第118話遊園地…② 二人で

凜に手を引かれ、観覧車から降りてくると三人は待ってたのか、見て笑ってたのか、晴斗が三人を見ると笑っていた。

「…三人とも覚えとけよ。」

「覚えとく、なんか食べよ。」

「私もお腹空いた。」

「二人で食べて来てね、凜と麻莉菜と食べるから。」

「晴兄、皆で食べよ。」

「麻莉菜が言うなら、食べようか。」

「麻莉菜に優しいな。」


祐希に聞かれたが、不適な笑みを向けて言っていた。

「麻莉菜は後で俺の行きたい場所に二人で行ってくれるんだよ。」

「…乗り物じゃ無さそうだな。」

「まあな。」


麻莉菜に「何処にいくの」と聞かれたが「着いてからのお楽しみ」と楽しそうに答えていた。凜と手を繋ぎ直すと聞かれた。

「…晴くん、私も一緒に行きたい。」

「凜も二人で入ってくれる。」


晴斗はニコニコして小声で聞いたが、凜には不気味に見えていた。

「…入るって…何処に入るの。」

「後で、お化け屋敷行こ。」

「嫌。」

「無理に誘わないよ。」


凜と手を繋いで、3人の後ろを付いていくと、カフェの前に来ていた、入店して席に座り、メニューを見ていた。

「絶叫系に乗せられそうだしな、俺は要らないよ。」

「無理に乗せないよ。」

「3人は今日だけ信じない、また無理だよなとか言うだろ」


澪さんと麻莉菜は目を逸らし、祐希はコクコク頷いていた。凜は晴斗の手を握り聞いてきた。

「晴くんも頼んで、私のと半分こして食べよ。」

「なら‥頼もうかな、抹茶なら何でもいい…あぁサンドイッチでもいいよ。」

「本当に凜に甘いよな。」

「皆の前で、堂々と彼女って言ったのが嬉しいからだよ。」

「そっか、良かったな。」


麻莉菜と祐希と澪さんの呆れた表情を見て、晴斗はムッとしていた。

「本当に彼女なんだけどな。」


晴斗が言うと、麻莉菜と祐希に「本当にみっともない、一緒に暮らしてるから、仲良しなんだよ」と言われ、凜には足を摘ままれ、深いため息を晴斗はついて、凜と小声で話していた。

「誰も信じないんだな、二人暮らしって言ってもいいか。」

「…信じてくれないよ。」


晴斗は麻莉菜と祐希に「二人で暮らしてるんだよ」と言ったが「良かったね」と全く相手にされなかった。凜にまた小声で話していた。

「…俺って、身内に信用されてないんだな…ショックなんだけど。」

「私は晴くんの言うこと‥何でも信じるよ。」

「凜は優しいな、先に注文しよっか。」


3人に声を掛け、凜と先に注文しに行っていた。店員から注文した品を貰い、先に座ってパンケーキとサンドイッチを二人で分けていた。


晴斗は三人の姿が、カウンターにもテーブルにも姿が見えないと分かり、凜の口にパンケーキを差し出した。

「三人居ないよ…食べて。」


凜は三人の姿を探し、居ないと分かり、恥ずかしそうに頬を染めて笑って食べていた。

「……他の人がいて‥恥ずかしい。」

「周りを見るな、会っても今日だけ、気にするな。」

「…うん…晴くん口開けて。」


凜は「あーん」と小声で言って、食べさせてもらうと同時に、3人はパスタとパンケーキを持って、何事も無かったように席についた。


晴斗も何事も無かったようにパンケーキを食べ始めると、三人は凜を見ていた、見られてると分かり、晴斗は膝を突っつかれていた。


晴斗は、また食べさせてほしいのかと思い、パンケーキを凜の口に運んで食べさせると、小声で「ありがと」と言われた。

「晴斗は何してんの、見てて恥ずかしい。」

「食べさせたんだよ、恥ずかしいなら見なきゃいい、羨ましいなら澪さんに食べさせてって言ってね。」


晴斗は凜に話しかけていた。

「祐希は手を繋ぐだけで恥ずかしがるから、食べさせて貰うと鼻血出すかもな。」


三人にも聞こえてたのか、急に麻莉菜と澪さんが笑いだすと、祐希は怒っていた。

「出ねぇよ。」

「祐希兄さん、口では何とでも言えるんだよ、凜も食べさすぐらい出来るよね。」

「…う、うん」


凜は口に運ぶと手が震えていた、食べさせてもらうと「ありがと」言って、晴斗は何事も無かったように、パンケーキを食べ始めた。

「三人は見てるけど、食べないのか冷めるぞ。」

「食べるよ。」

「澪さんに食べさせてもらわないのか。」

「…え、遠慮する。」

「散々、男らしくないとか言っといて恥ずかしいなら正直に言えよ。」

「す、すまん。」

「別に怒ってないからね。」


晴斗は食べ終わると、凜が食べ終わるまで待っていた、食べ終わると皆で話してると、晴斗は祐希にお願いしていた。

「祐希に一つ頼みがある…麻莉菜を少し見といて。」

「どこ行くんだよ。」

「透明じゃない観覧車に凜と乗ってくる‥約束したから。」

「さっきから見てるの、俺なんだがな…まぁ無理すんなよ。」

「そうだったな、助かる…また後でな。」


先に凜と晴斗は手を繋いでカフェを出ると、観覧車の近くまで来ていた。

「…大丈夫なの。」

「まだ、大丈夫。」

「空いてるよ、早く乗ろ。」


手を引かれ、二人は乗ると、凜は隣に座っていた。

「…隣‥良い、」

「凜なら膝でも良いよ、おいで。」


膝を叩くと「…座らない」と何故か目を逸らされて言われ、晴斗は凜と話ながら、景色を見ていた。

「…高いよ‥晴くん下見てよ。」

「…見れないんだ、でも凜と同じ景色見たいな。」


怖いが、凜と下を見てみると、意外と見れて自分で驚いていた。

「ちょっと怖いけど…学校の屋上で馴れたのかな。」

「私と食べない時も、屋上で食べてるの。」

「知り合いと食べたり、ほとんど一人で食べてるよ。」

「…二年生になっても、同じクラスになれるのかな。」

「どうだろうな、なれなくても…家でも、学校の行き帰りも一緒だからな。」

「…そうだったぁ。」


観覧車から山を見たり、人がいっぱい居るね、とか話してると、急に凜は「可愛い」と言うと、晴斗は凜の横顔に視線を移し「あぁ、本当に可愛い」と言って横顔をジーっと見ていた。


直ぐに、凜と目が合うと頬を染めて「…何で見てくるの」と聞いてくると「可愛い‥今日は、本当に綺麗だよ」と返していた。

「……着ぐるみのことを‥可愛いって言ったんだよ。」

「凜のこと、可愛いって言ってるんだけど。」


凜はチラチラと周りを見て、恥ずかしそうに晴斗の膝に座り、首に手を回してきた。

「ねぇ…頂上だよ。」

「耳まで真っ赤だな。」


晴斗は頬を触りながら、言うとキスをして凜を見ていた。

「…もう一回‥して。」


腰に手を回し、もう一度キスをしてニコッと笑みを向けると「…短い。」と甘声で言われ、キスしてると観覧車は一周していた、観覧車から離れると、二人で散歩していた。

「…スタッフに見られちゃった。」

「目を逸らされるし、ノックしなくても、もう一周させて欲しかったな。」

「……ノックされて‥ビックリしちゃった。」

「お互い観覧車って忘れてたな。」

「うん‥忘れてた。」


出来事を話し合って、笑って、遊園地の敷地内を散歩してると、すっかり三人のことを忘れてたが、目の前から三人が歩いて来ると合流していた。

「電話に出ろよ。」

「あぁ忘れてた、ごめん。」

「晴兄あれ乗ろ。」


三人に謝ると、急に麻莉菜に呼ばれ、見てみるとジェットコースターだった。

「俺の行きたい場所も行こうね。」

「晴兄は怖がりだから良いよ、今から行こ。」

「じゃあさ、麻莉菜手繋いで怖いから。」


恥ずかしがる麻莉菜を捕まえ、逃げないように手を繋ぎ、場所を教えず、五人でお化け屋敷に向かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る