第146話買い物と…朝
二人で久しぶりにスーパーに買い物に来ていた、凜がカートを押すと横に並んで付いていった。
「晴くん、最近ずっとフード被ってるけど、黒に染め直したら?」
「…やっぱり可笑しい?バイト先で似合ってるって言われたよ?」
「晴くんが気にしてると思って…バイト先で言われたんだね。」
「可笑しいか聞いたら似合ってるって言われただけ、学校でからかわれそうだから隠してるんだよ。」
「…そうなんだ、似合ってるって言った人可愛いの。」
「何で相手が女子確定なん?嫉妬しなくても、凜が大好きだから安心してね。」
急に凜はニコニコして、嬉しそうに買い物を始めた。
「晴くん、何が食べたいの。」
「うーん、凜の作るカレーが好きなんだけど。」
「カレー作ってあげるね。」
二人でカートを押していると「まだ、バイト先内緒なの」と言われた。
「…やっぱり気になるよね、まだ言いたくない。」
「毎日わがまま聞いてくれてるから、言いたくなるまで待ってるね。」
カレーに使う野菜など食材を買って、最後に凜とお菓子とデザートも買ってレジに通していた。
スーパーを出ると、同級生が居たが話し掛けられなかった。
「一緒にお風呂入ろ。」
「麻莉菜が居るからダメですよ。」
「帰ったら、直ぐに入れるからダメ?」
「急に帰って来るかもしれないでしょ。」
「凜が入ったら、勝手に入るからね。」
「…バレないでよ。」
家に帰ると、凜と台所に向かった。
「今からカレー作るね。」
「作ったら、膝枕して。」
「夜、頭擦ってくれるなら良いよ。」
「寝るまで擦ってあげる。」
「約束だよ。」
着替えてビーズクッションに座ると、トントンとリズムよく包丁で切る音がしていた。「熱っ」と言う声が聞こえると急いで凜の元に向かうと、指を冷やしていた。
「火傷したのか、大丈夫か。」
「鍋に指が当たっただけ、大丈夫だよ。」
指を見ると、少し赤くなっていた。
「…本当に大丈夫?」
「晴くん心配しすぎだよ、座って待っててね。」
「…本当に無理するなよ。」
一時間程するとエプロンを脱いで、横に凜が座った。
「指大丈夫なのか。」
「ほら、冷やしてたから大丈夫だよ。」
「良かった、跡残ってないね。」
指を見ると跡は無かった、凜とソファーに座り直した。麻莉菜が帰ってくるまで膝枕をしてもらおうとしたが、直ぐに帰ってきた。
…早いよぉ。
「おかえり、麻莉菜に告白してきた人何年生だった。」
「同級生だったよ、隣のクラスの人だった。」
「何て言われたの。」
「明日遊びに行きませんかって誘われて、急に言われて断れなかったんだけどね。」
「彼氏作って泊まりに行っていいからな…親には内緒にしとくよ。」
晴斗は親指を立てて突き出して笑うと、溜め息をつかれ、麻莉菜が着替えてくると晩御飯を食べ始めた。
「あっ…お風呂の支度まだだった…ごめん。」
「私が入れてくるね。」
直ぐに麻莉菜は手を止めて、お風呂の支度をして戻って来ると言われた。
「晴兄、気にしないでよ。」
「ありがとう。」
食べ終わると、三人でテレビを見ていた。
「麻莉菜、一旦家に連れて帰るからな。」
「…私が邪魔で、二人で遊びに行くの。」
麻莉菜が落ち込むと、晴斗は頭を擦って言った。
「違うよ、悟さんが連れて帰ってってうるさいんだよ。」
「私だけ帰るの、二人はどうするの。」
「凜も一緒に連れて行く、1日泊まれば電話も来ないだろ、明日デート終わったら帰るからな。」
「晴兄明日もバイト?」
「休み、明後日の朝からバイトだよ。」
麻莉菜はバイトを何処でしているのか聞かなくなっていた。晴斗は凜とお風呂に入ろうと思ってたが、一番風呂に向かった。
入浴後…リビングに姿を出すと、凜がお風呂に向かった、晴斗は麻莉菜の後ろに座ってテレビを見ていた。
「デート何時から?」
「9時からだよ、来ないでよ。」
「さすがに行かないよ、お金無いならあげるよ。」
「本当にくれるの。」
晴斗は寝室から財布を持ってくると、7枚の千円札を全部手渡した。
「麻莉菜も自分のお金があれば安心出来るよね…頑張ってね。」
「全然話したことない人だったけど、頑張るね。」
数時間後
三人は自分の部屋に戻っていた。晴斗は十分程凜の頭を優しく擦っていた
「晴くん、もう良いよ。」
「擦ると気持ちいいのか。」
「…晴くんにだけ‥擦られると気持ちいいの。」
胸にグリグリと頭を擦られ、晴斗は凜の顔を見ようとするが、服をギュと捕まれて見れなかった。
「…見ないで抱き締めて。」
「わがままな妹だな。」
「…寂しがり屋のお兄ちゃん。」
「マ、マジで‥うざい。」
晴斗はそっと抱き締めて目を閉じた、凜は喋ってたが、相づちをしていると、いつの間にか眠っていた。
……………………………………………………
翌朝揺すられて目を開けると、凜に起こされていた。
「…何、眠たいんだけど。」
「モールに付いてきて。」
「…眠くて元気がでない…三時間後に起こして。」
晴斗は布団を被ると、凜に剥がされるとキスされ「元気でたでしょ」と言われた。
「…あぁ元気出た、二時間後に起こしてね。」
「ねぇ‥起きて。」
引っ張られて起きると洗面台で顔を洗って、リビングに入ると出されたパンを食べていた、時間を確認すると9時半だった。
「何処に行きたいんだっけ?」
「モール行こ。」
麻莉菜はデートに行っていた。二人は着替えると歩いてモールに向かっていた、凜はショートパンツに晴斗がバイト先で買ったピンクのパーカーを着て、晴斗はパーカーに黒スキニーを履いていた。
「やっぱり可愛い、凜に買って良かったよ。」
「最近の晴くん、パーカーしか着てないけどカッコいいよ。」
「そのパーカー、まだ売ってないからね、モデルの優菜が所属してるmoonのブランドだよ、先取り出来て良かったな。」
「優菜ちゃんてやっぱり元カノだったの、いつ会ったの。」
凜は陽菜を数回見たことあるが、モデルの優菜だと気付いていなかった。晴斗は頷いて言った。
「たまにバイト先で会うよ。」
「他のモデルさんも来るの、会ったことあるの。」
「あるよ。」
「良いなぁ、私も見てみたい。」
凜は優菜のSNSを見せてきた。
「可愛いよね。」
「…凜の方が可愛いけどな。」
晴斗は気恥ずかしくなり、前を向いて答えると顔を覗かれ「ありがとう」と言いながら笑みがこぼれていた。
「…こっち見るな。」
「照れてるの。」
「そうだよ、最近の俺‥どうしたんだろうな。」
凜に手を握られると、晴斗は嬉しくなりギュッと握った。
「知り合いに見られるなぁ。」
「笑ってるけど、晴くんが強引に握ったと思われるだけだよ。」
「だろうな。」
二人で手を繋いでモール内を散歩していた。
「知り合いに会わないとか……ちょっとショック。」
「繋いでる所見せたかったの。」
「…どうだろうな…内緒。」
笑うと手を引っ張られて本屋に来ていた。寝室の本棚は、最近本が増えていた。
「家に本が増えてるけど、全部読んだか。」
「読んでるよ。」
「隠してる本の続き買うのか。」
「…み、見たの。」
「俺と暮らしだして、兄妹物読んでるの知ってるよ…少し見た、本の奥に隠してるよね。」
凜は真っ赤な顔になっていった。
「……誰にも言わないで、麻莉菜にも‥お願い。」
「言わないよ、凜の趣味なんだからな。」
「…晴くんが私をそうしたんだよ…続き買ってくる。」
凜は恥ずかしそうに、一人で本を持ってレジに向かった。
「…もう帰ろ。」
「早くない?」
「…二人でお家に居たい。」
「正直に本読みたいって言えよな、てかマンガと同じことすんなよ…直ぐ影響されるんだからさ。」
「バカ。」
凜は両手で重たそうに本を持っていた、本を持とうと手を伸ばすと断られ、デパートをあとにした。
「麻莉菜が居たな。」
「気付かなかった。」
「向こうも気づいてなかったし、ぎこちなかったけどな。」
二人は話ながら家に帰っていった。
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