第23話お泊まりは……

凜と手を繋ぎモールを歩いて6時半前に、親戚の家に戻った。


《ただいまー》

《お帰り》


「晴兄どこ行ってたの。」

「ショッピングモールに行って来た。」

「なら、明日は私と行こうね。」

「行きたい人連れて行こ。」

「約束だよ。」

「あぁ、約束だ。」


「そろそろ、ご飯にしましょう。」

テーブルを出して、8人揃って、晩御飯を食べ始めた。

《いただきます》


「晴斗くん、今日は、疲れたでしょ。」

「正直、疲れましたよ。」

「朝、祇園に行って来たと、言ってたけど、たしか、近くに水族館あるからね、今度凛と行って来たらいいよ。」

「水族館ですか、凜行きたいか。」

「行ってみたいなぁ!」

「今度、二人で行って来ます。」

「二人はホント仲良しだね、行って来るといいよ。」

悟さんと凜と3人で話をしてると、麻利奈が晴斗と目が合うまで、手を止めて、じーっと見ていた。


「ずっと見つめられると、気になるんだけど、どうした。」

「凜姉ちゃんだけズルい、私もバイクで行きたい。」

「兄ちゃんに免許取ってもらって、二人で行くといいよ。」

「俺はバイク免許取らないよ。」

「兄さんとはイヤだ、晴兄と行きたい。」

「両親に危ないからダメだと言われなかったか。」

「…言われたよ。」

「なら、ダメだよ。」

…悟さんはしっかりダメだと言ったんだ、よかった。


麻利奈は両親をじーっと見て悟さんが口を開いた。

「麻利奈そんなに、乗ってみたいか。」

「晴兄と乗りたい、明日だけでも、ダメかな。」

…頼むから、断れよ


「しかたがない、明日少しだけ、晴斗くんに乗せてもらって‥でも晴斗くんが良いならだけどね。」

「はぁーー」

「晴兄、いいよって許可貰ったよー」

悟さんが途中から、晴斗を見て答え、晴斗は頭を抱えてガックリと肩を落としたが、麻利奈はニコニコしていた。

…この人たち、アホだ。


「事故したら、どうするのー」

「凜ちゃん、晴斗くんは危ない運転する?」

「晴くんの運転、危なくないよ。」

「凜さん、そこは、怖いですって答えろよ。」

「一緒だと楽しいんだもん。」

…だもんってなんだよ、可愛いなぁー


「晴斗くん、明日少し乗せてあげて。」

「分かりましたよ…凜はいいんだな。」

「私に聞かなくても別にいいよ。」

「麻利奈良かったね、凜と親からも許可貰えて、俺は、これで凜から怒られない。」

「やったー、晴兄明日楽しみだぁ。」

「晴くん、なんで私が怒ると思ったの。」


凜の耳元でこっそり答えた。

「頭を撫でただけでも、怒ってたのに、バイクに乗せたら、抱き付いてもらわないと、いけないんだけどね。」

「…あっ」

「だから、聞いたんだよ、凜も抜けてるね。」

凜は頭を抱え麻利奈と晴斗を交互に見ていた。


「凜ちゃん、なんて言われたの。」

「…な‥内緒ですよ。」

「凜が機嫌悪いのは、明日になれば皆分かりますよ。ははっ」

「晴が何を言ったのか分かったわ。ふふっ」

…父さんも笑ってるし、分かったみたいだな、親戚は、わかってないし、面白いなぁ


晴斗はここぞとばかりに、凜をからかって遊びだした。

「麻利奈は、何分乗りたい。」

「長い時間乗ると、危ないよ。」

「凜姉ちゃん、さっき危なくないって、言ったでしょ。」

「…うっ」


凜は晴斗に目で乗せないでと、訴えたが、凜の目をチラ見して、笑いながら麻利奈に聞いていた。

「麻利奈ちゃん30分でいい。」

「うーん、乗りながら決めよ。」

「まぁ、そうだね。」



それから、皆食べ終わり、お風呂も入り、22時までリビングで話をして、麻利奈と祐希は、部屋に戻って行った。


「晴斗くんもお風呂も入ったし、もう寝るかね。」

「眠たいので寝ます。」

「凜ちゃんと同じ布団でもいいわよ。」

「あぁ、一人で寝ますので結構です。」

「凜ちゃんが部屋知ってるから案内してもらって。ふふっ」 

「大人4人揃って、ニヤニヤと企んでますね、眠たいので聞きませんが、おやすみなさい。」

《おやすみ》


鞄を持って、凜に部屋の場所に案内され、真っ暗な部屋に入り、豆電球をつけた。

「凜なぜ不機嫌なの。」

「…晴くんのバカ」

凜は晴斗を摘まんで怒ってた。

…凜は夕食にからかった事に怒ってるんだな。

「…痛い、夕食中にちょっとからかい過ぎた、我慢させてゴメンね。」

「…ちょっとじゃないよ、許さない。」

「泣きそうな目やめて、ホントにゴメンね。」

「…帰ったら、いうこと聞いてね。」

「き‥聞くから、泣かないで、ホントにゴメン。」

「……ホントに‥泣きそう‥だよ。」

「凜泣いてるよ‥からかって我慢させてゴメン。」

「…うっ。」

凜は晴斗の胸で泣き出し晴斗は頭を撫でた。

…からかいすぎたかなぁ、本当泣いちゃった。


「凜泣いてたら、寝る部屋に行けないよ。」

「…この家で私たちの寝る場所は昔から‥この部屋だから。」

「なん‥だと、麻利奈の部屋とかで寝ないのか。」

「なんだと、じゃないよ奥をよく見て、あと麻利奈ちゃんの勉強の邪魔になる。ふふっ」

奥を見ると1メートル先に親の布団も敷いてあった。


「あのやろぉ、だからニヤニヤと、笑ってたのか、からかいやがって、もういい、凜泣き止んだし、寝るから、あっち行って。」

「晴くんおやすみ。」

「あぁ、おやすみじゃねーよ、自分の布団で寝ろよ‥もう眠たいんだよ。」

「晴くん怒ってるの。」

「…怒ってない、4人に呆れたんだよ、先に同じ部屋って言えばいいと思っただけ、だから布団からマジで出ろ…正直眠たい。」

「晴くん‥ひどい、でもおやすみ。ふふっ」

「あぁ‥おやすみ凜。」


凜が布団から出て、5分も掛からず晴斗は眠りについた。


ーーその頃凜は……

晴斗が寝て、凜は自分の布団で寝ようとしていた。


~凜視点~


「晴くん」

「晴くん、もう寝たの。」

…ホントに寝たんだー


凜は、目を赤くして、リビングに向かった。


「凜ちゃん、どうしたの、泣いてたの。」

「泣いてないよ。」

「凜ちゃんが、そう言うなら泣いてないんだね。」

「…うん」

「どうした、晴斗くん寝たのか。」

「すぐ寝たよ。」

「晴斗くんと同じ部屋だと寝れないのかな。」

「…うん」

「あらあら、顔真っ赤だよ、ふふっ」

「……」

「凜、未来の旦那さん、取られないようにね、ははっ」

「…お父さん‥恥ずかしいから、言わないでよ。」

「凜の旦那さんかぁ、なら一緒の布団で良かったな。」

「おじさんも、みんな酔っぱらってる。」

「同じ布団で寝ても、誰も言わないから、安心して。」

悟さんは親指を立てて、大人が笑っていたが凜は泣きそうだった。

「……」

美香さんに旦那は怒られていた。

「凜ちゃん、泣きそうになってるから、あまり言わないの。」

「凜、泣いたら旦那に慰めてもらいなよ、ははっ」

「…もうみんな‥酔っぱらってるから‥嫌い。」

「ホントに泣いて行ったじゃない。」

「凜、旦那と寝るんだぞー。ははっ」


凜は晴斗の布団に入って抱き付いて、声を殺して、泣き疲れて眠った。

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