第71話甘え

凜は寝たことに気づくと、恵に確認してもらい、二人で晴斗をゆっくり倒すと、そのまま勉強を続けた。

「晴斗くん、うなされてるよ。」

「…たまに寂しいとか、寝言を言ってるんだよ。」

「何が寂しいんだろうね。」

「母さんとか言ってたからね‥両親に会えない寂しさだと思う…亡くなってるから。」

「…知らなかった。」


凜が教えながら、晴斗の頭を優しく擦り、うなされなくなった姿を見て、恵はニコッとしていた。

「見かけによらず、晴斗くんって子供だね。」

「…今の話、晴くんに言ったらダメ、怒られるよ。」

「さすがに言わないよ。」


恵は、二人がどこまで進んだのか聞いていたが、頑なに拒みつづけた。


17時半に恵が帰り、晩御飯の支度を始めると、匂いで晴斗は目を覚まし、凜を見つめていた。

「…やっと起きた、もうすぐご飯だよ。」


ニコッと可愛い笑みを向けられ、晴斗も笑みを返し、そのまま見つめていた。


晩御飯が出来上がると、晴斗はご飯をテーブルに並べて、二人はエビフライを食べ始めた。

「…お風呂入れたよ。」

「ありがと、一緒に入ろ。」

「…からかってないで、食べて。」

「たまには一緒に入りたいな。」

「……二人だし‥いいけど‥秘密だよ。」


凜は恥ずかしそうに、ご飯を見つめて言うと、晴斗は嬉しそうに笑っていた。食べ終わると、凜から先にお風呂に向かわせた。


入浴に行って10分後、晴斗はドアをノックしていた。

「本当に入っていいか。」

「……いいよ。」


恥ずかしそうな声が聞こえて晴斗が入ると、タオルを巻いて待っていた、頭と背中を洗ってもらうと、先に凜は浴槽に浸かっていた。


晴斗はタオルも巻かず堂々としていたが、恥ずかしそうに俯いていた姿を見て、頭を撫でて、一緒に浸かっていた。


足が伸ばせず窮屈になると、俯いて静かにしていた凜を持ち上げ、膝に座らせ同じ方向を見ていた。

「…イタズラしないでよ。」

「しないから、もたれかかっていいからね。」


晴斗に寄りかかってくると抱き締めていた。

「…たまには‥一緒に入ろ。」


甘え声が聞こえ、軽く頭を撫でていた。

「毎日入ろっか。」

「…恥ずかしいから‥たまにだよ。」


晴斗は先にお風呂から出ると、リビングでお茶を飲みテレビを見ていた、数十分後、凜は恥ずかしそうにリビングに入って来た。

「…ベッドでテレビ見よ。」

「いいよ。」


二人は寝室で横になっていたが、凜はテレビを見ずに、上目遣いで晴斗を見ていた、目が合い気づくと、優しく頭を撫でていた。

「…もう寝よ。」

「眠たいか。」

「…うん‥擦ってて。」


甘え声で言われ、キスをして抱き締めて、優しく頭を擦っていると、凜は寝息をたてていた。


晴斗は電気を消して、布団を肩までかけてあげると、そのまま目を閉じていた。

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