第137話お花見デート

一時間半後

 晴斗のバイクに2人乗りをして、屋台が出ているお花見スポットに来ていた。


バイクから降りて歩いていると、お酒を飲んで騒いでる人、家族連れや友達同士で来てる人、とにかく人が多くて騒がしかったが、二人は手を繋いで桜並木を見ながら歩いていた。

「晴くん運転で疲れてない。」

「凜の笑顔見たからな、吹き飛んだよ…ここもお気に入りなんだ。」

「晴くんのお気に入りの場所って綺麗だね。」

「最近俺の見る景色は綺麗なんだ。」


晴斗は凜の目を見て言うと、頬が赤くなって目を逸らされた。

「…ど、どうして最近は綺麗なの。」

「いつも隣に凜が居るから…目に写るもの全て‥綺麗に色づいて見える…例えだけどな。」

「そ、そう。」

「……凜が綺麗なんだ。」


晴斗はボソッと小声で言ったが聞こえていたのか、凜は握った手にギュッと力を入れて「晴くんは毎日カッコいいよ」とそっぽを向いて言われたが、触れなかった。

「どこも人が多いなぁ。」

「…どこでも良いよ。」


人混みを抜け、一本の桜の木の下にシートを広げた。

「お昼だよ、もう食べる?」

「食べよ。」


おしぼりを渡されると手を拭いて、小さな二段重ねの重箱の蓋を開けると、手作りのおにぎりや野菜に卵、ミートボールなど、学校のお弁当より豪華だった。

「外で食べると美味しいね。」

「凜が居れば、旨いな。」


凜を見て言うと「バカ」と可愛く言われたが、二メートル程離れた場所にお花見してる家族連れが居ても気にすることなく、凜はだし巻き玉子を箸で掴むと、晴斗の口に運ぼうとしていた。

「晴くん口開けて。」


急にだし巻き玉子を口に当てられると、晴斗の体は一瞬ピクリと反応してしまったが、半分食べると、残りを凜が食べていた。

「…晴くん、急にされのが苦手だね。」


凜に口元を手で隠してクスクス笑われ、晴斗は唇を噛んで、少し睨んでいた。

「晴くん顔が赤くなってるよ。」

「凜も赤いぞ、恥ずかしいのに頑張るんだな。」

「……慣れようとしてるんだよ。」

「あっそ。」


晴斗はお弁当に視線を移して言うと、凜に「照れ屋さん」と言われムッとしていたが、二人で桜を見ながらお弁当を食べ終わっていた。

「…晴くん」


呼ばれて隣の凜を見ると「…膝枕」と言って、膝を叩いていた。

「今日は積極的だな。」


膝枕をしてもらい、顔を見上げて言うと、頭を擦られ微笑みを向けられキスされた。

「知ってだけど、凜は体が柔らかいね。」

「少し無理したんだよ。」


膝枕のまま話していると、誰かが晴斗のお腹に物を置いて「うっ」と声をもらして、視線を向けると蒼真兄さんが立っていた。

「誰かと思ったら蒼真兄ちゃんか、どうした。」

「イチャついてる二人にあげるわ。」


お腹に置かれた物を見ると、コンビニで買った棒付きキャンディーと飲み物が置かれていた。

「花見行くって雪に聞いたからな、晴ならここだと思ってな。」

「俺雪に言ってないぞ、凜が言ったのか。」

「うん、メールしてるよ。」

「そっか…俺、今凜と居るからな、皆に寂しいならおいでって伝えといて。」


言うと、蒼真兄さんは立ち去った、晴斗は棒付きキャンディーのビニールを破って口に入れていた。

「凜の飴も飲み物もあるよ。」


凜はミルクティーを飲んでキャンディーを口に入れていた。

「蒼真お兄さんが何で居たの。」

「バイパス通ったら旅館から近いし、花見は昔からここだからな。」

「雪ちゃんも居るの。」

「どうだろうな、電話して聞いて。」


凜は電話していた、膝枕をしたままの体制で待っていると、晴斗の横に雪が座ったことで、ビックリして口から飴が落ちた。

「晴、ずっと見てたんだけど…凜ちゃんが疲れるよ。」

「同じ体制だと疲れたか。」

「少し痺れてる。」

「気づかなくてごめんね。」


晴斗は飴を落としたことで、横になって雪を睨んでいたいた。

「……雪のせいで飴が無くなった。」

「晴くんが自分で落としたんでしょ。」

「雪の味方なんだぁ、もう落ち込んだからな。」


凜に言われると溜め息をついて桜を眺めていた、女子二人は楽しそうに笑ってたが、凜に言われた。

「…は、晴くん私の飴でいい。」


凜を見ると、小さくなった棒付きキャンディーを震える手で持って口元に近づけてくると、晴斗はパクッと咥えた。

「ぬるい、雪に言われたんだろ。」

「う、うん。」

「雪も変なこと教えるな。」

「でも晴の顔が喜んでるよ…嬉しかったよね。」

「……まぁ、嬉しいよ。」


晴斗は二人に見えないように逆を向いて教えると、凜に顔を覗かれて頬にキスされた。

「…晴くん美味しいの。」

「…だから‥飴なんだから美味しいって。」


凜に急に頭を擦られていた。

「本当に二人はお似合いだけど、晴に飽きられないようにね。」

「凜を飽きたりしないと思うよ、学校でからかって表情見て楽しんで、家でも一緒に居てくれるからなぁ。」

「思うよじゃダメだよ…毎日私は晴くんの傍に居てあげるからね。」


恥ずかしげもなく凜にキスされると、雪は呆れていた。

「本当バカップルなんだから。」

「好きなだけ言え。」


三人で話していると、佑真も七海姉さんも来た。

「晴あげるよ。」


七海姉さんにベビーカステラを貰うと、晴斗は飴を噛んでカステラを食べながらニコニコしていた。

「晴は昔から好きだね。」

「だって美味しいからね、凜は佑真のイチゴ飴貰ってね。」


晴斗は佑真が食べていた、イチゴ飴を指差していた。

「あぁ、凜は間接キス気にするんだったな、佑真に買って貰って。」

「凜ちゃん買ってあがる…一緒に買いに行こっか。」

「佑真くん、私を子供扱いしてるでしょ。」

「凜子供だからな、佑真と手繋いで歩いてね、はし巻き買ってきて。」

「晴くんもバカにしたでしょ…私‥晴くんとだけ繋ぐから。」

「晴だけって…凜ちゃんも言うねぇ。」


七海姉さんに言われると、真っ赤な顔で佑真と買いに言った。

「凜の表情は飽きないなぁ。」

『ただの変態のセリフだからね。』

「学校では静かなんだけど、家では抱き付いてくるのがたまんない。」

「本当に変態だね。」


晴斗は首を傾げながらカステラを食べて三人で話していた。直ぐに二人が帰って来ると、佑真は片手に焼きとうもろこしを持っていた。

「立って食べたら怒られたぞ。」

「だろうな、俺も怒られるよ。」


男二人で笑いながら、はし巻きを受け取り食べていた。凜は直ぐにイチゴ飴を食べ終わると、晴斗のはし巻きを見ていた。

「食べたいか。」

「うん。」


凜にはし巻きを食べさすと、皆で話していた。

「凜ちゃん、晴って学校でどんな感じ。」


雪に聞かれ、凜は、学校で絡まれて、見えない場所で言い合いになって、今は無視して歩いていると教えていた。

「晴は、今の学校に友達いないの。」

「失礼だな、5人も居るよ。」

「少なぁ。」


幼馴染みに笑われたが、晴斗も笑っていた。

「晴くんに仲良くしてって言っても、今は嫌って言われるんだよ。」

「だって晴だからね。」


そのあとも話して、気付くと17時になっていた。

「麻莉菜も帰ってくるから、もう帰ろうか。」

「うん。」


幼馴染みと別れ、二人は家に帰っていった



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