第43話翌日、挨拶と…朝

朝9時、同時にスマホのアラームが鳴った。

…どこだ‥あぁ引っ越したんだったな。


凜を見ると疲れてたのか、寝惚けていた。

「…ここどこ」

「二人暮らしのアパートだけど‥寝惚けてるぞ。」

「…ん‥二人だけで。」

「二人暮らし‥昨日は疲れたけど、挨拶とか買い物とかするからね、早めに起きてね。」


凜は眠そうに両手を差し出した。

「…起こして。」

両手をそっと引っ張ろうとすると、甘えていた。

「…お越しかた‥違う‥んっ」


凜が目を閉じキスをして起こすと、後ろから手を回され、洗面台まで向かい、一緒に顔を洗っていた。


晴斗は急に朝御飯を思い出して、落ち込んでいた。

「…凜の手作りじゃないけど…はぁ‥コンビニ弁当温めて食べようか。」

「私が、お昼も晩御飯も作ってあげるから、元気出してね。」

「挨拶どうでもいい、先に買い物に行こっか。」

「先に挨拶行かないとダメだよ。」

「…あぁ先に挨拶行こっか。」


温め終わるとダイニングテーブルで食べていた。

「物置いても広いな、食べながらでもテレビ見やすいね。」

「開けてない箱が少しだけ、隣の部屋に直してるから広いんだよ…でも全部箱開けても確かに広いね。ふふっ」

「まぁ食べたらさっさと挨拶終わらせて、早く食材を買い物行こな。」


ニコニコしながら、小首を傾げて…

「…私の作るご飯って、そんなに美味しい。」

「美味しいよ、正直不味かったら食ってないし、不味いの1個も食ったことないよ。」

「…ありがと。」


二人は食べ終わると、隣に挨拶をしに行こうと準備をしていた。

「まず隣に挨拶行くよ。」

「ちょっと、持って来るから待ってね。」


凜は菓子折りを持ってきた。

「隣に誰が住んでるか、聞いた。」

「子ども連れで暮らしてるとか聞いたよ。」

「やっぱり2LDKにしては、広いと思ったよ。」

「…広いけど、私は晴くんと、二人暮らしがいい。」

晴斗は嬉しくなりキスをした。

「あぁ、可愛いなぁ‥ほら行こ。」

「……急にしたら‥ダメ」

「したらダメだったか。」

「…嬉しいけど」

「なら、挨拶終わらせに行こ。」


凜は恥ずかしそうに後ろを付いて来た。

隣のインターホンを鳴らすと、すぐに男性の声が聞こえて、隣に引っ越して来た事を伝えると、20代ぐらいの夫婦と子ども2人が出てきた、すぐに挨拶をして、晴斗は子どもに目線を合わせ「仲良く食べてね。」と渡し、少し話をして自宅に戻った。


晴斗は自宅に入ると、楽しそうに笑っていた。

「恥ずかしかったか、女性が冗談よって、笑って言ってたぞ。」

すぐ凜は後ろから、抱き付いて、手が震えていた。

「…二人は若いけど、もう夫婦かな、とか言われて、晴くんが即答で、残念まだ高1です、とかずっと楽しそうに話してるから…恥ずかしいに決まってるでしょ。」

「高校生が二人で暮らすとか思んだろ‥黙って家を決めるし、行動力だけ凄いよね‥ほらまだ下に挨拶しないとね、泣いたら今日は一緒に寝ないからね。」 


凜は少し声も震えていた。

「…絶対泣かない‥下の人は知らないからね。」

晴斗は抱き締めていた。

「凜はなんで、家では涙もろいの。」

「…まだ泣いてないけど、晴くんの前だと安心してるから‥かな、泣きたくて泣いてる訳じゃない…自分でも‥全然わかんないよ。」

「わかった、落ち着いたら行こうね。」

「……私、めんどくさいよね、ごめんね。」

「正直めんどくさいとか思ったことない、恥ずかしがり屋で、泣き虫だけど、そういう所が可愛いからね、泣きたくなったら、泣いていいって言ったよね、安心してね。」

「…うん‥不良少年が真面目になったね。」

「あぁ、元々不良じゃねぇよ‥マジでうるさい。」

凜は上目遣いで…

「ちょっと照れちゃって、恥ずかしいの。」

「たまに弄るのはいいけど‥過去の事を弄られるの好きじゃないだけ。」

「私が傍に居るからね。」


晴斗は仕返しにキスをして笑うと、凛は赤面し…

「仕返し、学校で言わなくて良かったね、真っ赤な顔で行こ、意地悪だから許してね。」

「…仕返しってやり返されたいの、さっきも急にしたでしょ。」

「凜の仕返しは痛いし、やっと跡消えたから、気持ちだけ貰うね、ありがと。ははっ」


晴斗はすぐに菓子折りを持って1人玄関を出ると、凜はすぐに付いて来た。


二人は下の階の挨拶に行き、インターホンを鳴らすと、女性の声が聞こえ、引っ越した事を伝えると、30代後半の夫婦が出てきた、二人は挨拶をして、家に帰ってリビングで話していた。


「下の階は夫婦だけだったな…よし挨拶終わったし、買い物に行こ。」

「行くけど、玄関見たら夫婦の物ではない、若者の靴と思う‥物が少し見えたよ。」

「そうか、どうでもいい。」

「…晴くんらしいね、ふふっ…買い物行こ。」

「行くけどさ、エコバッグ知らない、実家から持って来るの忘れたかな、鞄と財布持って来るから行こ。」

「エコバッグ、キッチンに置いてるから、持っていくね。」


二人は準備をすると、11時過ぎに、歩いて買い物に向かった。

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