第255話 彼にとっては当たりの道。

「あー。暇だ……」


 ボロボロの長い食卓用のテーブルに足を乗せ、椅子を揺りかごの様に揺らすゴーストキング。

 ゴーストなのに足があるのかと思った貴方。

 彼は今、魔力を使い疑似的な体を作り出している。


「あいつらいつまで遊んでんだ? 別に態々行かなくても俺が配置した兵士達は完璧なんだぞ? 腐れグールや骨野郎のスケルトンの奴らには分からんだろうが、王と言うのは盤面を操る者でないといかんのだ。態々自身が足を運ぶなどそんな事をしては王とし手ありえん! そこに王が不在とした城など、それこそあっと言う間に敵に占領されてしまうではないか。あいつらは直ぐに駒の兵や眷族を召喚できるだろうが、俺はゴースト……眷族を召喚するにどれだけ時間がかかることか……。その分、質(強者)の良いデスナイトやリッチが召喚でき、この城を鉄壁な守りの固城としたものを。俺としてはこっちが楽しめる分は良いのだがな。さて、先程中庭に落ちた運の悪い渡り鳥どもは如何なったか。既にデスナイトの餌となったか、いや、中庭にはギャザリンも多数配置した。恐らくデスナイトの出る前と既に息絶えておるかな。しかし、この城の上空を飛ぶなど莫迦な鳥だ、んっ? あれ、何か鳥にしては大きくないかあれ……。はっ!?」


 ゴーストキングが中庭が見える方へと視線を落とすと、ギャザリン達が何かを取り囲みつつも、何故か大きく吹き飛ばされる光景を目にしてはゴーストキングは口をポカーンと開ける。


「おー。意外と使えるね。ロックバード達」


 数多くのギャザリンを相手をしているのは〈幻獣召喚〉で召喚されたロックバード。

 体格差もあってロックバードの突きや足蹴りの攻撃はギャザリンには有効なのか、次々とモンスターを吹きとばしていく。  

 ミツと精霊で相手しても良いのだが、ギャザリンよりも注意して置かなければいけないデスナイトがいる為、数の多いギャザリンはロックバードの力の検証も兼ねて処理を頼んでいる。

 ロックバードが骸骨剣士が持っている黒の証を奪い、それをクチバシにて潰そうとする。

 すると慌ててそれを取られた骸骨剣士がロックバードへと剣を向けるも、ロックバードが咥えた黒の証にヒビが入る。

 その時、ユイシスの助言が入った。


《ミツ、スキルを取るならば黒の証が破損してしまう前とそれに〈スティール〉をして下さい》


「えっ!? 本体があっちなの? そりゃ騙されるわ〈スティール〉!」


 

その言葉に驚きつつ、ミツはロックバードがクチバシで今にも壊しそうな黒の証へとスティールを発動。


《スキル〈護衛〉〈守備強化〉〈統率〉を取得しました》


護衛

・種別:パッシブ

誰かを守る状態になると周囲の警戒能力が上がり、反応が早くなる。レベルが上がると反応速度も早くなる。


守備強化

・種別:パッシブ

仲間がいた場合、相手の攻撃を防いで味方を守りやすくなる。レベルに応じて仲間を守りやすくなる。


統率

・種別:パッシブ

仲間の陣形をまとめやすくする。レベルが上がれば効果が増す。


 スキルを失った為なのか、他のロックバードが攻撃していたスケルトンソルジャーがまるで守備力を失ったかのように攻撃に脆くなった。

 これは良いと、ミツはスティールを連続使用。

 ギャザリンのスキルを奪うたびにロックバードの動きは機敏に、彼が思った通りの動きをするようになっていく。

 恐らく〈統率〉の効果が早速見せてるのだろう。


「何だあの鳥は!? えっ、あれってロックバード!? 何でこんな所に居るんだ……。あれは森から出てくるような物では無いはず……。ちっ、なるほどな……。あの下賎な侵入者の血の匂いに飛んできたと。あー、それをデスナイトが飛んでいく途中に攻撃したのか。やっちまったな……。仕方ない、ギャザリンには荷が重い相手、デスナイトに処理を任せるか」


 ゴーストキングは勘違いをしていた。

 確かにロックバードは血肉の匂いに敏感であり、戦場に残された死体などを食べにくる習性がある。

 今回侵入してきた人間の数も多く、ゴーストキングは匂いが分からないが、恐らく街や城にまで死んだ人間の匂いが充満しているのだろうと思っていた。


 ゴーストキングは魔法を発動。

 ロックバードを相手しているギャザリンを下げ、デスナイトを前に出す。

 しかし、数体のギャザリンの反応が悪く全てを下げる事ができなかった。

 恐らくロックバードに足をやられたのかと思っているが、実はその反応が遅いギャザリンに対しては、ミツがスティールにてスキルを奪ってしまっているせいでもあった。

 駒の反応が悪い事に少し苛つきも、デスナイトの剣がロックバードを倒し始めた事にそんな苛立ちも無くなるゴーストキング。


「よしよし、後はデスナイトに任せておけば良いだろう」


 その言葉を残し、戦闘を見届けることなくゴーストキングは窓辺から離れ、やる事があると城の中へと消えていく。

 

「やっぱり体格差もあってロックバードには不利な相手かな……」


「マスター、ギャザリンが後退した代わりと全てのデスナイトが前に出てきてます。マスターがお出し頂きましたロックバードでは荷が重い相手。僭越ながらここは私達にお任せ頂ければと。必ずやマスターの希望される戦果をお出し致します」


「んー。ギャザリンから奪えるスキルは全部MAXにできたからもういらないから別に良いけど。フォルテ、行けそう?」


 ミツの言うとおり既にギャザリンから奪えるスキルの〈護衛〉〈守備強化〉〈統率〉は全てをレベルMAXにしているのでギャザリンに追い目はない。


「はい。これぐらいの相手、本来ならば私達姉妹の一人でも対処可能です」


「へー。自信ありそうだね。でも一人は危ないからせめて二人でやってみて貰えるかな?」


「はっ! では私とメゾの二人が向かわせて頂きます。行きますよ、メゾ」


「はい、姉様」


 ロックバードの数が減っていき、最初10体は出していたが今では4体と数を減らしている。

 ロックバードが倒されたことは驚きだが、倒された瞬間ロックバードが塵の様に消えてしまうので、動物が殺される様な不快感をミツに与えていないのが幸いであろうか。

 その4体もスキルを解除し、代わりとフォルテとメゾが前にでる。


「姉様、何を使われますか? 私は剣と変えますが」


「そうですね、私は弓を使いましょう。前は貴女に譲ります」


「分かりました。では行きます」


 メゾは手に持っていた槍を剣の形と変え、デスナイトも両断してしまうと思える大剣を出しそれを肩に背負う。

 フォルテは槍を弓と変え光の矢を引く。

 駆け出したメゾはデスナイトの攻撃を払い、剣を払い飛ばす。

 武器を失ったデスナイトは拳をメゾに振り落とそうとするが、その攻撃をフォルテの矢が突き刺さり阻止する。

 先ずは一体と、集中的な攻撃を繰り出し、デスナイトをあっという間と瀕死状態とスキルが抜ける状態にしてしまった。

 唸り声を上げながらミツの方へと歩みを進めるデスナイト。

 一歩、一歩と最後の一撃を入れようとするその意気込みはよし。

 だがその光景はミツにとっては鴨が葱を背負って来る状態でしかない。


「凄いね。1分もかかってないよ」


「マスター、あの魔物の手が届く前に」


「おっと、そうだった、二人の戦いに感心する前と自分のやる事をしないと。〈スティール〉っと」


 フォルテとメゾのコンビでの戦いに目を奪われていると、ティシモが優しく耳元にて助言をくれる。

 ハッと思えばダカーポとフィーネがいつでも動けると二人は槍をデスナイトの方へと向けていた。

 

《スキル〈ドレインスラッシュ〉〈首斬り〉を取得しました、経験により〈馬術〉Lv2と上がりました》


ドレインスラッシュ

・種別:アクティブ

ダメージを与えた相手のHPを自身の物にする。


首斬り

・種別:アクティブ

首に対する攻撃力アップ。レベルが上がれば威力が増す。


「よし、取れた。二つのスキルもありがたいけど、馬術スキルは嬉しいね。丁度バイコーンも召喚できるようになったし、今度鐙でも作って乗馬移動でもしてみようかな」


 ミツがデスナイトからスキルを奪い取った後、空っぽとなったデスナイトが前倒れになる。

 その背中にはキラキラと光るフォルテが放った矢が数本既に当たっていた。

 ミツはひらひらと手を振りフォルテへと感謝を伝えれば、彼女はペコリと会釈を返してくれる。

 そんな二人のやり取りにメゾがヤキモチを焼いたのか、私もマスターに褒められたいと手に持つ大剣に力が入る。

 剣を構えるデスナイトへと彼女が大剣を振り落とせば、デスナイトと構えた剣がズバッっと両断。

 それを一体だけではなく、近くに居たデスナイト達も次々とメゾは切り伏せていく。


「ははっ……。メゾ、随分と張り切ってるね」


「はぁ……困ったものです。マスター、メゾが全てのデスナイトを倒してしまう前と」


「うん。スキルを取っておかないとね」


「では、メゾを止めますので」


「いや、あの娘はそのままで良いよ。メゾの戦いに他のデスナイトも注意を引いてくれてるからね。自分は後方に回って行ってくるから三人は上で待機してて」


「かしこまりました。二人とも、行きますよ」


「「はい」」


「さて、二人が頑張ってくれてる間とパパっとやっちゃいますかね」


「全く、またポイズンスライムが配管に詰まりよって。狭いところなら他にもあるだろうに。よっ! よっ! ええいっ、さっさと出て来い!」


「ふー。取り敢えず便所の掃除は終わりだな。後は、おお、デビルフィッシュに餌をやらねば。またゾンビの肉でもやっておくか。グールキングの奴はゾンビを餌にするなとい言うが、どうぜ身を食い尽くされたゾンビはスケルトンとして使えるのだから無駄になるまいて。んっ? あれ、まだデスナイト達は中庭の方でロックバードどもを食っておるのか? 全く、鳥なんぞ珍しくもなかろう……んっ? んっ……んっ!? んんっ!!! ええええっっ!!! あ、あれ、デ、デスナイトが!」


 掃除用のブラシ片手にゴーストキングが見る庭先。

 そこには先程見たロックバードの姿はなく、デスナイトとギャザリンの集団がボロボロ状態と地面に倒された光景であった。

 ミツはモンスターを倒した後、これも素材になるかと倒したデスナイトやギャザリンを収納しようとしたのだが、ユイシスからは召喚された魔物からは素材が取れない事を伝えられ、そう言えば自身の〈サモン〉で出した竜達の素材は取れないことを思い出す。

 目の前に倒れるデスナイト達も何やかの方法に召喚されたモンスターである事に渋々と素材は諦めることにした。 

 それでもスキルは取れたので彼に全く悔いはないのだが。


《経験により〈ドレインスラッシュ〉〈首斬り〉〈馬術〉レベルMAXとなりました。ミツ、靄を出している塔に行く前と、先ずは地下に進む事をオススメとします》


(地下? 上に行かなきゃいけないのに下に行くの?)


 既に城内に入っているミツ。

 飛行して移動するには天井の装飾品が邪魔なので、彼は歩きでの移動を選択している。

 

《はい。その場には隠された宝物庫があります。金銭などはありませんが、貴方には必要な品がそこにはありますので先ずはそれを見つけてください》


(隠された宝物庫ね……。本の物語でよくある物かな)


「行くのは良いとしても、簡単に通してくれなさそうだけど……」


 ミツが見る先は真っ暗な暗闇の通路。

 そこからガチャガチャと鎧が擦れる音がいくつも闇の中から聞こえてくる。

 灯りはなくともミツは見えるが、精霊達には少し見づらそうだ。

 数本雷の矢をだし、それを天井に向けて投げる。

 突き刺さった雷の矢は電球代わりと通路を明るく照らしてくれた。

 そこに見えたのは通路の先も見えない程の動く鎧の集団。


「おいでなすったよ。鎧……ただの鎧じゃないよね……」


彷徨いの剣士

Lv35    魔鎧

ファストブレード Lv1

リンク      LvMAX

剣術上昇     Lv2


《ミツ、見た目では分かりにくいですが、彷徨いの剣士はスピード特化型のモンスターです。精霊の誰かを足のグリーブに使用する事を推奨します》


「なるほど。しかし、顔なしさんですかー。まぁ、骸骨の顔を見せられるよりかはマシかな。ダカーポ、前にシューさんにやってくれたようにグリーブになってもらえるかな?」


「はい! 喜んで」


「マスター! では私は貴方様の翼に!」


「いや、城の中じゃ飛ぶのは逆に動きにくいから翼は良いかな」


「はうっ……。左様ですか……」


「ごめんね。ああ、ならメゾは翼以外の物になれるかな?」


「はい! マスターが望むならば、私は何にでもマスターを守る盾にも鉾にもなります!」


「ならばマスター、わたくしも是非に」


「わ、私も……」


「えっ!? そ、そうだね。じゃあ頼んでもいいかな?」


「「「「はいっ!」」」」


 たまたまの偶然なのか、ミツは性格の悪い分身と同じ様にフォルテ達を自身を守るためと鎧などへと姿を変え、彼の身に纏わせる。

 違うと言えばそれぞれ姿を変えた部分と、ミツは翼を付けずにフォルテを剣、メゾを盾、ティシモを鎧、ダカーポをグリーブ、フィーネをガントレットに変えている。

 彼女達を身にまとった瞬間、ミツは自身でも驚くほどの力を見せる。


「行くよ!」


 ミツが一体の彷徨いの剣士へと攻撃を仕掛けた瞬間、彷徨いの剣士の持つスキル〈リンク〉が発動。

 攻撃を仕掛けてきたミツを敵と認識したのか、全ての彷徨いの剣士が彼へと襲いかかる。

 しかし、彼の駆け出す一歩は疾風の如く音が走る。

 振り上げる剣は全ての敵を宙へと舞いあげ、相手を斬り伏せる。

 防ぐ盾は全ての攻撃を防ぎ、まるで流水の如くいなす。

 中身が空っぽの魔鎧のモンスター。

 それを次々と斬り伏せる彼をモンスターは止めることができない。

 10,20、30、40、50と、ミツの通った道には彷徨いの剣士の亡骸が通路に倒れる。

 勿論彼の前に立ちふさがるのは彷徨いの剣士だけではない。

 暗闇から相手の命を奪うアサシンゴブリン。

 死体も残らず食い尽くすゲルバドラー。

 その声は悲壮な運命の嘆きなのかバンシー。

 腕に見えるは足、足に見えるは腕、上下逆転が当たり前のガルガノン。

 掴み潰す筋肉、蹴り潰す筋肉、肉の塊は血を求めるのかワイト。

 死して命尽きようと我らが守るは王ただ一人のアンデッド・レブナイト。

 呪いの魔術をかけて人を不幸にすることもあるが、実は困っている人を助けることもあるレイス。

 例え肉体が滅んでしまってもアンデッドの中で最強とも言われているだけで、実は中ボスクラスのリッチ。

 ダメージを受けても即回復と厄介な奴らトロール。

 騎士が着けるような鎧を着ている戦士の姿をしたアンデッド・ドラウグル。

 幻想や幻聴に人々を闇の中へと吸い込む亡霊ファントム。

 数々のアンデッド系モンスターを相手にしつつ、ミツは予定通りに宝物庫に到着する。

 ここまで来るまで何百のモンスターを相手にしたのか。

 普通の人なら辟易した状態にまで追い込まれてるかもしれない。  

 だがミツにその感情は微塵も出ていなかった。 

 寧ろ彼は新しい魔物が出るたびに笑みを作り、絶えずこみ上げる喜びに悪魔のような笑みを浮かべ、数百の魔物を倒してきたのだから。

 そう、彼は彷徨いの剣士から始まり、ファントムまでのスキルを全てを食らい尽くしている。

 強欲、暴食、我、大、満、足!

 暗闇の通路の中、ミツの興奮はとうとう達してしまったのか、アハハハハと一人暗闇の中で笑ってしまっている。

 彼の心境を知らなければ、仲間たちですら距離を開けたくなる恐怖心を感じるかもしれない。

 事実多くの魔物の亡骸の上で笑う彼の姿は怖いよ。  


《スキル〈ファストブレード〉〈リンク〉〈アイスソード〉〈気配遮断〉〈乱撃〉〈飛爪〉〈重脚〉〈貫通攻撃〉〈見切り〉〈ソイルハンド〉〈ウインドスラッシュ〉〈フリーズコファン〉〈ブリザードストーム〉〈サンダースピア〉〈エレクトロウォール〉〈ライトニングブラスター〉〈ストームブロウ〉〈サイクロンウォースト〉〈フォースシールド〉〈クリスタルジャベリン〉〈フロストフラワー〉〈フレイムインフェルノ〉〈ダークミスト〉〈リフレクション〉〈アイスシールド〉〈リムーブカーズ〉〈アンチカース〉〈フリージングダレイン〉〈モリウォール〉〈魔力暗鎧装〉〈フレイムサイズ〉〈ミストサイズ〉〈デスサイズ〉〈成長率増加〉条件スキル〈光学迷彩〉〈ビション〉〈仲間の戦果〉〈生命変換〉を取得しました》


ファストブレード

・種別:アクティブ

2回攻撃を行う、レベルが低いとハズレやすい。


リンク

・種別:アクティブ

仲間が攻撃を受けると攻撃を仕掛けた者に対してダメージ増加。


アイスソード

・種別:アクティブ

絶対零度の剣を出す。


気配遮断

・種別:アクティブ

触れた相手の気配を消す。


乱撃

・種別:アクティブ

四方八方の攻撃をくりだす。


飛爪

・種別:アクティブ

上空から落下時の攻撃力増加。


重脚

・種別:アクティブ

重力をかけた膝の攻撃。


貫通攻撃

・種別:アクティブ

点に対して貫通攻撃ができる。


見切り

・種別:パッシブ

攻撃を見切りやすくなる。


ソイルハンド

・種別:アクティブ

土の手を出し相手の足止めをする。


ウインドスラッシュ

・種別:アクティブ

風の刃の広範囲攻撃。


フリーズコファン

・種別:アクティブ

こぶし大の氷の玉を勢い良く飛ばす。レベルに応じて氷の硬さが変わる。


ブリザードストーム

・種別:アクティブ

吹雪を出し竜巻を起こす。


サンダースピア

・種別:アクティブ

雷の槍を放つ。


エレクトロウォール

・種別:アクティブ

音を遮断する壁を作る。

※これがあれば雑音の中でも寝れます。


ライトニングブラスター

・種別:アクティブ

雷属性の球体を出す。レベルに応じて球数が増える。


ストームブロウ

・種別:アクティブ

強風をだす。


サイクロンウォースト

・種別:アクティブ

台風を起こす。


フォースシールド

・種別:アクティブ

恐怖心などから守る光の壁を出す。


クリスタルジャベリン

・種別:アクティブ

クリスタルの槍を出す。


フロストフラワー

・種別:アクティブ

氷で花を描き、鋭い花びらが相手に舞い散る。


フレイムインフェルノ

・種別:アクティブ

火属性、広範囲攻撃。


ダークミスト

・種別:アクティブ

黒い煙を出し、姿を隠す。

※煙を吸っても体に影響はない。


リフレクション

・種別:アクティブ

魔法攻撃を反射させる。


アイスシールド

・種別:アクティブ

氷の壁を出す※アイスウォールの上位版。


リムーブカーズ

・種別:アクティブ

呪いを解除する。


アンチカース

・種別:アクティブ

呪いに対する耐性ができる。


フリージングダレイン

・種別:アクティブ

雹を降らせる。


モリウォール

・種別:アクティブ

広範囲に魔力の障壁を展開する。


魔力暗鎧装

・種別:アクティブ

自身の魔力を身にまとわせる。ダメージを軽減するが発動中随時MPを消耗するものではない。


フレイムサイズ

・種別:アクティブ

煉獄の鎌を出す。


ミストサイズ

・種別:アクティブ

極水の鎌を出す。


デスサイズ

・種別:アクティブ

生を刈り取る鎌を出す。


成長率増加

・種別:パッシブ

取得経験が1.25倍になる。


光学迷彩

・種別:アクティブ

触れたものの姿を消す。


ビション

・種別:アクティブ

正確な策を練ることができる。


仲間の戦果

・種別:パッシブ

仲間が得た経験が自身にも入る。


生命変換

・種別:パッシブ

HPが0になると自動にMPが全てHPと変わる。※発動後は24時間使用できない。


 ミツが〈スティール〉にて取得した魔法やスキルの数々がなだれ込んでくるようにウィンドウ画面が表記される。

 続けてそれらのレベルアップを告げるアナウンスが流れる。

 

《経験により〈ファストブレードLvMAX〉〈アイスソードLv3〉〈気配遮断LvMAX〉〈乱撃Lv7〉〈見切りLvMAX〉〈ソイルハンドLv5〉〈ウィンドスラッシュLvMAX〉〈フリーズコファンLvMAX〉〈ブリザードストームLvMAX〉〈サンダースピアLv8〉〈エレクトロウォールLvMAX〉〈ライトニングブラスターLv4〉〈ストームブロウLv4〉〈サイクロンウォーストLvMAX〉〈フォースシールドLvMAX〉〈クリスタルジャベリンLv9〉〈フロストフラワーLvMAX〉〈フレイムインフェルノLvMAX〉〈アイスシールドLv9〉〈フリージングダレインLv7〉〈モリウォールLv7〉となりました》


「いやー、ほんまここはほくほくやで〜。自分がここ迄スキルを取れたなら、分身の二人もきっと同じくらい、いやもしかしたらそれ以上に取得してくれてるかも。合流するのが楽しみになってきたよ! ふふっ、ふふっ、アッハハハハハ!」


 数多くのスキル取得にそんな希望を口にするミツ。

 彼の心の中ではフォルテ達がマスターの分身なら当然ですと根拠もない同意をしていた。

 だが残念ながら二人が戦う相手は、確かに数多くのモンスターを相手にしていたのだが、ミツ程にスキルを取得できるような相手ではなかった。


 城内の地下で一人高笑いをする声が響く。

 その声は遠く遠く、不気味に続く城内の地下まで響いていた。


「ネミディア副隊長、なんだか不気味な子供の笑い声が聞こえませんか……」


「や、止めろ! そんな声は気のせいだ! 不安や恐怖心からそのような幻聴が聞こえてくるのだ!」


「し、しかし……」


 街の中でゾンビに囲まれ追い込まれていたスラー隊のネミディア一行。

 彼女達は偶然見つけた民家の隠された通路に逃げ込み難を逃れていた。

 実はその通路は王族や貴族達がいざという時に逃げる為と作られた隠し通路。

 彼女達の今居る場所は城内の少し入り組んだ地下通路内である。

 勿論そこにもアンデッド系の魔物は居るが、外の数と比べたら単体的な数。

 単体ならとネミディアが先人を歩き進み、怪我人などの負傷兵は彼女とまだ怪我もしていない兵に挟まれた状態と先へと進んでいた。


「ええいっ! しかしも案山子もないわ!  聞け、皆の者! 一先ず先行部隊の役割である我々スラー隊は、予定通り任務の遂行中である事を告げておく!」


「「「お、おー……」」」


 偶然たまたま見つけた通路なのだが、ネミディアの中では、この流れは必然的な事の様に話を勧めている。



「どう言う事だ!? 城内に配置した駒共の反応が次々と消えていく! !? まさか魔力の維持が困難になってきた……。いや、配置しているあれは召喚ではなく、俺が1から作り出した魔物だ。持続性は俺が消えても存在は消えることは無い……。では如何して……。はっ! ま、まさか……共食いをしているのか!? 若しくは各自の意思を持たせているせいか、縄張り争いをし始め仲間割れをし始めたか! くっ! ゾンビ共の様に能無しタイプの魔物では言うことを聞かぬと思って判断力を持たせたと言うのに、それが裏目に出たと……。仕方ない、腐れゾンビと骨野郎が戻ってくる前に急ぎ駒を増やさねば! 性格も腐ったあいつらが何人の人間の首を自慢気に持ってきたとして、スッカラカンとなった場内を見て何を言ってくる? おやおや、ゴーストキングさんの駒どもは随分とスッキリしましたね。まるで本人みたいにスカスカじゃないですか、って、誰がガス野郎だクソが! はっ! こんな事を言ってる場合じゃない、急がねば!」


 ゴーストキングは掃除用のブラシを片手にまた城内の暗闇の中へと姿を消していく。


 宝物庫の中を調べ、ユイシスに言われた品を探すミツ。

 金貨など宝石等々の金品になる品はまったくなかったが、倒れた棚の下からある物を見つけ出す。

 それは彼が思っても見なかった品。

 既にボロボロであり、朽ち果てそうなそれをアイテムボックス内に入れ、彼は上を目指すことにした。

 上に進むと足元に靄が当たるも、ミツ本人には影響はなかった。

 ただの靄と見えるが、やはりそれはこのアンデッドの街を作り出してしまった原因でもある。

 とある部屋の前に立つと中から声が聞こえてきた。

 それは誰に話しかけているのか、ブツブツと念仏のように絶えず聞こえてくる。

 扉は既に壊れているので物陰から中を覗くように様子をうかがう。

 するとそこにはゴブレットを前に立つ黒い影。

 警戒しつつ〈聞き耳〉スキルにてその者、ゴーストキングの言葉を拾う。


「おのれ……。やはり力が消えかけておったか。これでは駒を維持できなかったはず。くっ……もう少し早めに気づいておれば……」


 小さな祭壇に乗せられているゴブレット。

 それは金色に輝いているも、中から出ているのは黒い靄。

 そう、アンデッドを増やしてしまった原因が目の前に見えるゴブレットである。

 しかし、ゴーストキングは少し焦り気味に先程の言葉を漏らしていた。

 ミツはそれを見るのは初めてだが、本来そのゴブレットから出てくる靄の勢いはその比ではない。

 例えるならいつもならば温泉地域に見かける間欠泉程の勢いがあるものの、今のゴブレットからは実験でドライアイスをコップに入れて水を指して煙を出す程度の勢いしかないのだ。


「まぁ……良い。丁度餌もたらふく来た事だし、聖杯の苗として使ってやろう……。さぁ! 出てくるが良い! それで隠れているつもりか!」


 ことりと静かにゴブレットを祭壇に戻すゴーストキング。

 すると彼の目が赤く光、顔はないが不気味な雰囲気を出しつつその声を出す。


「えっ、バレた? やっぱりスキルを使って隠れておくべきだったかな……。仕方ない」


 ミツが物陰から姿を見せようとしたその時、カチャカチャと音を鳴らし別の扉から中に入ってきた一行にミツの足がピタリと止まる。


「そこまでだ、アンデッド共! って一体だけか。よい、貴様の悪事、この先行部隊スラー隊所属、アーネストナイト・ネミディア・シングルトンがここで貴様を倒す!」


「……ネミディア様、来てたのか」


 ネミディアに続き、後続からも他の兵が姿を見せゴーストキングに剣先を向ける。

 彼女達も隠し通路から城の地下、そして周囲を見渡せる場所を探しミツと同じ場所へとたどり着いていた。

 怪我人は階段を登るのが酷と、ネミディアに付いてきたのは数名の兵士のみ。

 ゴーストキングもネミディアの方へと視線を向けるとニヤリと不気味な笑みを作る。

 それは祭壇に捧げるべき生贄が来たと彼は心の底から思っていたのだろうか。

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