第228話 叙爵

「ふ〜。何とか一つ問題は無くなったか」

 ミツを城へ招くと言う大役をこなし、肩の荷が下りたのか大きなため息を漏らすマトラスト。

 これでミツが突然行方を眩ませる事はなくなった。

 しかし、これで終わりではない。

 城の方では今、ベンザ元伯爵が起こした不祥事に関しての後始末が行われていた。

 ベンザの管理していた領地をそのままでは民が死んでしまう。

 いや、領地としては既に死んでいたような場所であるが、それでも国の管理すべき場ではある。

 当初はダニエルへとそのままベンザの領地を渡す形であったが、現実的にそれは不可能だとマトラストとダニエルの両名が一番理解している。

 それは手の行き届かない問題。

 元々広大な土地を持っていたダニエルだが、彼の土地の殆どは街と街を繋ぐだけの道として見られている。

 理由として様々上げられるが、一番の問題は人手不足である。

 ダニエルに人望はあるも、やはり人は限界もある。

 1000人の職人や人材を集めたとしても行える事業は単発とした事ばかり。

 例えば大雨が数日と降り続き、川が反乱したとする。

 ダニエルが先程言った人材を集め、反乱した川を止めたとしよう。

 川が反乱したなら二度と同じ事が起きない様にと防波堤などを建設したりと対策をとるべでもある。

 しかし、災害と言うのは一か所だけで済む事は少なく、その対策を取る前と次の被害地へと向かわなければならない。

 二ヶ所三ヶ所と次々と片付けると既に人件費はカツカツ状態。

 その為に防波堤を作ろうとしても反乱を止めた半分も作れない金欠状態である。

 ダニエルは何もしない領主ではない。

 寧ろ周囲の貴族よりも汗水にまみれた領主様である。

 しかし、彼には足りない。

 そう、圧倒的に足りていない。

 人も、金も、そして時間も。

 そんな彼が今、無茶苦茶な状態のベンザの領地を受け取ったとしたらどうなる?

 気苦労も絶えず、ダニエルはこのままでは過労死してしまうかもしれない。

 ダニエルが領地を引き受けたとしても、災害も少なく、利も不も得ない場所をと彼はマトラストへと相談もしていた。

 マトラストもダニエルの領地状況を相談された後、カインとのアベルへと話を流している。

 既に気苦労な状態で、更に彼にとっていらぬ物を背負わされてはダニエルが倒れる恐れもある事。

 それを理解したとしても、あの場の領地を引き受ける者が居ないのが現実なのだ。


 大きな円卓に座る貴族達。

 ここは自身の領地が増えて喜ぶ者も居れば、それを羨む者が集まる場である。

 領地を減らされる12屋分の領主の処分は既に済んでおり、共に城に来た近隣の領主の領地が増えた事を告げられている。

 話は最後に、ダニエル・フロールス家の話となった。


「さて、ダニエル殿」


「はっ! 大臣様」


 場の中心として話し始める土地を管理する土地大臣。

 彼は数枚の羊皮紙を手に取りダニエルへ厳しい視線を向ける。

 

「こちらにも話は来ておるが、貴殿にはベンザ伯爵……。いや、カバー家の領地に関して少々拒の話が耳に入っておる。その話は真であるか?」


「はい」


 土地大臣の問に、間を置かずに返答するダニエル。

 その返答に、周囲の貴族達がダニエルへと言葉をかける。


「何と!? ダニエル殿、考え直しなされ」


「そうです、領主として領地が増える事に拒んではなりませぬ」


「ダニエル殿」


「……」


 周囲の貴族の発言は間違いではない。

 しかし、それは領地の現状を知らぬ者からの軽はずみな発言にも受け取れるかもしれない。

 周囲の声に少し顎を引くダニエルへと、土地大臣はしゅういの言葉をを黙らせる。


「皆様、お静かに……。ダニエル殿、貴殿がこの様な考えを持つ理由も然り……。今回問題を起こしましたベンザの暗躍は全て貴方が受けておられる。貴方は領地を受け取る権利もあれば、言葉は悪いが義務もある。おわかりかな? 他の者へとカバー家の領地を分ける事も考えではないですが、既に周囲の領主は新たな領地を引き受けております」


「しかし……」


 ダニエルの希望がまさにそれであった。

 カバー家の土地が10あるとして、ダニエルはそのうちの1~2を希望していた。

 擦ればカバー家に面した他の領主はカバー家領地を3~4と分け与えることができる。

 勿論与える所は街や鉱山と、相手にとって利益を出す場所。

 しかし、土地大臣の言うとおり、既に土地に面した領主は別の土地を受け取っている。

 騎士家や男爵家、そして子爵家ではこれ以上土地を与えても、折角新たに与えた土地までも倉庫の肥やしとなるか、手の届かない状態は目に見えている。

 ならばフロールス家は大丈夫なのかと見られるが、大丈夫な訳がない。

 そう、このままフロールス家にカバー家の領地を与えたとしても、フロールス家が潰れてしまう。

 しかし、渋るダニエルに対して、その対策は既に考えられていた


「ふむっ……。これはダニエル殿がこの領地を引き受けた後、暫くしてからお話すべきご報告ですがここで告げさせて頂こう」


「大臣様。それは……」


「ダニエル殿、我々も貴殿に酷な場を与えることは理解しておる。更に既に広大な領地も手に余している理由も……」


「それは私めの不甲斐なき働きによる結果でございますならば……」


「いや、別に責の言葉を聞かせる為に話した訳ではない。これは王妃様にも話は通しておりますが、ダニエル殿、貴殿に辺境伯となる陞爵の話が出ております」


「えっ……陞爵」


「「「!?」」」


 さて、ここでダニエルだけではなく、周囲が驚く辺境伯の地位について簡単にご説明しよう。

 辺境伯と伯爵。

 ※ここに一応宮中伯と言う地位もあるが、今回の物語には関係ないのでこれの説明は省く。

 共に王に仕える伯の地位であるが、伯爵は上級貴族の中でも中立の立場となる。

 辺境伯はその逆であり、上級貴族の中では一番上の立場となる。

 主に伯爵は王から広大な土地を任されることが多く、その場での発展をその者の功績として認めている。

 伯爵は貴族の爵位の基本である前提で読んで下さい。


 王の側近として各地へ派遣された総督、地方行政の責任者が伯爵。

 それは領地から税を集め王に納めるとういう国の根幹をなす徴税システムの始まりだ。

 最も任命してから時が経つと地元との結びつきを強めとなる。

 力をつけ過ぎると侯爵や公爵を自称して周囲が追認するはめになったりする。

 そして王の側近である伯爵だが当然ながら、地方行政があるならば中央行政もある。現代日本で言えば財務省クラスの大臣だ。宮中伯を筆頭に様々な伯が生まれた(帝領伯、王領伯、地方伯などなど)。

 なおこちらは領地による自力が無いため、領地持ちの諸侯との争いに敗北すると没落まっしぐらである。

 そして辺境伯。

 辺境伯の主な役割は軍である。

 王都とは別に国から軍を持つことが許され、例えば敵から王都が落とされたとして王が辺境伯の領地へと逃げ込み新たな軍を立ち上げる事もできる。

 また王都軍、辺境伯軍と二つ持つことに国の部力を上げ、他国の防衛を上げることもできる。

 とある国では辺境伯を国の四方に固め、東西南北の守りを堅固としたそうだ。

 ならばこの国、セレナーデ王国もそうすればと思うだろうが、安安と辺境伯を増やすことはできない。

 軍をもたせると言う事は、その者にそれだけの信頼が必要なのだから。

 王も寝首をかかれてはたまったものではない。と言うかマトラストの他にも、辺境伯は既に居るのだから。

 伯爵から辺境伯へとなれば、国からの援助金は大きく増える。

 これも例えだが、伯爵が毎年として1000万の資金が送られたとしよう。

 それが辺境伯となれば毎年5000万と大きく資金が渡されることになる。

 しかし、それは軍を持つ辺境伯での金額。

 まだ軍も領地も整えていないダニエルには、辺境伯となっても3000万しか送られることはない。

 それでもダニエルは確実に今までの3倍の資金が送られる事が約束されるのだ。

 問題だらけの厳しい土地を受け取る代わりとしては見返りが少なく感じる者も居るだろうが、目先の金を見せられては増えたと思う者が大半である。


 土地大臣から詳しい説明を受ければ、ダニエルの不安とする気持ちも少しは落ち着きを取り戻したのか、滲む汗が少し落ち着いてきたと思ったその時だった。

 この場にはやはりこの提案に噛み付く阿呆……失礼。面倒な人物も居たようだ。


「お待ち下され!」


 その声を出したのはダニエルと同様の伯爵を持つ者達。

 その者中に居る代表者。名をコーン伯爵としておこう。

 そのコーン伯爵は伯爵と言っても土地をほとんど持たぬ者だが、彼は王に意見できるような宮中伯である。

 地位としてどちらが高いと言われたら宮中伯の方が低いよ。


「大臣様、何故に武勲を上げておらぬ者が陞爵となるのでしょうか!? 失礼ながら、フロールス家の者は一戦を交えた事もない貴族家ですぞ! その様な者に辺境伯など恐れ多い。陞爵とは領地と共に分け与える品物でもありますまい」


 コーンの発言に頷きを見せる者も居るが、残りは疑問符を浮かべてしまう。

 確かに貴族の働きは戦ってなんぼの場面もあるが、彼は勘違いしている。


「さもありますまい。ですが、実はフロールス家からは国の利となる報告を受けております。これは貴方方にも損無き事実故に聞き入れる事をおすすめ致しますぞ」


「報告とは……」

 

 土地大臣が近くに控える人へと軽く手を振る。

 すると部屋の外から入ってきた数名の魔術士。

 彼らは各自桶を二つ手に持ちその場で待機。

 何だなんだと貴族の注目を集めると、土地大臣が声をかける。

 

「……始めなさい」


「はっ!」


 魔術士の彼らは事前に言われた通り、一つの桶に魔術で水を出す。

 それは濁った水もあれば雨水の様に白く濁った物様々。

 続けて兵士の一人がガラス瓶に入った水差しを用意する。

 受け皿も透明であり、兵士は魔術士の前で水差しから受け皿へと静かに水を流し始める。

 そしてそれを見ている状態で魔術士達はまた水魔法を発動。

 するとどうだ。彼らが先に出した水と比較にならない程の透明感のある水が彼らの手から溢れ出る。

 彼らもこの結果に驚きつつ、桶の中に入った水へと視線が向けられる。


 そう、これは以前ミツがダニエルへと教えた水の浄化方法である。

 浄化と言っても、元々水を出す本人のイメージが強く影響する為に水魔法は飲水としては使用できないと言われていた。

 その場にはカルテット国のセルフィも居たので、既にカルテット国にも水の浄化方法は伝えられている。

 

 目の前で行われた事に目を見開く貴族達。

 それはそうだ。

 水と言う物は生き物に取っては生きる上で必要な物であり、欠かせない品物である。

 しかし、水の運搬にはとても大変であり、確保するのも実は大変な品物。

 川があればそこから継いで飲めば良いと思うだろうが、井戸の湧き水ならともかく、川の水を飲む事は大変リスクを背負うことになる。

 それは川の水には目に見えない動物の糞や、モンスターの血や汚れが流れている事が大半である。

 勿論煮沸消毒すれば飲めない事もないが、樽いっぱいの水を確保するのには、どれだけの時間と薪が必要となるだろう。

 貴族の彼らこそ、水の貴重性を知らぬ者は居ない。

 水魔法を使える魔術士がいれば、行軍時に今までの様に馬車数台分と水を運ばなくて済むのだから。


「「「「「!!!」」」」」


 コップを手にした兵士の数名が魔術士の出した桶の水を掬い、それを彼らの前でゴクリと飲む。

 咳き込むこともなく、彼らは問題ないと土地大臣へと頷きを返した。


「ば、莫迦な!?」


「うむ。ご覧の通り、皆様ご存知の方もいらっしゃるかと思われますが、この者達は城に仕える魔術士。彼らの出す水魔法は飲水として使用できる品ではございませんでした。しかし、今は見ておわかり頂ける程に透明度を出しております。これが今回ダニエル殿がもたらした国への利です」


 その言葉にコーン伯爵達は席から立ち上がり、魔術士達の方へと駆け寄る。


「な、何か隠した魔導具を使用しているのでは無いのですか!?」


「確かに!? 先程見せた品がそうなのでしょう!?」


「いえ、これはただの水を入れた水差しにございます。確認していただいてもらっても結構ですぞ」


「まさか……」


「こちらに中身を移し替えてみましょうぞ」


 マジシャンのタネ探しをする様にコーン達は兵士の持つ水差しから魔術士の使った水桶、魔術士本人の体を調べ始める。

 流石に女性魔術士を触ろうとした者には冷ややかな視線と土地大臣の咳払いが飛んでいたね。


「さて、この様に飲める水を国へと齎したダニエル殿に功績が無いと思われる方は、どうぞこの場にて意義を。我々がその言葉を受けたまりましょう」


「「「……」」」


「改めて告げる事ではございませんが、もう一度この場にてハッキリと告げておきます。皆様の貴族としての地位は、この国を支えとして与えられた物にございます。陞爵の条件が戦いでの武勲のみと勘違いならぬ事。その様な野蛮な考えのみでは国は滅びますぞ」


「……お言葉、恐れ入ります」


「勿論この話のみでダニエル殿の陞爵とはなりません。皆様もご存知でしょうが、旅人であるにも他国との絆を結びし人格者。我が国へと足を踏み入れたカノ者の存在を」


「「「……」」」


 土地大臣の言葉に、前日に鳥型魔導具の映像で見せられた黒髪の少年の姿が彼らの脳内に映し出される。

 それでもコーンは諦めない。

 コンロの油汚れぐらいにしつこい奴だなと、彼を見る周りの視線が冷たくなっていることも知らずに。


「しかしながら! その者はまだ国への忠義を見せておりません! お言葉ながら大臣様の判断は早計にございませぬか!?」


 コーンの発言にピクリと眉を動かす土地大臣。

 しかし、彼の言うことも間違いないと、大臣の視線はダニエルへと向けられる。


「ダニエル殿。この場で貴殿の言葉を頂きたい。あの異様な少年。先日アルミナランク冒険者となった彼を、貴殿は何処まで信じれるか」


「はい……。お答えいたします」


 ダニエルの発言は如何なる物であったか。

 それは彼が王の前に膝をおり、伯爵から辺境伯としての叙爵を受けた時明らかとなる。

 

 神殿を後にしたミツ。

 明日はゲートを使用してライアングルの街へと戻る予定としてるので、今は数日ぶりに帰る教会の子供たちへとお土産のお菓子を買いに街をブラブラ。

 やはり王都となれば商店街も長く、商人の活気溢れた熱が思わず彼の財布の紐がゆるくなる。

 

「どうだい、王都名産のパンだよ。中までシッカリと焼かれてるからね。冒険者にも人気のパンだよ」


「じゃ、その大っきい奴を10本、小さいのを20個下さい」


「おっ! そんなに買ってくれるのかい。まいどだよ!」


「冒険者さん、こっちも見てらっしゃいよ! ほら、これだけの香辛料を集めたお店は他には無いわよ」


 パン屋のおじさんが購入したパンを袋に詰めてくれる間と、向かいの香辛料のお店のおばさんが声をかけてくる。


「へー。沢山ありますね。えーっとこの列は……ターメリック、シナモン、カルダモン、コリアンダー、サフラン、ガラムマサラ……。何だかカレーが食いたくなってきた……。と言うか海に面していない国で、如何やってこれ程の香辛料を集めたのか……」


「どうだい。虫除けにも仕えるこの品はね、これとこれを合わせて湯に溶かして飲む事もできるよ」


 おばさんのおすすめはマサラチャイに似た作り方であった。

 最後にミルクを入れれば子供でも飲めるかもしれない。いや、あれはクセが強いので好みが別れるかもしれないな。


「んー。じゃ、全部下さい」


 珍しい香辛料もあったのか、彼は店にある小さな壺に入った香辛料を全て購入することを告げる。


「まいど! えっ……!? ぜ、全部?」


「はい。折角なので色々と料理にも試したいので」


「こ、これを全部となると、かなりの金になるよ……」


「おいくらですか?」


 こんなお客は初めてなのか、ミツの発言は茶化している客と思われたのだろう。

 おばさんからはかなり訝しげな視線が向けられた。

 だがミツが懐に持っていた麻袋の中身の金貨を数枚束で摘み見せると、直ぐにおばさんは目の色が変わった。


「……あ、ちょ、ちょっとお待ちよ! これとこれが同じ料金で……これが銀貨一枚で……」


 おばさんは壺の裏に入れている香辛料の金額を書いていたのか、それを見ながらせっせと計算をしていく。

 並べられた壺の大きさは2~3キロが数点、大きいものでも10キロが3つ。

 

 それを計算し終わったのか、おばさんは恐る恐ると計算した数値を述べる。


「全部で金貨12と銀貨1枚と銅貨8枚になるけど、本気かい?」


「それじゃ、支払いはこれでお願いします」


「!? ま、まいど」


 言われた金額分のお金を麻袋から取り出しおばさんの手に落とさないように手渡す。

 元々香辛料は安いものばかりだったのか、思った程に高い買い物にはならなかった。

 店の商品が全部売れた事に上機嫌なおばさん。商品を渡す際、おばさんが運ぶなら手伝うと気持ち的に言ってくれたがそれは丁寧に断った。

 ミツが壺の一つを取り、中身だけをアイテムボックスへと収納。

 ザラザラと音を出しながらミツは店の香辛料を全てアイテムボックスへと入れてしまう。

 その光景を見ていた周りの店の人々。

 次はうちを見ておくれと招く声が続く。


「お、お客さん!」こっちも見て行っておくれよ!


「いや、こっちが先に!」


「私の所も!」


「あー、はい。欲しい物があれば購入させていただきます」


 彼を呼び込む店の人々。

 絨毯屋、鞄屋、靴屋、服屋、壺屋、食器屋、家具屋、寝具屋、美術屋、八百屋、肉屋、茶屋、串焼き屋、菓子屋、米屋、あれやこれやと。

 その場はまるで石油王でも来たのかと思わせる賑わいである。

 その後ミツが寄ったのは靴屋と茶屋と菓子屋。

 靴は子供たちへの分。茶屋のお茶はエベラ達へのお土産として。

 菓子屋は元々行く予定もあったのでそこでも彼は店の半分の菓子を買い占める爆買いを周囲に見せた。

 そして、今回ミツが一番興味を持ったお店。

 それは種屋であった。

 種屋と言ってもそれを飲めばミツの攻撃力や素早さが上がるという事はなく、ただ単に普通の植物の種だ。

 食べ物ならば自身のアイテムボックスから出せばと思うだろうが、彼の出せる食べ物は前世で自身が口にした物や、見た事のある品限定である。

 この世界には大根に似たシロガネや、唐辛子に似たカラ実があるが、似ているだけで本物ではない。

 フロールス家の畑にて豊穣神の加護の効果を検証後、ミツは他にも試してみようと加護の検証心に火がついていた。

 彼が購入した種の種類は以下の通り。

 分かりやすいように日本の食材の名前で表記。

 米、大豆、ジャガイモ、南瓜、人参、玉葱、茄子、ピーマン、生姜、キャベツ、白菜、トマト、きゅうり、青野菜諸々。

 ここからはミツが知らない野菜ばかり。

 これも日本での名前として表記します。

 キワーノ、アイスプラント、ロマネスコ、グラパラリーフ、カステルフランコ、チェコリー、チェリモヤ、ミラクルフルーツ、グラスジェムコーン、その他諸々。

 この店の種の種類だけでも何十もあった。

 全ての種類を買い取ったミツはホクホク状態。

 勿論種屋の店主はもっとホクホクであろう。

 育て方の注意点などを聞いた後、彼は一度ライアングルの街へと帰ることにした。

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