第113話神社…

朝旅館で佑真の朝ごはんを皆で食べ終わると、凜は泣きそうな顔で雪と七海さんに抱き付いていた。

「佑真もハグしてもらったら。」

「あぁ‥凜ちゃんおいで。」


佑真は手を広げ、近付いたが手を叩かれていた。晴斗は皆にハグすると「俺に心配かけるなよ」と一人一人に言って旅館をあとにした。


旅館から少し歩いて、ホテルに止めてたバイクに股がると、晴斗はインカムで「付いてきてね」と凜に伝えていた…バイクで走ること数十分、大きな鳥居の前にを通過ぎ、駐車場に停めていた。


停めると係員にバイクの駐車場代を2台分…500円を支払い凜と手を繋いでいた。

「ここに来たことあるかな。」

「…神社だよね、ないよ。」

「縁結びの神社なんだ…凜とずっと居れますようにって、神様にお願いするんだけどいいかな。」

「……」


晴斗が言いながら歩くと、凜に手をギュッと握られ、顔を覗くと、目が潤んでいた。

「…嫌だったか。」

「…逆だよ‥嬉しいんだよ。」

「良かった。」


人混みを縫うように歩いて、お店の前に来ると凜を待たせて、晴斗はサングラスを掛け、お酒を4本買って凜の元に戻ってきていた。

「…晴くんがお酒飲むの。」

「違うよ、神様にお供えと親戚に二本買った…凜の分も買ったからね。」

「…ありがとう。」


二人でお酒の蓋を開けるとお供えして、お賽銭を投げ入れると、鐘を鳴らし、2礼2拍一礼をしてお願いを二人はしていた。移動すると御守りなどを見ていた。

「…晴くんのステッカーここのなんだ。」

「交通安全のシールだよね、ここのだよ、ピンクもあるよ要るか。」

「…欲しい。」


御守りなどを買い、晴斗は凜の手を握りとテーブルに絵馬を置いていた。

「1つの絵馬にお願い事書こ。」

「…先に書いて。」


晴斗は「この先、月城凜と何事も乗り越え、結婚できます様に…月城晴斗」と住所も書いていた。

凜は晴斗の文字を見て涙ぐむと「もう浮気されませんように…結婚できます様に」と浮気の文字を大きく書き、他は小さく書いていた。

「ふざけんなよ、誰と結婚かせめて名前書いて。」

「…ごめんね。」


晴斗は凜に名前を書かせると、絵馬の表を見せていた。

「縁結び選んだんだよ、でかく浮気は書かないでほしかったな。」

「…うん、ごめんね。」


絵馬を掛けると「浮気の文字が目立つわぁ」と一言もらし、凜は他の絵馬を見ていた。

「そこの可愛い田舎者、他人の絵馬に触るなよ。」

「…触らないよ、見てたんだよ…田舎者って言わないでよ、見られたでしょ。」

「気にすんな、来て。」


屋台が並んでる道を見せて、ベンチに座らせていた。

「少し歩けば、祭りみたいな神社だろ。」

「…うん‥お祭りに来てるみたい。」

「何か食べたいか、何でもあるぞ…多分。」

「…一緒に見て回りたい。」

「敷地が広いし、歩き疲れてないか。」

「…子供じゃないんだよ、大丈夫だよ。」


手を繋いで人混みをのんびり歩いていた。凜はイチゴ飴を見て食べたいのか何度も見ていた。

「イチゴ飴食べたいなら、遠慮すんな…食べたいか。」

「…いつも‥晴くんばっかりお金出させてるから。」

「凜の兄でも彼氏でもあるんだ、気にすんな。」

「ありがとう。」


晴斗は凜とイチゴ飴を買おうとすると店員は、知り合いだった。

「晴か、大きくなったな、目元が優しくなったな。」

「爺か元気だったかって半年前に会ってるぞ、安く売って儲かってるよね。」

「彼女の前でケチんな。」

「優樹姉が結婚して妹だよ、てか3個のイチゴに飴が付いて300円は高いぞ、200円でも利益でるだろ。」

「結婚したんだな、良いぞ。」

「毎回優しいな、二本貰うわ。」


晴斗は知り合いの叔父さんと、楽しそうに毎回のやり取りをしていた。ベンチに座ると晴斗はジーっと屋台を見ていた。

「晴くん食べないの。」

「あぁ、麻莉菜にあげるんだよ、目の前のカステラを見て買おうか迷ってる。」

「買ってきていいよ、一緒に食べよ。」


晴斗はベビーカステラを買うと、食べながら戻ってきていた。

「座って食べなさい。」

「はいはい、可愛い嫁の言うこと聞きますよ。」


座ると足を踏まれ、晴斗は凜の口に入れ、屋台を眺めていた。

「昔から変わんねぇなぁ。」

「…おじさんみたいな言い方してる。」


クスクス笑われ、晴斗は凜を待たせ、タコ焼きを買って戻って来ていた。

「食べるか。」

「うん。」

「口開けて。」

「…恥ずかしい。」

「気にすんな。」


晴斗があーんと言いながら食べさせていた。食べ終わると屋台を見ながら、親戚におみあげを買って、バイクに股がっていた。

「どうだった、祭りに来てる感じだよね。」

「…夏じゃないのに変な感じ、でも楽しかったよ。」

「凜の笑顔が見れて楽しかったよ…帰ろっか。」

「…あっという間だった‥何か寂しい。」

「また来たらいい。」


二人はバイクのエンジンを掛けると、凜のペースに合わせ家に走らせた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る