくる」と言い残して一人で列を離れた。
晴斗はクレープ店に来ていた、イチゴとチョコに生クリームも入ったクレープを一つ買って店をあとにした。
クレープを片手にmoonのお店に戻ってくるとまだ並んでいた、晴斗は女友達を見ながら椅子に座って食べていると、目の前に居た凜が来た。
「…晴くんだけずるい」
「一緒に食べるか?」
凜の口に近づけるとパクっと食べて「美味しい」と言ったが、晴斗は笑っていた。
「…何で笑うの、口に付いてたの?」
凜は口を拭いたが、「友達の前で食べてくれたから嬉しくてね」と教えた。
「…忘れてた‥仲良しって思われるだけだもん」
「だよな、全部食べるか?」
「一緒に食べよ」
女友達は凜の甘えてる姿を見てクスクス笑っていた。
「自分で持って食べないし、両手で俺の手を持って食べてるから、友達が笑われてるぞ」
「…言わないでよ‥晴くんに食べさせて貰うと美味しいんだもん」
「さっきから知らない子と目が合うんだけどな」
「可愛い子探してるの? 見なかったら良いでしょ」
「見ないからキスして」
「……友達が見てるでしょ」
「さっき言われたんだけど、見なかったら良いんじゃないの?」
「…気にしてるのに‥意地悪言わないでよ」
晴斗は謝って頭を優しく擦ってあげると、凜は花が咲いたように笑顔になり、友達に晴斗が指を指して「見られてるな」と言いながら笑うと、凜は俯いた。
「…晴くん‥私で楽しんでる?」
「好きな人虐めたくなった。」
「…小学生じゃないんだよ‥やめてよ」
「小学生じゃないんだから恥ずかしがるなよ」
「…意地悪…本当に意地悪…」
「嫌いになったか?」
「………好き」
「えっ?何て言った?」
笑いながら聞くと凜にげんこつを貰い「絶対に聞こえてた」と言われ、二人は列に戻っていた。
数十分後にはお店に入店するが、女性が大半を占めていた、優菜と目が合うが、陽菜として接してくることはなかった。
「晴斗くん、あそこのパーカー学校で着てなかった?」
「気のせいだろ、美月も目が悪いんだな」
「同じだと思ったのにな」
晴斗は凜の後ろについていった、女性達で試着室に向かうと、晴斗は椅子に座って待っていた。
「晴は何してるの?」
呼ばれて横を見ると花さんが立っていた。
「花さん仕事中でしょ、友達と来たので話しかけられると困ります」
「何で?」
「モデルさんの知り合いが居るってバレたくないからですよ、陽菜も優菜として話し掛けて来ませんよ」
「冷たいね」
「勝手に動画アップしといて…冷たくなりますよ」
「良いって言ってたじゃん」
「確かに言いましたね、まぁそっくりさんで突き通しますよ」
客前でも二人は話していた、すると「晴くん」と呼ばれて、晴斗は花さんに手を振って離れ、凜が居た試着室に来ていた。
「大きい声出して珍しいな、どうした?」
「似合ってる?」
白い透け感のあるブラウスに花柄のスカートを履いていた。
「可愛いよ」
答えていると皆が背後を見ていた、晴斗も振り向くと花さんと優菜が立っていた。
「何でいんの?仕事戻れよ」
「妹の凜ちゃんってどの子?」
「花さん聞いてますか?二人とも業務に戻れよ、他の客も見てんだよ」
晴斗が言っても無視され、優菜が凜に指差して「あの子だよ」と教えて花さんが友達に近づき、声を掛けられた友達が驚いていた。
「居心地悪い、業務に戻って」
「これも仕事だから晴は黙ってね」
「はい、すいません」
晴斗が立ち尽くしていると、友達に声を掛けられた。
「晴斗くんどういうこと?優菜ちゃんも花ちゃんも友達?」
「しらん、初めて声かけられましたが‥何か?」
「晴って呼んでた‥呼んでたから」
「こいつら俺のバイト先にくるんだよ、優菜は友達、花は知らん」
晴斗が花さんを友達と言わなかった事が聞こえたのか、花さんが振り向いた。
「晴、花さんか花お姉ちゃんって教えたよね?」
「…誰‥マジで誰?…馴れ馴れしいですね、では失礼します」
晴斗は一人試着室の見える場所に座っていた、凜は服を着替えされられていた。
…他の客にも服装のアドバイスして良くやるなぁ。
凜はキョロキョロしていた、晴斗は目が合うと「どうかな?」とターンして教えてくると、近付いて「ピンクのスカート可愛いよ、シャツ似合ってるけど、外だと寒そうだな」と教えて頭を擦った。
友達も楽しそうに服を着替えて見せ合っている姿を見ていると、フードを引っ張られて脱げた。
「花さん引っ張らないで下さいよ、友達にも見せてないんですよ」
謝られると、友達に伝えた。
「座ってるからな」
「晴斗くんは買わないの?」
俺は首を横に振って、また椅子に座っていたが、知らない女性に声を掛けられた。
「晴くんですか?」
…はぁ、誰?
晴斗がキョトンとしていると、見た目中学生の女の子に指を壁に向けて「晴くんですよね?」とまた聞かれた。視線を向けると、デジタルフォトフレームが壁に掛かっていた。
…なん‥だと。
優菜のモデル画像が流れてたと思えば、花さんが流れ、竜二さん瞳さん、他のモデルも流れると…自分が映っていた。
「フード引っ張られて顔見えましたけど‥晴くんですよね?」
「…そ、そうですね」
「一緒に写真良いですか?」
…求められたら嫌がらずに写真撮影も仕事と思えって、この事かよ
「優菜達居るのに…俺で良いの?」
「はい」
晴斗は凜をチラ見して、こっちを見てないと分かり、フードを取って顔を近付けて数人の中学生と撮影していた、頬が赤くなっていたが気にしなった。
…友達にも髪の色バレたらいけねぇなぁ。
「晴くん頑張って下さい」
…契約切れるんだけどな、くんってなんや
「ありがと」
晴斗はニコっと笑みを送り、フードを被り直すと友達の所まで戻ってきていた。
…モニター見られたらヤバイな。
「晴くん疲れてる?」
「ちょっとな、凜は服買うか?」
「買うよ、自分のお金で買うからね」
「分かったよ」
皆がレジに並ぶと、モニターとは反対側に立って皆に声を描けていたが、小首を傾げられた。
「晴斗くん、良く喋るね」
「な、なんでだろうな」
晴斗が目を逸らすと肩を叩かれ振り向いた、花さんがニヤニヤ笑いながら「モニター見られてバレたくないんだ」と小声で言われた。
「当たり前でしょ、妹にも言ってないんですよ」
「さっき写真求められてたね」
「見てたんすか」
「うん、距離近かったね」
晴斗は首を傾げて「仕事に戻ってください」と言うと、花さんはポスターを持ってきた。
「凜ちゃんにあげようかな?」
「なに笑ってるんですか?」
「晴も写ってるのポスター」
「要らねぇ、仕事に戻れ」
「タメ口?生意気だね…凜ちゃんにあげよ」
「…すいませんでした、勘弁してください」
「またね」
クスクス笑いながら花さんは裏に入っていった、優菜が友達に「あのモニター見てると面白いよ」とこっちを見ながら言っていた。
「…皆さん帰りましょうね」
晴斗が凜の手を握って出口に歩きと皆もついてきた。
「晴くんどうしたの? 焦ってるの?」
「早く手を繋ぎたかっただけ‥凜が手を離したら離すよ」
「…晴くんから離してよ」
「嫌だね」
「…もう今回だけだよ」
晴斗から手を繋いだ姿を見ていた美月が「晴斗くんって寂しがり屋さんらしいね」と言ってくると、凜を睨んでいた。
「私じゃない、優菜ちゃんが言ってた」
「…睨んでごめんね」
晴斗は美月に近づいて「寂しくない」と教えたが、美優紀が「寂しがり屋さん」と笑いながらからかわれた。ムッとしながら美優紀の背後に立って軽く肩から抱き締めて「黙らないと首が締まるよ」と教えた。
「私に抱き付いて、凜ちゃんにやきもち妬かせて相手してほしくなった?」
「…マジで‥美優紀黙って‥」
「優菜ちゃんが中学一緒だったとか…晴は他の子からかうとき好きな人の前でからかうから気を付けてねって教えられたよ」
「……」
「他の子からかって、凜ちゃんにやきもち妬かせて相手して欲しくなるんだよね?」
「…違うから黙って」
「花さんは晴斗くんのバイト先で会うんだよね?」
「そうですよ」
「晴斗くん寂しがり屋さんって、学校でイライラしてるイメージあるけど可愛い所があるんだぁ」
「……ちび」
晴斗は美優紀から離れて、凜を見て目を逸らすと近づいてきた。
「晴くんは私に相手してほしいの?寂しいの?」
「…凜嫌い」
皆にクスクス笑われると、自分の顔が赤くなるのが分かった。
「…凜‥帰ろ」
「凜ちゃんと二人になって甘えたいの?」
「美月も黙ろうな」
「違うなら遊ぼうよ」
「まだ遊ぶから…俺をからって遊ぶな‥ペースが崩れる」
時間が経つと、電車内で女子達は晴斗を見ながら笑っていた。
「私抱き締めて、凜ちゃんに嫉妬させていいよ」
「美優紀、俺は本当に嫉妬させて相手してほしいとか無いからな」
「晴斗くんは嘘が下手ですねぇ」
「……お前ら…マジで嫌い」
「凜ちゃんも?」
「嫌い‥大嫌いだね」
「私‥晴くん大好きだよ」
凜は友達の前で恥ずかしそうに、どこか楽しそうに言ってきたが、友達と笑うと晴斗は俯いて顔を隠した。
「晴斗くん、そんな恥ずかしそうな表情するんだね」
「……人間だからな‥するだろ」
晴斗は電車から降りるまで黙り混んだが、ずっとからかわれていた。
…13時か、腹へったな。
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