第254話 どっちもどっち。
「あーー!! あーーー!! あっ? あっ! ああああああ!!!」
「五月蝿えぞ、禿」
「ああああああああ!!!!! わ、我、我の、我の髪の毛ががががかぁぁぁぁぁ!!! 髪がががああああ!!!」
「大体な、薄毛の奴が女々しく生やし続けてるのはみっともねえぞ。禿は禿らしくなって良いじゃねえか」
「ぐっ! き、貴様……」
何もない自身の頭部を触り、グールキングはわなわなと震え、分身の言葉に怒りを爆発させる。
「許さん! 許さんぞ、この虫けらが! 貴様の血肉一滴たり残さず、全て食い尽くしてくれるわ!」
分身が発動した〈アビス〉のスキル。
スキル効果は深淵の闇を出し対象を闇に飲み込む。
この対象にグールキングの数少なかった髪の毛全てが対象となり、帰ることのない闇の中へと吸い込まれたのだ。
グールキングの逆鱗はそこだったのか、彼は憎々しいものを見るような視線を分身へと向けたまま、ボタボタと身体から禍々しい液体を出しそれを地面へと流れ落とす。
何をする気なのかと分身は今の内にグールキングを鑑定。
グールキング
Lv138 腐肉王
五色のブレス
忠誠の鎖
支配者の自愛
眷族召喚
融合
増殖
「……スキルを見る限り、また眷族でも召喚する気か? いや、さっき眷族を作るのもタダではないと言ってたな。魔力、もしくは別の物を代償とするスキルなのか……」
「絶対に貴様だけは許さん! 我の配下の牙の餌食としてやる! こい、キューピー!!!」
グールキングの叫びに応えるように聞こえてくる唸り声と共に地面から出てくる新たな魔物。
不気味な顔、ヒョロヒョロとした手足にげっ歯類のような門歯、ナマズのようなヒゲ。
首は長く、胴体はまるで竜であるかウロコがびっちり付いている。
羽はある様だが、コウモリのようなその羽で果たして飛べるかは疑問と思うところ。
ぐるると唸り声をあげるモンスターへと鑑定を使用する。
キューピーヴォッグ
Lv99 恐食竜
スキル無し
「ゴミじゃねえか……」
例えどんなにレベルが高いモンスターであり、素材が高価な魔物であっても、分身にとってはスキル無しのモンスターは言葉通り興味を失うには十分な事である。
「はぁはぁはぁ……。ど、如何だ、この姿、キューピーは全てを食らい尽くす我の最高の駒……。(や、やばっ……連続して眷族を召喚した為に体力が……ぐっ。踏ん張れ俺! ここで決めれば恐怖のグールキングと言う名が広がるかもしれんのだ……。それに、俺の髪の毛をむしり取ったこいつは絶対に殺す!)」
既に顔に出るほどに息苦しさを感じているグールキング。
〈眷族召喚〉の魔法は魔力のMPではなく、体力のHPを消耗してしまう。
これが人であれば消耗した分は回復薬を飲むか〈ヒール〉などの治癒魔法を受ければ常に発動できる有能な魔法である。
しかし、グールキングはアンデッド系の魔物。
回復薬も治癒の魔法も彼にとってはダメージを受ける品となってしまう。
そう、身にあってない魔法を彼は抱えているのだ。
グールキングは身を削る思いとキューピーヴォッグを召喚。
これから始まる虐殺ショータイムを楽しみとした瞬間、分身の出した数個の火の玉を見ては彼は高笑い。
「……これで十分だろ」
「ぷっ、ププッ。何だその小さき火は。まるで貴様の様に小さき物ではないか! 発動する物が小さいと、出す技もそれ程に小さくなるのだな! こんな小さく、ほれ、指につまめる程度の小さ……えっ」
グールキングは分身の出した火玉を見ては小馬鹿な発言をする。
親指と人差し指を合わせ、分身をその間に姿を見ようとすればゾクリと背筋に悪寒を感じてしまう。
「テメェ……今、マスターに何て言った……」
「殺す……」
「フフッ、グールって痛みはあるのかしら……」
「その生肉を1センチづつ切り落とすぞゴミが……」
「マスターへのその言葉、許せない……許せない……許せない……許せない許せない許せない」
「えっ、いや、だから」
「おう、誰が豆粒ドチびか!? 誰が小せえ身体だって!?」
影を落とした分身の視線と、五人の精霊達のギラリとした殺意がグールキングへと向けられる。
グールキングに取って髪の毛が逆鱗ならば、分身にとって逆鱗はその身長である。
浮かせていた火の玉を分身が掴み、〈投擲〉スキルを発動しそれをキューピーヴォッグへと投げる。
一発はグールキングの近くを豪速球の様に通り過ぎたのか、ブワッと炎が過ぎる音がグールキングの身を恐怖に縮こませてしまう。
「うわっ!? わ、我はそこまで言っておらぬ! キ、キューピー! さっさとそやつを食い尽くしてしまえ! ……んっ? なっ!?」
グールキングはキューピーヴォッグへと指示を出すがキューピーヴォッグが動かない。
分身の殺意に一瞬動きを止めたのかと思いきや、キューピーヴォッグはドシンっと大きな音を立てては地面に倒れてしまった。
そして、ボワっとキューピーヴォッグの身体の内側からまるで生きた炎が走り、キューピーヴォッグを燃やし尽くしてしまった。
分身の発動した火の玉。
グールキングはそれを〈ファイヤーボール〉と思っていただろうが、実はそれは忍術スキルの一つ〈鬼火〉である。
それを分身は投擲で投げ、その投げた鬼火がキューピーヴォッグの身体を貫通。
体内に残された鬼火の残火がキューピーヴォッグを内側から燃やしていたのだ。
「キューーーピーーー!!! わ、我のこ、駒が!? なっ!?」
「食いしばる歯があるなら、今直ぐに食いしばれや」
「ゴフッ!!!」
いつの間にか目の前に姿を見せた分身にグールキングは反応できなかった。
彼の顔面に分身の拳がゴズッと音を立てた後、グールキングを大きく後方に吹き飛ばす。
建物を数件巻き込み破壊し、瓦礫の中から何とか身体を起こすグールキング。
「ゴハッ! ゴハッゴハッ! な、何が!? 吹き飛ばされた? 我が、人間如き!? ふ、ふざけるな!!! 我は王、この国の王様だぞ! 許さん、絶対に許さん! 来い、駒共よ!!!」
その言葉に反応するように、街の中に潜ませていたのか人間型のゾンビや魔物のような姿をしたゾンビのモンスターがグールキングの方へと走り出す。
家の中、井戸の中、割れた地面の隙間。
様々なところに隠れていたのか、その数は数百、いや、千にも届きそうな程に数を次々と増やしていく。
「絶対的な恐怖の前にゴミの様に消してやる! 駒共よ、融合せよ!」
その言葉に魔物型ゾンビは人型のゾンビを食べ始め、虫型や鼠のようなゾンビも自ら口の中へと次々と入っていく。
魔物はゾンビを食べているわけではなく、口の中に入れた瞬間、ゾンビが溶けるようにその姿を次々と消しているのだ。
そして大きく膨れた魔物型のゾンビ。
数体が出来上がり、次はこれが相手かと分身が手に〈嵐球〉を出したその時。
グールキングは大きく手を広げると魔物型ゾンビはグールキングへと突撃。
お前も餌になるのかと分身が思っていると、魔物型ゾンビがグールキングに触れた瞬間、ズゴゴゴとグールキングの体の中にまるで吸い込まれるかの様にその姿を次々と消していく。
一体、また一体と吸い込み、いや融合していくグールキングは容姿を変え、まるで頭から足まで肉の鎧を身に着けたように姿を変えてしまった。
ギュルりと動くグールキングのその目玉。
分身は警戒しつつ、手に持つ嵐球を投げる。
嵐球はグールキングの片腕に直撃。
その瞬間、スパッンと音を響かせ、グールキングの腕を吹き飛ばした。
「へっ、見た目が変わっただけか。 ……ち」
嵐球で吹き飛ばした腕を見て頬を上げる分身。
しかし、グールキングの吹き飛ばされた腕が直ぐに形を戻し、指先が分身へと向けられる。
そして、向けた指先が伸び、分身へと襲いかかる。
「マスター!」
「離れろ! ちっ!」
次々と迫るグールキングの指先。
その威力は激しく、また追尾する速度が早い。
分身はそれを交わしつつ、〈嵐刀〉を取り出す。
スパッと指を切り落とすも新たな指が再生し、分身へと再度攻撃を仕掛ける。
また、もう片方の腕の指先はフォルテ達にも向けられ、分身を助けようとしたフォルテ達にも指先が襲いかかる。
グールキングの視線は分身に向けられているが、指先は的確に空中を飛び回るフォルテ達を追尾する。
「逃げるばかりか……」
「……」
「つまらん。早々と我の前から消えろ!」
ダカーポを追尾していたグールキングの指先の一本が彼女の足に絡みつく。
「くっ! 汚え手で私を触るんじゃねえ!」
「ダカーポ!」
メゾの言葉に視線を上げるダカーポ。
彼女が見るは他の姉妹を追っていた指先が形を変え、大きく口を開いた様な形と姿を変えていた。
「死ね……」
「なっ!?」
彼女は足を掴まれていることに回避する事もできない。
バクリとその口の中に飲み込まれるダカーポ。そして中にいるであろう彼女を潰すようにグールキングは一気に指を圧縮。
指の隙間からダカーポの黒翼の羽が飛び散り、だらだらと血が流れ落ちる。
「「「「!?」」」」
「……」
グールキングは潰したダカーポを見せつけるように指を開く。
するとそこにはだらりと力なく血に羽なのど染めてしまうダカーポの姿。
「先ずは一匹……」
してやったりとそんな言葉を告げるグールキング。
フォルテ達もダカーポのそんな姿に怒りを感じているのか、顔を伏せ、わなわなと震えている。
いや、いつもミツが出しているフォルテ達なら間違いなくその反応を示すのだが、分身がだした黒翼を背に付ける彼女達は違った。
長女のフォルテは顔を上げるとその顔は怒りではなく、不敵な笑みをを浮かべている。
「……フッ」
「アッハハハハ! なんてざまですのダカーポ!」
「もう、そんな見苦しい姿見せては駄目よ。それはマスターのお目汚しになるわよ」
「ププッ、ダッサー。お姉ちゃんダサすぎーキャハハハハ!」
「なっ!?」
「五月蝿えです、この莫迦姉妹共が……」
クワッと目を開け、背中と足を使い力任せと口をこじ開けようとするダカーポ。
「えっ!? ま、まだ生きてる!? なっ、この娘、なんて力を!」
「うおおおぉぉーー!!! おりゃー!!」
「くっ!」
強引に指をこじ開けた瞬間その場から離れるダカーポ。
彼女の羽からは血はポタポタ、痛々しい姿をしているが姉妹は誰もそれを心配する言葉はかけず、くすくすとその姿を馬鹿にするようにあざ笑う。
「無様な姿ね〜ダカーポ」
「姉様、五月蝿いですわよ! 逃げ回っていたばかりの姉様たちには言われたくないですわね」
「あら、私達は貴女のようにヘマをした訳ではなくてよ」
空中で突然言い争うように声を出す精霊達。
グールキングは強化された自身の身体の一部が簡単にこじ開けられた事に完全に言葉を失っている。
「五月蝿い……」
「「「「「!?」」」」」
「!」
そんな精霊達の言葉を止めたのは分身の威圧的な言葉と冷たい視線。
そして分身の手のひらから放出された水玉が精霊の五人の顔へとバシャっと命中。
ポタポタと滴を落としながらシオシオと分身の側に降りてくる五人。
「マスター、お見苦しい場を見せてしまい、申し訳ございません……」
「ご、ごめんなさいです……」
恐る恐ると精霊達は謝罪と頭を下げる。
深々と頭を下げる精霊たちを見ては、分身は一つため息を漏らす。
「ふっ……。ティシモ」
「はい!」
「翼」
「かしこまりました」
ティシモはゆっくりと分身の背後に周り、分身の翼となる為と光に変わり彼の背中へと消えていく。
ティシモが吸い込まれた背中からは、バサリとキラキラと光を反射させる黒翼が羽を広げる。
「フィーネ」
「はい」
「足」
「喜んで」
次に呼ばれたのはフィーネ。
分身の足に触れた彼女は光となり分身の足に吸い込まれ、漆黒のグリーブへと姿を変える。
「メゾ」
「はっ!」
「……」
次に呼んだのはメゾ。
彼女は目を爛々とさせ、気を許せばハァハァと犬の様に舌を出しては恍惚の笑みを分身に向けるかもしれない。
そんな悪寒を無意識と拾ったのか、分身の視線はダカーポへと変わった。
「は、待て……。ダカーポ」
「えええっ!?」
「はい……」
「鎧」
「し、失礼ながらマスター。今の私はマスターにあたえていただきましたこの身体は下船の物に汚されてしまいました……」
ダカーポの羽や鎧などは赤く染まっているが、実はこの血、ダカーポの血ではなく、グールキングに吸収されたゾンビや魔物の一部が出した血であり、ダカーポが受けたのは圧迫された時の衝撃のみである。
彼女自身に傷がないことを見抜いてか、分身は手のひらをダカーポへと向ける。
「〈ウォッシュ〉これでいいだろう。汚れていようと俺は気にしない。今度からは直ぐに俺の元に来い」
「はい! ありがとうございます!」
ダカーポは分身の優しさに目尻に涙を浮かべ喜んで光と変わる、
彼女は分身の胸へと吸い込まれると、彼の着ている竜の鎧の上から被せるように、下半身まで包み込む漆黒の鎧へと姿を変えてしまう。
「メゾ」
「ううっ……。私が鎧部分になりたかったな……」
「二度は言わん。メゾ、腕」
「はい! 今直ぐに!」
メゾは肩のポールドロンから、前腕までのヴァンブレイスに姿を変える。
次々と自身の身に吸い込むように精霊達を鎧の姿と変えている分身。
彼女達が姿を変えることができることは以前ダカーポがシューの足のグリーブになった時、ミツ本人がユイシスに聞いていた事である。
本当に様々な物に姿を変えることができるので、分身が望めば精霊を剣や槍と言った武器にもできるのだ。
そして最後にフォルテである。
分身は自身の頭を軽く指先で小突くと彼女はそれだけで理解したのだろう。
「フォルテ」
「仰せのままに」
フォルテの姿が光と変わる。
分身の頭の周りを数回くるくると回った後、彼女の光は漆黒のヘルムへと形が変わる。
「はっ!? な、何だそれは!」
「お前と同じ様な事をしただけだ」
「!?」
言葉を残すとは分身がした事を言うのか。
グールキングの視界から突然消えたと思った分身が自身の腹部にまで来ている。
ドゴッと衝撃音の後、融合に膨れた自身の身体が地面から離れ、宙を舞う。
宙を舞う間も、幾度も衝撃が走ったと思っていると激痛がグールキングの全身を走り抜ける。
次第と身体が凹み、ブチブチと千切れる融合した部分。
まさか、ありえない。
グールである自身が痛みを感じている。
その驚きもあって、一方的な分身からの攻撃にグールキングは対応を遅らせてしまっていた。
「ふ、ふざけるな!!!」
一気に怒りが吹き出したのか、グールキングの身体からいくつもの触手の鞭が分身へと襲いかかる。
その数、もう10や20と言う数ではない。
しかし、それを見ても分身の表情が崩れることは無かった。
(敵の攻撃、数388、対処可能です)
分身の脳内に聞こえるフォルテの声。
ヘルムとなった彼女の視界から見るは全てを見通す千里眼。
瞬時に襲い掛かってくる攻撃の数、その場所をマスターに伝える。
〈貫いてくれる! 死ね!〉
分身は両手に素早く〈嵐刀〉を発動。
襲い掛かってくる触手を飴の如く細切れと切り刻んでいく。
更に斬った触手を再生やまた配合に使われない為にも〈双竜〉スキルで出した火の竜にて一気に燃やす。
灼熱の業火の熱を出す竜が現れ、近くの民家に火が燃え広がっていく。
赤く広がる光景はグールキングですら思わす怪訝な視線を向けさせるのだろう。
「!? 小癪なまねを……。我をどこまで楽しませるか……」
「悪いがお前と楽しむ気も無いんだよ。そう、お前の頭にあった髪の毛のように無いんだよ、禿野郎」
「捻り潰してくれるわ、チビ餓鬼が!!!」
「こいや、ツルッパゲ野郎が!!!」
互いの罵声から始まった二人の戦い。
感情任せの攻撃を仕掛けつつも、決定打の探り合い。
二人の戦いにレオニス達は街に周る火にも恐怖を感じつつ、戦場を読み取ったレオニスは分身とグールキングの戦いに巻き込まれぬようにと後退を始めていた。
旧王城の入り口に到着したミツ。
城内から未だ出てきている霧を見つつ、彼は中庭に居るモンスターから攻撃を受けていた。
それは彼が真っ直ぐ霧の出ている塔へと飛んでいこうと思っていたのだが、飛行中、突然目の前に現れた全身をドクロの様な装飾に身を固めたナイトがミツの居る所まで跳躍してきたのだ。
ミツも油断していた訳ではないが、まさか10階マンション程の高さを飛んでいる中、いきなり敵が目の前に現れるのは誰でも驚くもんだ。
敵が振り下ろした剣は隣にいたフォルテの槍にて防がれている。
ミツは直ぐに攻撃してきた相手を鑑定。
デスナイト
Lv40 死の騎士
ドレインスラッシュ Lv5
首斬り Lv3
馬術 Lv2
フォルテの槍に弾かれたデスナイトはそのまま下へと落ちていく。
デスナイトはミツ達のように飛んでいる訳ではないので落ちるのは当たり前と言えば当たり前だ。
落ちていくデスナイトを目で追うと、また別のデスナイトが、乗っていたアンデッド型の馬から跳躍。
まるで下から大砲の玉を撃たれている気分と数体のデスナイトがミツ達をめがけて飛んでくる。
また近くに居た兵士型のモンスターだろうか、その中に居るモンスターからも魔法の攻撃が飛んできた。
「散開! 魔法障壁を張りつつ移動するよ」
「「「「「はいっ!」」」」」
《ミツ、城の中に入る時は正門から入ってください。靄の出ている場所や窓には侵入者防止の魔法がかけられております》
「えっ!? モンスターがそんなことしてるの!?」
《いえ、この場に発生したモンスターにはその様な力はありません。侵入者防止の魔法は以前この城にいた人間が争いを起こす際、起動した魔導具の残火です。まだその時の魔導具が発動しているのか、特定の場所以外の侵入を防いでおります》
「数十年もの前の魔導具がまだ動いてるなんて……。はぁ、余計な物残してくれる。仕方ない。皆、予定変更するよ。中庭に下りて敵を一掃、後に近くの入り口から中にはいるよ」
精霊達はミツの飛行に合わせ下へと降下していく。
先程魔法を発動していたモンスターを守る様に、鎧のモンスターが魔術士を守る様に前に出る。
後ろからまた魔法を撃たれては厄介と思い、取り敢えず鑑定をしておこうと、先程魔法を打ち込んできた魔術士を調べる。
すると鑑定表示は魔術士を守る鎧型モンスターもまとめて鑑定表示がされた。
ギャザリン
Lv20 戦闘部隊
護衛 LvMAX
守備強化 Lv5
統率 LvMAX
「あれ?」
目の前にはゾロゾロモンスターがいるにも関わらず、鑑定表記が少なく数に合わない。
疑問に思っていると、ユイシスのアドバイスが聞こえてきた。
《ミツ、貴方が今鑑定したモンスターは4体で1つのモンスターです。前衛の骸骨剣士、ゾンビガード、ゴーストソルジャー、後衛のメイジがセットになっております。倒す際は黒の証を持つ者が本体となりますのでそちらを倒してください》
「あー、そのタイプのモンスターか。でも黒の証って……。あれの事かな?」
ミツが見るは骸骨剣士の胸鎧に付けてある真っ黒なバッチ。
他のギャザリンを見れば、メイジの杖や、ゾンビガードが履いている靴等々に黒いバッチが付けられている。
試しに一体、ミツは〈マジックアーム〉にて弓を作り出し、氷の矢を放つ。
グサッと骸骨剣士の胸部分に刺さるが骸骨剣士は何ともないと倒れない。
しかし、次の瞬間、氷の矢はイガグリのように棘を出し、その棘に黒のバッチが突き刺さり破壊される。
すると骸骨剣士が倒れ、近くに居たゾンビガード、ゴーストソルジャー、メイジが糸を切った操り人形の様に地面に倒れた。
鑑定すると亡骸となった。
「やっぱりアレが黒の証って奴か。あれ? 4体で一体なら、如何やってスキルを取るんだ? アンデッド系たから下手に回復魔法使ったら剣士は骨粉になりそうだし、他も駄目だよね……。よし、数も多いし、折角だからあの子達を呼んで見ようかな」
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