第69話凜は誤解の元

家に帰ると冷蔵庫に食材を一人で直していた。

「…晴くんありがと。」

「いいよ、まだ体痛いよね。」

「…痛いよ。」

「だよね、昼御飯まで横になっていいよ。」

「…一緒に‥横になって。」

「恥ずかしそうに言わなくてもいいのに。」


寝室に向かうとテレビを付けずに、一緒に横になっていた。

「…月曜から、また自動車学校通わないとダメなの。」

「バイク買ってあげるから、春休み前に取ってね。」

「いいの、なら着替え持って、小旅行に行ける‥かな。」


甘えた声で言われると、頭を撫でていた。

「一緒に可愛い嫁さんと、二台で行こうな。」

恥ずかしそうに、晴斗は抱き締められていた。

「…まだなんだから‥外で言わないで。」

「どうしようかなぁ…まぁ、言わないよ。」


抱き締め合っていると、窓を誰かに叩かれ、二人は小声で話をしていた。

「…親から連絡あったか、誰かと約束したか。」

「…連絡もないし、私誰とも約束もしてないよ。」

「…静かに待ってて。」


晴斗は一人でドアスコープから覗くと、恵が立っていた。

「誰だった。」

「恵だったけど、家に入れるか。」

「入れてあげて。」


ドアを開けると、恵は腕を組み、遅いと怒っていたが、凜と寝室で横になって、インターホンに気付かなかったと教えていた。

「で‥何しに来た。」

「また後でって言ったよね。」

「来るなって言ったよな、上がって。」

「どっち、上がるよ。」


二人は寝室に向かい、写真が無いのを見ると恵の前で、凜と横になって、布団を被せ、抱き締めていた。

「凜、顔が赤いぞ。」


恵は誤解して、恥ずかしそうに顔を反らすと、立ち尽くしていた。

「…窓叩いて‥なんかごめんね。」

「恵は誤解してるぞ、横になってただけだからな。」

「…そ、そう、誤解してたね。」

「ねぇ‥何の誤解。」

「えっ‥凜は知らなくていい。」


凜が頬を膨らませ、口をとからせると、晴斗布団を被り、キスをしていた。

「…二人の時って言ったよね。」

「布団の中なら視界に入ってない、二人だよね。」

「…そう‥だね、ドキドキするね。」


凜からキスされそうになると、恵が布団を剥がして怒っていた。

「私が居るの忘れてないよね。」

「…忘れてないから布団取らないで、体が痛いんだからね。」

「晴斗くん、やっぱり…」

「体が痛いの、俺のせいじゃねぇよ。」

「晴くんのせいで、朝起きてから痛いんだよ。」

「恵、何で痛いか、説明するから。」

「…二人の秘密って言ったよね。」


恵は恥ずかしそうに、顔が真っ赤になっていた。

「き、聞きたくない。」

「誤解なんだよ。」

「聞きたくないから、黙ってて。」

「…恵ちゃんも、ああ言ってるし。」

「お、お前‥意味分かってんのか、ご‥誤解されて…。」

「…口が悪い、秘密は守ろうね。」

「なっ‥そう言うなら、秘密でいい。」


晴斗はやけくそになると堂々とキスをして、二人の真っ赤な顔を見て楽しそうに笑っていた。

「…お、おっ初めたりしないでよ。」

「しねぇよ‥なぁ凜。」

「…うん、恥ずかしいから二人のときにしてね。」

「意味分かって言ってるのか。」

「さっきから何の意味なの。」


恵と目を合わせると、お互い苦笑いしていた。

「…さすがに、言うの恥ずかしいから恵に聞いて。」

「恵ちゃん何の意味なの。」

「私に振らないで…凜ちゃんは‥知らなくていい。」

「…何で二人とも教えてくれないの。」


凜の悔しそうな表情を見て、晴斗は抱き締めて目を見ていた。

「いつでも、純粋でいてほしいから知らなくていい。」

「…そう言う‥ことだからね。」

「何で恵ちゃんが恥ずかしがるの。」


恵は目を泳がせ、二人がイチャイチャしてるからだよと恥ずかしそうに言うと、凜は謝っていた。

「そう言うことだから、昼御飯作って。」

「晴くんが作るとあれだから‥作ってあげるね。」


恥ずかしそうに立ち尽くしていた恵を、ジーっと見ていた。

「ところで、何しに来た。」

「…勉強しに来た。」

「今からご飯食べるからな、お帰りはあちらです。」

「…邪魔なら家で食べる。」

「晴くん、恵ちゃんまでからかったらダメだよ、まだなら作るよ。」


三人はリビングに向かうと、凜は台所に立っていた。

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