第109話泊まりの夜は…浮気
夕方、自分の部屋で晴斗は凜に抱き付いていた。
「まだ、遅くない、彼女って蒼真兄ちゃんに言って。」
凜に喋る隙を与えず、何度もお願いしていた。
「頼むよ。」
「…今日は何処に連れていかれるの。」
「初めは居酒屋に行くんだ、酔っぱらうと、大人の女性が居る、キャバクラかホテルに連れてかれる、言ったよね。」
「…うん。」
「お願いだから、彼女って言ってよ…居酒屋以外行きたくない。」
「うん、言う。」
晴斗が抱き付いて話してると、合鍵で開けられ、蒼真兄さんは柄の悪い服装した姿で「良いもの見れた」と言って、笑って入って来た。片手に自分が着るであろう服を見て、晴斗は土下座していた。
「兄さん頼みます、俺を連れていかないでください、あんなベタベタと触られる場所、地獄です…居酒屋だけでお願いします。」
「彼女作るまで連れて行く約束したよな。」
「してねぇよ、お前が勝手に言ったんだろ。」
「最後に聞くぞ、凜ちゃんは晴斗の彼女か。」
凜は俯いて、首を横に振ったのを見て、晴斗は「裏切り者…凜は彼女だよね」と聞くが、知らないと答えられ、蒼真兄さんに着替えさせられていた。
「恥ずかしがるのもいい加減にして、蒼真兄ちゃんは俺の反応で楽しむ鬼畜なんだよ。」
「…ごめんなさい。」
「知らない…帰っても泣くなよ。」
「…ごめんなさい。」
蒼真兄さんは、晴斗の格好を凜に見せ感想を求めていた。
「凜ちゃん、晴は高校生に見えないよね。」
「はい…晴くんカッコいいよ。」
「カッコいいじゃねぇ…蒼真兄ちゃんも凜が彼女って分かってるよね。」
「さぁね、凜ちゃんが違うって言ったし、弟と遊びたいんだ。」
「俺から聞くよ、凜は彼女だよね。」
凜が顔を上げると、急に部屋から引きずられるように引っ張られ、雪も佑真も止めるが兄さんに…逆らえなかった。
晴斗は居酒屋で飲んだあと…気付くと薄暗い店内で、女性は自分の足を、晴斗の膝の上に乗せて話していた。
…あれっ、いつ来たんだ。
また、気付くと…知らないベッドに横になっていた。
…この女誰だよ‥何で俺の格好が…あぁ思いだした……帰ろ。
晴斗は千鳥足で旅館に戻るが、人気のない路地で吐いていた。
…吐くなら、タクシーだな…気持ち悪いし‥香水臭い。
タクシーを止めようにも捕まらず、スマホを探すが無くなっていた。
…何処に落としたんだよ…ホテルに無かったし。
気付くと、旅館に着いていた。
そっと裏口から入り、部屋に戻ると凜は起きていた。
「…今帰った」
「……晴くんお酒臭い。」
「…ごめん、24時か‥皆起こさないように風呂入ってくる…一緒に入るか。」
晴斗は落ち込み、声に元気がなかった。
「入る。」
「……おいで。」
お客は今の時間入室出来ない…風呂場に来ていた。
「晴くんどこまで行ってたの。」
「知らないお姉さんがいっぱいの‥嫌悪感の空間。」
「…そこだけじゃないでしょ。」
「居酒屋…気付くキャバクラ、ホテル全部行ってた。」
「…やっぱり聞いた通りだった、浮気なんだよ。」
「だから、答えてって言ったのに、違うって言うから…俺も兄ちゃんに逆らえないんだよ。」
晴斗は少し泣きそうに答え、服を脱いでいた。
「…もう‥一人で入浴するよ、体が気持ち悪い。」
頭を洗っていると、凜に頭を触られ、洗われていた。
「知らない女性が触った体‥綺麗にしないと。」
「…ごめん、酔ってて、でも思い出したんだ。」
「私が恥ずかしがったから、ここの人に言う。」
「本当に助かるよ……許して‥本当にごめん。」
何度も晴斗は泣きそうになるが、謝っていた。
「…私も悪かったの、ごめんなさい…高校生なんだから、お酒飲んだらダメだよ。」
「怒ってないならキスして。」
「先に歯磨いて。」
急に怒られ、晴斗は泡を付けたまま、歯ブラシと歯磨き粉を持って戻ってきた。
「早く磨いて。」
「…はい。」
一度磨いたが「何で一回なの‥まだ磨いて」と怒られ10回磨いていた。
「10回磨いたんですが。」
「はぁ、だから何、まだ磨きなさい。」
「……すいません。」
「…怒りたくて怒ってない。」
20回磨くが怒られていた。
「凜に磨いてほしい。」
「こっち向いて口開けて。」
磨かれると、歯ブラシが曲がっていた。
「……ち、力が強い…痛い。」
「…磨き過ぎたかなぁ。」
「かなぁじゃない、歯が折れる…許すから。」
凜の頬を触ると目を閉じ、キスをすると、凜の体に巻いてるタオルが落ちていた。
「外で入ろ。」
「…その前に‥タオル。」
「巻かなくていい、裏切った罰。」
二人は並んで、浴槽の縁に頭を置き、夜空を眺めていた…数分経つと凜を抱き抱え、膝に座らせ抱き締めていた。
「…晴くん‥電話に出れなかったの。」
「スマホ無くして、ホテルにも無かった…落としたんだごめん。」
「…お兄さんのあの顔はフルコースって言われて、意味を教えられ…後悔して泣いてたんだよ。」
「酒飲むと、嫌なこと忘れられるんだ…酔いから覚めると少し思い出すけど‥嫌悪感に襲われる、もう思い出してる…本当に裏切ってごめん。」
晴斗は何度も、肩に顔を置いて謝っていた。
「…私も裏切ってごめんなさい。」
「別に俺が悪いんだよ、やっぱり凜がいい。」
「…二人とも悪いの…もうしないで。」
「しないよ、浮気した思い出…おかしいけどマーク付けていい。」
「…浮気された思い出に、私も付けるからね。」
「いいよ。」
背後ろから…首にキスマークを付けていた。
「…くすぐったい。」
「こっち向いて付けていいよ、目閉じるから。」
「…目‥開けてて。」
立ち上がり振り向くと、全身透き通る程の白い肌を恥ずかしそうに見せられたが、疲れた晴斗は何もする気持ちがわかず、恥ずかしくなり、目をそらしていた。
「……見て‥よ。」
目が合うと俯き、恥ずかしいのか寒いのか、声と手が震えていた。
「あぁ、俺も幼なじみの家だと…恥ずかしいな。」
「…他の人の見たら‥ダメだから。」
「わかった、風呂だと色っぽいな…風邪引くよ。」
「……何も‥しないで。」
震え声で言われ、凜の手を引っ張り、向い合わせで、膝に座らせていた。
「しないよ…見える場所に付けていいよ。」
晴斗の首にマークを付けたあと、反対の首に噛みつかれていた。
「痛い‥けど…罰だから我慢する。」
「……晴くんは‥私のだから。」
「なら、凜は俺のだな。」
入浴が終わると部屋に戻ってすぐに寝ていた。
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