第46話冗談なのに…

凜は家に帰るまで、晴斗が話し掛けても、ずっと悲しそうに黙ったままだった。


「凜、おかえり。」

「…ただいま。」

「ずっと悲しそうな顔してる…来て。」


凜を寝室に連れて行き、ベッドに座らせると、晴斗は正面に立って頭を擦り、何度も声を掛けていた。


「どうしたん。」

凜は途中から声が震えていた…

「…私がばらさないでって言ったのに‥バレると晴くんが‥自分のせいにしちゃうから‥負い目を感じて。」

晴斗はそっと隣に座ると凛を抱き締めていた。

「負い目を感じる必要ないよ、悪いのは俺だからね、放課後行こって言わなかったら、バレてなかった‥ごめんね、。」


晴斗が言い終わると、凜は学校からずっと我慢してたのか、抱き付き泣いてしまった。

「……でも。」

晴斗はずっと頭を優しく頭を、撫でていた。

「泣くことないよ、バレたのは恵だけ…いつかは他の人にも、バレるからね。」


凜が泣き止むまで背中に手を回し擦っていた。

「…膝に座っていい。」

「いつも勝手に座ってたよね…二人で暮らすと座らなくなったけどね。」

「…意識して、恥ずかしいんだよ」


凜は抱き付き、胸に顔を置くと…話をして、晴斗は擦っていた。


「昨日はすぐ寝てたね、今日は早めに休もうね。」

「…うん」

「今スカートだから、先に着替えようか、廊下で待っとくからね。」

「…晴くんに洗濯で見られてるから、このままでいいよ。」

「そっか、そう言うならいいよ。」


落ち着くと着替えて、テレビを見ていた。

17時過ぎになると、凜は昨日の残り物を温め直し、晩御飯の支度をしていた。


晴斗は洗濯物を取り込み畳むと、お風呂の準備をして、二人は晩御飯をこたつに並んで、テレビを見ながら食べていた。


食べ終わると、凜は「先に食器を洗うから、晴くん先にお風呂入って。」言い出して、食器を洗っていた。


晴斗は、からかいたくなり、凜を見て言っていた。

「一緒に入浴したいなら、遠慮しないでタオル巻いて、入って来て良いからね。」

「……」


晴斗は、凜の真っ赤な顔を見ると満足して、服などを準備するとお風呂に向かった。


晴斗が頭を洗っていると…ガチャっと扉が開いて、冷たい風が入ってくると、手探りでドアを閉めようとして、誰かの足に触れていた。


「…えっ、入って来たのか。」

「……」


晴斗はシャンプーを流すと、正面の鏡で確認していた。

…あれ誰もいない。


目で確かめようと、振り向こうとして、浴槽に浸かる凜と目が合い…さすがに晴斗は目を見開いた。

「えっ…マジで入って来たん。」


凜はタオルを巻いて体を隠して、恥ずかしそうに頬を染めて笑っていた。

「…最近、からかわれるから、ホントに入るとどうなるかなって思って…反応が面白かったよ……すごく恥ずかしいけどね。」

「入って来たなら、リンスで頭を洗ってくれる。」

「…いいよ、こっち向いてね、甘えん坊さん。」

「あぁ今だけ、呼ばせてあげるよ。」


凜にタオルを渡され膝に置くと、頭を優しく洗われ、自分で体を洗い浴槽に浸かった。

「実家でも一緒に寝てたし、そんなに恥ずかしくない感じ。」

「うーん…恥ずかしい。」

凜と目が合うと…

「俺が何もしないと思いすぎだからね…狭いし、先に頭だけ洗ったら。」


凜は、晴斗の肩にちょこんと頭を乗せていた。

「…勇気だして、入ったからもう少しだけ、一緒に浸かろ」

晴斗の心臓はバクバクと心拍数が上がっていた。

「…あぁ、いいよ。」

「晴くんも…ドキドキしてるね。」

「まさか、入って来るとか思わなかったし。」

凜は満足そうに、笑っていた。


数十分後、凜が頭を洗いだすと、晴斗はお風呂から上がり、寝る準備をして、21時前に寝室でテレビを見ながら横になっていた。


数十分後、凜は寝室に入って、晴斗に抱き付いた。

「どうした…甘えたいのか。」

「…泣いたから‥かな、甘えたい。」

頭を擦っていた。

「いつも一緒だからね。」


凜は、晴斗の首から服を捲りキスマークを付けようとしていたが、晴斗は擽って止めさせようとしていた。

「ホントに、やめようね。」

「…やだ。」


凜に体重を乗せずに股がると、両手を押さえていた。

「一回付けてあげようか、ゾクッとするよ。」

凜は頬が赤くなっていた。

「…晴くんならいいよ‥付けて。」

「首に付けるから。」

「…見えない場所に‥して」


晴斗が顔を近付けると、凜は顔が赤くなり、目を閉じ、横を向いた。

「どこに付けて欲しい。」


凜は黙って首から鎖骨まで服を捲った。

本当に付けて良いか聞くと、首を縦に振った。


晴斗が、キスマークを付けていると「んっ」と可愛い声が聞こえた。


「終わった。」

「…ちょっと擽ったかった‥私の番だよ。」

「はぁ…付けてって言ったよね、俺はいらないよ。」

凜は悲しい表情をしていた。

「…私が嫌いなの。」

「好きだけど、さすがにいらない。」

「…今度寝てる時に付けるからね。」


ベッドの上で横になると、小声で話して…二人は眠りについた。

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