第40話夜景を見に…翌日

休憩を済ませ、19時、夜景を見にバイクで山道を登っていた。


到着して、バイクを降りると、外灯の明かりで目が合うと、恥ずかしがる凜の手を取り、ゆっくりと夜景が見える場所まで歩いていた。

「寒くない、大丈夫。」

「…寒くないけど‥夜は怖い。」

「大丈夫怖くないよ、ほら見えてきた。」


二人は、夜景が一望できる場所まで来ると、建物や街灯の明かりで綺麗にライトアップされてる街並みを、山から眺めていた。


薄暗いが、凜が嬉しそうにニコニコしている横顔が見えた。

「凜は夜、外に出ないらしいからね、夜景を見せたかった。」

「…ホントに綺麗だよ、連れて来てくれて、ありがと…でもよく知ってたね。」

晴斗は楽しそうに…

「あぁ、バイク乗ってから、金曜と土曜は夜中まで帰らなかったよ、待ってる人も居なかったし、色々調べて回ってた、ここもその1つ、久しぶりに見たけど‥やっぱりここも落ち着く。」

凜は楽しそうにクスクス笑っていた。


二人はベンチに腰掛け、凜は晴斗に寄り掛かった。

「…今日は、本当に楽しいよ。」

「よかった、俺も楽しかったからね。」

「…また、二人で遊びに来ようね。」

「良いよ。」

「ねぇ…目を閉じてこっち向いて。」

晴斗は横を向いて恥ずかしがる凛に…

「男が目を閉じるのも嫌だなぁ…でも、今日は仕方がないね。」


晴斗は仕方なく目を閉じた。

凜はキスをして、すぐに顔を肩に戻すと「…今日は忘れられないよ」と小声で聞こえないように、言ったつもりだったが、聞こえていた晴斗は、唇を噛んで笑い声がでないように頑張っていた。


「…笑わないで。」

「ごめんね、今日、凜の表情はいつもより幼く見えて、可愛いなぁって、思い出して笑ってた。」

「…うるさいよ、寂しがり屋さん」

「なんで怒る、学校では見せない…魚見てる、凜の姿は子どもだな、やっぱり可愛いなって思い出して…言葉が足りなかった…誤解させて、本当にごめんね。」

「…いいよ、私が誤解してた、ごめんね。」


二人は夜景を一時間程見て、話して自宅にバイクを走らせた。


22時前に、自宅に到着したが、外からでもリビングの電気が点いているのが確認できた。



玄関のドアを開け、二人はリビングに顔を出し、両親にただいまと言って、2階に上がろうしていた。


凜は、晴斗と目が合うと恥ずかしいのか、頬が赤くなり俯いて2階に向かった。

晴斗は自室で着替えて、ベッドに横になって、スマホを見ていると寝ていた。



……………………





晴斗は、翌朝10時前に目を覚ました、1階で顔を洗ってリビングに入っても、寝室を開けても、両親の姿がなかった。

…凜は部屋かな、お越しに来ないって珍しいな。


2階に上がり、凜の部屋をノックしても、返事がなかったが、ドアを開けて覗くと、姿がなかった。

…どうなってんだ‥電話しないとなぁ


家族皆に電話をしても、出ることなく、すぐプチっと切られていた。

…はぁー、まぁご飯でも食べよう。


冷蔵庫を開け作りおきされた、ご飯を温めて食べ終わると、コンビニに行き30分程で帰って来ると、テレビを見て、ボーッとしていた。


両親達が帰って来たのは16時を過ぎていた。

リビングに入って来て、ただいまと聞こえたが、視線をテレビに向けたまま‥おかえりと返した。


凜は申し訳ないと表情に出ていた。

「…晴くん、電話に出なくてごめんね、でも、いいお知らせがあるよ、ないしょのネタばらし。」


晴斗は、ネタばらしに即答した。

「なに。」

「怒らないでね…二人で暮らしていいよって許可もらえて、家を見に行ってたの。」

晴斗は深い溜め息をついて、両親を睨んでいた。


両親は他人事のように…

「晴、私と誠さんは、新婚でしょ。」

「その前に親だからな。」

「凜が初めて、わがままを言ってね、泣いて頼んできて3人で悩んだ結果許可したからね。」


晴斗は頭を抱えていた。

「…なぁ‥俺も家族だよね…4人で悩めばいいよね。」

「私達‥新婚で子供も欲しいしかなって‥マンションにでも引っ越そうかな、正直まだ決まってないけどね、職場が近いと家に長く居れるし、二人も高校生だし、学校の近くだと駅も近いし、買い物もすぐ出来る、バイクだと買い物も出来ないでしょ。」


晴斗は急に訳が分からず話を聞いていた。


凜は、訴えていた。

「晴くん、ここの家は夏になると虫が多い、駅も遠い、もう色々リッチが悪いのわかるでしょ」

「…あぁ、本当に学校付近に比べると、周りなにもないね。」

「そうでしょ…だから二人で暮らす‥よね。」

「…4人で暮らしたら家族なんだよね。」


恥ずかしそうに頬を染め、耳元で…

「…イタズラ‥できる‥かもよ。」

「マジで‥喜ぶと思ったか。」

凜は頬を膨らませ…

「…もう恥ずかしいのに言ったんだよ、二人で良いよね、顔見たくなったら会えばいいんだよ。」

「そっか、会えば良いのか、分かった、どうせ拒否権ないんだよね。」

凜は抱き付き、甘えた声で…

「…ないよ‥良かった、もう場所決めたからね、2月に引っ越すから…晴くんが家賃払ってね。」


晴斗は目を見開いて、両親を見て言った。

「えっ、マジで言ってんの、場所も決めた‥のか、一銭も出さないの。」

「お金持ってるのに、ケチ臭い…3人で決めたよ‥決めたもん勝ちだしね、晴のこずかいは無し、その代わり両親合わせて二万だけ家賃出してあげる。」

「そっか良かったよ、でも俺ってケチ臭いのか……いやいや、勝手に家決めるのが悪い…バイトしたら良いか。」

「…晴くんバイトは、まだ考えないでね。」

「あぁ、納得してないけど…わかった。」

「晴くんの部屋は物が無いから、すぐ引っ越しの準備出来るからね…後で私の部屋片付けるよ、手伝ってね、あと、今からお金下ろして来て。」

「…家電買うのか、要るもの分かるから1日の限度額下ろして来るけど…気が早い。」

「明日家電買いに行こ。」


晴斗は納得しないまま、お金を下ろしに行った。

晩御飯の時間になるまで、凜の部屋を二人で片付けていた。

ご飯の時間になると食べて、入浴後すぐに、凜の部屋に行き片付けて、眠たくなると自室に戻り1人横になって、スマホを触って眠っていた。

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