第53話散歩

二人は入浴後…麻莉菜は晴斗を見るとニヤニヤしていて、凜は恥ずかしそうに‥少し俯いていた。

「二人ともどうした。」

「晴兄は変態。」


麻莉菜に耳元で言われ、晴斗は納得いかない表情を向けていた。

「なぁ、麻莉菜に何かしたか。」

「晴くんちょっと来て。」


凜に手を引っ張られ、二人が寝る部屋に連れて行かれた。

「なに、麻莉菜と話してたんだけど。」

「…それがね‥キスマーク見られちゃった。」

「だから、あんなこと言ってきたのか。」

「…なにか言われたの。」

「別に‥大したことじゃない。」

「…晴くんがそう言うなら。」


二人はリビングに戻ると、祐希も帰って来て、6人で晩御飯を食べていた。


晴斗は先に食べ終わり、入浴後リビングに戻ると、麻莉菜が寄ってきて、言われた一言で…

「晴兄はどうして、家族の凜姉…。」


娘が変なこと言うと分かったのか、言い終わる前に美香さんが止めていた。

「義兄妹だから結婚も出来るの…変なことそれ以上言わない。」

「…晴兄ごめんなさい。」

「…別にいいよ、少し散歩してくる。」

「晴くん待って。」

「直ぐ帰ってくるから、待っててね。」


晴斗は笑って言ったが、玄関を出ると元気をなくして一人で散歩に向かった。


ココアを持って、近くの公園で頭を抱えて座っていると、ほんの数分で、凜が目の前に立っていた。

「付いてきたのか。」

「晴くんが心配だったから‥こっち向いて。」

「……」


晴斗は黙って言葉を発しなかった。

「麻莉菜の言葉を気にしないで。」

「…なんでだろう、急に落ち着かなくなった、やっぱり‥関係がおかしいのかな。」

「おかしくないよ、人の話を聞く、晴くんじゃないでしょ。」

「身内なら聞くよ…やっぱり凜を好きにならなければ‥良かったのかな。」


晴斗にビンタをすると、凜は泣きそうな顔で抱き締めていた。

「…思っても言わないでよ。」

「ごめんね。」

「…もう言わないで。」

「ホントにごめん。」

「…もういい、暗いし帰ろ。」


夜道で、繋いだ手に力が入っていたが、不思議に思い聞いていた。

「一人で夜道歩けたんだね‥怖くなかったか。」

「もう怖くないよ。」

「へぇ、今度懐中電灯もって廃墟でも行こっか。」

「…晴くんが居るから怖くないだけ‥絶対行かないからね。」

「分かったよ。」


家に帰りテレビを見ていると、麻莉菜から謝られ、怒ってないことを伝えると気になるのか聞いてきた。

「少し見たんだけど‥晴兄がマーク付けたの。」

「よく見ると、キスマークじゃないよ。」

「…私の気のせいだったのかな‥晴兄も見たんだね。」

「あぁ、凜がどっかで打ったみたいだからね。」

「…そうだよ、マークじゃないよ。」

「…そうなんだ、おやすみ。」

「おやすみ。」

…凜のために、騙せたかな。


テレビを見終わり、時間を確認すると、22時半。

悟さん達に寝る事を伝え、凜と寝室に向かった。


別々の布団に入って、話をしていた。

「…明日早めに帰ろう、買い物行かないとね。」

「麻莉菜にプレゼント買って帰ろうか。」

「…うん。」


二人が話をしていると、麻莉菜が枕を持って部屋に入って来ると、凜の布団に入り話をしていた、晴斗は布団を頭まで被って眠りについた。

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