第145話ゴールデンウィーク前
数十日後…晴斗は一人でバイトに行ったり、陽菜と同じ日は一緒に電車やバイクで通っていた。
髪を切ったらおかしくなったと言って、学校では一度もフードを取らずにいた。晴斗は何度も陽菜と居る所を見られては誤解され、何度もバイトが近くで昔からの友達だと言って誤解を解いていた。
ゴールデンウィークは10日間の休み、教室に入るとクラスメートの声に耳を傾けていた。
「一人暮らしだから、実家に帰らないといけないな。」
…麻莉菜も一度帰らせよう。
カップルは何処に行くか家に遊びに来るかなど話していた、他に傾けると、彼女や彼氏が欲しいという声を聞いて晴斗は…
…また凜も呼び出されるのかぁ、麻莉菜も告白されるのかな。
授業が始まると「最近の凜は友達と行動して、学校で相手にしてないな、一緒に弁当食べてるんだけどな」と少し考えていた。
午前中の授業が終わると、凜の机とくっ付けてお弁当を待っていた。
「はい、晴くんのお弁当。」
「ありがと、お茶買ってくるね。」
凜のお茶も買って戻ってくると、晴斗は食べていた。
「相変わらず男子と食べないんだな。」
晴斗は最近一緒に食べている、恵と美月と金髪ギャルの美優紀、茶髪の優香の女子四人と食べていた。
「今日晴斗くんいるじゃん。」
「まあな、ほとんど四人で食べてるよね、飽きない?」
「毎日晴斗くんって、他の女子と男子と食べてるよね、前まで凜ちゃんばっかりだったのにね。」
「まあな、凜が他の子とも仲良くしなさいって怒るからな。」
食べていると、凜は「晴くんのために言ってるんだからね」と言われた。
「二人はゴールデンウィークどうしてる、皆で遊ぶ?」
友達の女子に聞かれていた。
「晴くんはバイトなの?」
「少し休みがあるよ。」
「うーん、たまには皆で遊ぼっか。」
「俺もバイトの人と遊びに行くかもしれないし、何日に遊ぶか決めといてね。」
「晴斗くんって何のバイトしてるの。」
恵は聞いてくると、四人でこっちを見ていた。
「内緒。」
晴斗はお弁当に視線を向けて教えていた。
「凜ちゃん、晴斗くんのバイトってどこ?」
「私にも教えてくれないんだよ。」
「凜ちゃん、信用されてないってことだよ。」
凜に視線を向けると睨まれ、晴斗は恵を睨んでいた。
「なんで私を睨むの、好きな子が出来て会わせたくないとか?」
「お、おい…違うし、遠回しに付き合ってるみたいな言い方すんな、まぁ俺は凜一筋、大好きだよ。」
晴斗は勘違いさせないように必死だったが、凜は不機嫌になり怒っていた。
「晴くんが自分で言ってたけど、口ではなんとでもでも言えるんだよ、疚しい気持ちがあるから内緒にしてるんじゃないの、最近帰りが遅いよね。」
「バイトが忙しいから帰りが遅いんだよ、なんで怒る、彼女って認める気になったか?」
「…もう、彼女って言わせたいだけでしょ。」
「言わせたいね、言わない限りバイト内緒だからな。」
凜は少し頬を膨らませて怒っていた、晴斗は凜の口に卵を近付けると「食べて、本当に凜が大好きだからな」と言って食べさせた。
「…晴くん急にしないで、皆見てる。」
「仕方ないじゃん、最近学校で凜の相手してないんだ、家ではしてるけどなぁ。」
「晴くんふざけないで。」
「ごめんね、凜だけが好きなんだ…仕方ないよな。」
晴斗は何事もなかったように食べだしたが、クラスメートはこそこそと「急にふざけるんだよな」と言う声が聞こえた。
「晴斗くん、言葉に気持ちがこもってないね。」
「うるさいギャルだな、皆の前で告白するの恥ずかしいんだからな。」
「本当に好きなの。」
「内緒、告白したら恥ずかしくなったなぁ。」
「本当に晴斗くんて何考えてるかわかんないね。」
晴斗は食べ終わると立ち上がり、抹茶ジュースを買いに行った、戻って来ると、凜は他のクラスの男子にゴールデンウィークに二人で遊びに行こうとデートに誘われていた。
「モテてるなぁ、凜を皆の前で誘う相手の気持ちも考えなよ。」
晴斗は凜の頭を擦って席に座って突っ伏していた。
「晴斗くん目の前で誘われてるのに何も思わないの。」
「そんな相手の前で俺に聞くの、思わないよ…凜は俺を裏切らないって信じてるから。」
凜は男子にゴールデンウィークは約束してるから行かないと断っていた。
「やっぱり断ったな、凜は約束してんの。」
「晴くんと遊びに行くんだよ。」
「バイトの休みにデート行こうな。」
「…もう。」
晴斗は楽しそうに言うと、凜は真っ赤な顔で机に突っ伏していた。教室に居た人に「飯島ってなに考えてるか、分かんない」と言う声が聞こえた。
午後の授業が終わると、放課後になり凜と麻莉菜の教室に向かった。
「麻莉菜は友達と遊んで帰るか?」
「遊んで帰るよ。」
「先に帰るわ。」
凜と背を見せると、麻莉菜の友達に呼び止められた。
「麻莉菜、男子に呼び出されてるんです。」
「何、詳しく聞こう。」
凜と振り返り、晴斗はニコニコしながら麻莉菜を見ていた。
「…二人とも帰ってよ。」
「凜もデートに誘われて目の前で断ってたよ、まぁ麻莉菜も可愛いから当たり前かぁ、悟さんに言わないとなぁ。」
「言わなくていい。」
「麻莉菜の彼氏になる人見に行こ。」
「付き合わないからね。」
「なら行かなくて良いじゃん、断るなら相手傷つけるんだしな。」
「晴兄じゃないんだから、しっかり断ってあげないといけないの。」
「どうでもいいや、どこで告白されんの。」
「何で告白前提なの、手紙貰っただけ、相手が誰かも分かんないから帰ってよ。」
…下駄箱に入ってたパターンか。
麻莉菜の友達は、麻莉菜の鞄のポケットから手紙を取り出して渡してきた、晴斗は手紙を届かないように持ち上げて読んでいた。
「ラブレターに屋上って書いてる。」
「晴くん見に行ったらダメだよ。」
「何で、麻莉菜が人気のない屋上で襲われたらどうする。」
「…晴くん、どうしてそんな考えになるの。」
「麻莉菜が可愛いからだな、悟さんに変な奴が近寄らないように見ろって言われてんだよ。」
「…うるさいから晴兄連れて帰って。」
麻莉菜は恥ずかしそうに言うと、凜に腕を引っ張られていた。
「晴くん帰るよ、来て。」
「…麻莉菜助けて。」
「帰って。」
「晴くん来なさい。」
「…マジで問題児扱いするな…悲しくなる。」
凜に腕を組まれ、他の生徒に見られながら、晴斗は俯いて連行されると、同級生の男女に「また飯島が変なことしたんだな」と笑われていた。
「…誰か助けて、腕組んでくるんだけど。」
晴斗がクラスメートの男子に言うと「自慢か、羨ましいだけなんだけど」と言われた。
「どいつもこいつもダメだな。」
凜は腕を外して晴斗の鞄を引っ張り付いていった。門を潜ると晴斗は解放され、静かに家に帰っていった。
家に帰るとお互い挨拶して着替えていた。
「晴くんと早く二人になりたかったの、問題児扱いしてないよ。」
「…あっそ。」
「ずっと拗ねてるの、こっち見て。」
晴斗は着替えてベッドで横になっていた。
「嫌だ。」
「…お帰りのキスもしてくれない、怒ってるの?」
晴斗は急に笑い、凜を見ていた。
「怒ってないよ、凜を困らせたかったんだよ。」
「…意地悪。」
凜はデニムショートパンツを履いて、晴斗のパーカーのプルオーバータイプを勝手に来ていた。
「俺の服じゃん。」
「そうだよ、可愛いかな。」
「凜が着ると可愛いけど、何も履いてないみたいだな。」
「ショートパンツ履いてるよ。」
「どっか行くのか。」
「買い物だよ、久しぶりに一緒に行こ。」
「また着替えか。」
また着替えてパーカーのフードを被って二人は買い物に出掛けた。
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