第74話インカム…クマ

平日は学校が終わると自動車学校に通い、帰りにファミレスで勉強をしていた。


土曜日になると、朝から自動車学校に来ていた。

学科に二時間行かせ、終わると実技に向かわせた。

「晴くん、見ててね。」

「その前に、ヘルメット貸して。」

「…また、インカムのスイッチ入れるんでしょ。」

「違うよ。」


凜のヘルメットを借りると、インカムのスイッチを入れて返していた。

「やっぱり、ONになってるよ。」

「運転見ながら、可愛い声聞きたいからね。」

「…からかって‥笑わないでよ。」


頷くと、手を振って、恥ずかしそうにストレッチをすると、バイクに乗っていた。


インカムのスイッチをONになってることを忘れているのか…あわわっ、カーブで危ないなど、独り言を聞くと、晴斗は声を殺して笑っていたが…気づかれた。

「…笑ったでしょ、ビックリしたよ。」

「ごめん、むせただけ。」

「…私、何か言っていたかな。」 

「言ってない、危ないから運転に集中して。」


可愛くはーいと言われ、ずっと独り言を聞いて、笑っていた。

…楽しいんだなぁ。


お昼になり、先生も一時間の休憩に入った、凜はパソコンでテストをして、受付に出すと、ご飯を食べにファミレスに来ていた。

「…インカムの接続切ってよ。」

「声聞きたいから、嫌だね。」

「…笑ってたよね、切って。」

「鼻歌歌って可愛いなって、運転が楽しいんだろうなって笑ってた…運転は楽しいか。」

「楽しいよ、早く晴くんとツーリングしたい。」

「春休み、二人で行こっか。」

「うん‥約束だよ。」


頷昼御飯を食べ終わると、横に座り直し勉強していた。

「テストが終わったら、バイク買いに行こっか。」

「…でも‥家賃も出してくれてるのに、本当にいいの。」

「そこまで心配するなら、黙って家見つけてくるな、でも通わせてるの俺だからね、心配するならバイトさせてね。」

「晴くんがバイトするなら、私もするからね。」

「まぁ、急いでバイト見つけないけどね。」


14時前まで勉強をして、また自動車学校に向かった。

凜は、また運転中にインカムのことを忘れて、鼻歌を歌ったり、独り言を言っていた。


16時になると家に帰り、リビングで勉強してると、恵が来て三人で勉強していた。

「凜ちゃんに甘えないの。」

「う、うるせぇな、甘えねぇよ。」

「恥ずかしがらなくても。」

「恥ずかしくねぇよ。」

「本当かな。」


恵のニヤニヤした表情を見て、台所でお茶を飲みながら二人を見ていると、晴斗の視界に熊の顔が見えて笑っていた。

「…晴くんどうしたの。」

「なぁ、恵って高校生だよね。」


恵にからかわれた仕返しを思い付き、楽しそうに笑っていた。

「そうだけど、頭打ったの。」

「熊の入室許可してないよ。」


二人は意味が分からないのか、困った表情を見せた。

「クマって、可愛いの履くんだな。」

「…変態‥言わなくていいでしょ。」

「子供だな、可愛いでちゅね。」

「…休みだから、履いてるの…ねぇ凜ちゃん。」


凜に助けを求めると、晴斗を呼びつけていた。

「恵ちゃん、ちょっと待ってて…晴くん来て。」



恵が舌を見せると、晴斗は寝室に連れていかれた。









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