第34話 まだ談話室かよ

 ごきげんいかがですか?


 お誕生日、ありがとうございます。ハッピーバースデー トゥー ミー。

 こんなにたくさんの人々がいる世の中で、自分しか自分を祝う人がいないなんて、こんなに昔から考えていた世界を現実に構築できるなどとは思ってもみていなかったので、とても微妙な心持ちです。ええ、まあ、だいたい予測を立てることは容易だと思うのですが、自分のパーソナルデータを正確にネット上に晒すのは、あまりにも危機管理能力が欠如している『愚か者』行為であり、ショーケンがまさに『愚か者』を枕元で歌ってくれているようなものですのでね。もちろんマッチさんのバージョンではいけませんよ。

「亡くなって初めてわかるショーケンの存在感」川柳にもなっていませんが、彼の持つ独特の雰囲気というかオーラはすごいですね。そろそろ『いだてん』で最後の姿に会えると思うと、視聴をやめられませんね。第二部の、主役が阿部サダヲになったところがやめ時ですが、わたしは、彼がまだごく無名の頃に『踊る大捜査線』で妹の仇を取ろうと狙っている兄みたいな端役でゲスト出演していた時からなんとなく気になっていて、のちに『舞妓Haaaan!!!』というコメディー映画としてはかつての植木等先生の『無責任男シリーズ』を彷彿、いや奇想天外かつ破茶滅茶ぶりは突き抜けている大傑作だと思っているほど、彼が好きですね。『大人計画』所属の俳優たちの芸達者ぶりは松尾スズキの力が大きいのでしょうか? 単純に梁山泊のごとく運命のいたずらにより、たまたま才能あるものたちが集結しただけなのでしょうか? 不思議ですね。


 わたしがテレビをほとんど観なくなってしまい、深夜の番組のみ、録画をして翌日以降の昼間にゆっくり観ることはすでに述べた気もするのですが、深夜のバラエティーと言ってもそのほとんどマツコ・デラックスか有吉弘行の出ているものですねえ。最近『全力! 脱力タイムズ』という二人が出演しない番組を観出しましたが。さて、二人が共演する『マツコ&有吉 かりそめ天国!』などは二人の真剣なのかジョークなのかが微妙なトークだけでもいいのではないかと思っていたのです。そうしましたら、先週の放送でそれが現実化してしまい驚きました。でも、それはそれで後半精神的にキツくなりましたので、その他の、一見くだらなく思える企画ものも本当は必要なのだと感じました。

 ところがこのお二人、ゴールデンやプライムタイムの番組で観ても、全然面白くありません。深夜枠という、規制が若干緩む時間帯でないと持ち味がでないのですかね?


 もう、テレビ時評でつき通しましょう。今季観ているテレビドラマは『いだてん』と『俺のスカート、どこ行った?』の二つだけで、わたしにしては少ないのですが、二つともたいへん面白いです。『いだてん』については再三再四その面白さを訴えておりますが、視聴率が悪いのは大河ドラマの主たる視聴者である高齢者には、あの展開の速さと語り部である古今亭志ん生師匠の役目が森山未來とビートたけし師匠にコロコロ変わるという趣向に半ば石灰化した脳みそが追いつかないことに尽きると思い至りました。『水戸黄門』や『暴れん坊将軍』のような予定調和で変化に乏しいドラマばかり観ていた方々には宮藤官九郎の脚本は別言語で作られた映像に感じられるのでしょう。それはもう覆られません。このドラマは後世に評価が変わるかもしれません。

 古田新太のドラマは当初、キワモノおよびドタバタコメディーかと思いましたが主人公原田のぶおは設定こそゲイ・女装・すぐ取れちゃうカツラ・教員免許なしといった諸処の設定こそ奇抜ですが、彼が生徒や同僚に発する言葉は至極真っ当かつ視聴者をハッとさせるものがあり、さらに実際には描かれてはいない彼のバックボーンの奥深さが想像出来る穏やか、かつ冷静な話し振り。脚本家のお名前は未知の方ですがとてもいいストーリーで古田新太の好演技が相まって、ある意味『3年B組 金八先生』より良い教師、良い教育ドラマなのではないかと思ってしまいます。なにせ、坂本金八というキャクターはもともと自分自身もまだ若く、試行錯誤や自己の未熟さに対する葛藤を内面でしていたのに対し、原田のぶおはすでに確固たる自分のポリシーが完成されている、深い内面を保持しているので全く言動が揺るぎないのです。まあ、毎回安物のカツラが脱げるなどの軽いギャグがありますけれど。昨日の放送では裏のテレビ朝日で『白い巨塔』をやっていたのを意識したと思われるような、登場する医師の苗字が「財前」というわかる人がどれくらいいるのか微妙なギャグとかを入れていて笑えました。


 あとですね、テレビ朝日の一連の警察関連系のドラマですね。これらがウケてるのって、先ほどの『水戸黄門』同様、完全無欠の勧善懲悪の予定調和、マンネリの底力ですよね。日本人はトリッキーなものに弱いのですね。脳みその柔軟性がないのでしょう。わたしは米倉涼子主演のものしかテレビ朝日のドラマを見ません。これも、もちろんマンネリ系ですけどなにか? テレビ朝日なんて、元を正せば教育番組しか作れないテレビ局だったのですから、ドラマの経験値などわたしの人生より少ないのですよ。決して傲ることなかれ。常に挑戦者たれと申し上げたいです。

 ではごきげんよう。また勉強して来ます。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る