第77話匂い

20時に二人は寝室で勉強を始めると、晴斗は勉強を止めて凜を抱き締めて、お互い小声で話していた。

「凜のシャンプーどこで買ってる。」

「…優樹姉さんから貰ってるから‥知らないよ。」

「だから‥ずっと凜の隣が落ち着くんだな。」

「どういうこと。」

「…両親が使ってたシャンプーかな、凜を抱き締めると‥懐かしい匂いがして‥落ち着くんだよ‥良い匂いだよね。」

「…良い匂いで、気に入ってるよ。」


凜を抱き抱えて、二人は恵の前でも、ベッドに横になって話をしていた。

「いつも凜は良い匂いで、声も仕草も全部、好きだな‥落ち着くし。」

「…私も晴くん‥大好きだよ‥一緒だと‥安心する。」

「そんなこと言われると、イタズラしたくなる。」

「…恵ちゃん居るからね。」

「知ってる、言っただけ。」

「…また‥からかうんだから。」


二人が何度もキスをしていると、恵は咳払いをして気まずそうにしていた。

「恵は見て見ぬ振りが‥できないのか。」

「さすがに‥できない。」

「凜には、恵が居ると、人前で馴れてもらう‥いい機会なんだよなぁ。」

「…晴くん‥馴れないよ、恵ちゃんの前でも、恥ずかしいんだよ。」

「誰でも、外でも‥恥ずかしいと思うけど。」

「思うだけだよ。」

「晴斗くんは‥やっぱり、鬼畜だね。」

「…私も‥晴くん鬼畜だなって‥思うよ。」

「…凜まで言うのか、辛いわ。」

「たまにだよ‥たまに。」


ため息をつくと‥何事もなかったかのように、凜を膝に座らせ、晴斗はテレビを見て笑っていた。

「…晴くん、耳元でうるさいよ。」

「ごめんね。」


晴斗が静かになり、数時間が経過すると、凜は子供のように、うとうとしていた。

「首が痛くなるから、ベッドで寝てね。」

「…一緒に寝よ。」

「恵と寝るんじゃないのか。」

「…なに‥もう寝よ。」

…恵のこと、忘れているな。


掛け時計で時間を確認すると22時。

抱き抱え、一緒にベッドで横になって擦っていると直ぐに寝ていた。


寝ると、ベッドから降りて恵と、テレビを見ていた。

「凜ちゃん寝るの早いね。」

「自動車学校で疲れてるし、凜はいつも、この時間に寝てるよ。」

「私が下で寝るよ。」

「夜は寒いからね、ベッドで寝て良いよ。」

「大丈夫。」

「寒くなったら凜の横にスペースあるから寝ていいからね。」

「変なことされる。」

「はぁ‥大丈夫しない。」


23時半まで恵と話をしたり、テレビを見て笑っていたが、凜は起きずにぐっすり眠っていた。

「凜ちゃんの寝顔可愛いね。」

「寝顔が幼いし、甘えてくると可愛いし…。」

「…そこまで聞いてないから。」

「恵の寝顔の感想も朝言った方がいいか。」

「…言わなくていいし、見なくていい。」

「そうか、わかった。」

「もう寝るね。」

「おやすみ。」


恵が布団に入ると、晴斗は電気を消してベッドに入り、凜の手を握り‥眠りについた。

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