第2話 悪役考

 ごきげんいかがですか?


 まずはお断りを。わたしの文章内では基本的に人名に敬称をつけません。理由は語感が悪いからです。織田信長や徳川家康に「さん」はつけないでしょう? それと同じです。ただし、わたしが特別な思いを抱いている方には敬称をつけます。「語感」なんてどうでもいいんです。矛盾してますか? 別に構いません。


 ええと、本題に入る前に、マクラを入れさせて貰います。実は、わたしの養父が萬願亭道楽という噺家なんです。その養父が「いきなり本題に入るなんて粋じゃない。マクラで客席を温めなきゃ」と言うのです。なので養父には逆らえませんから、時事ネタを。


 丸山穂高という大バカが、いかにもバカらしくバカな発言をしましたが、この件は単なるバカの愚行と言って笑えません。わたしは思うのです。これは国の根幹に関わる重大事件です。この国会議員の座に居直るバカは、厳密にいえば、日本国憲法、第九条に違反しているのではないか? ということです。まず、他の国会議員はバカを罷免してください。次に、元島民の皆さん、特に大塚小弥太団長はバカに精神的苦痛を与えられたと、集団で民事訴訟を起こしてください。とにかく、この手の勘違いバカは、ゴキブリ同様、見つけたら即、駆逐するべきです。

 国会議員であるべきはバカではなく、毅然と戦争の愚を主張した大塚小弥太団長ではないでしょうか。でも、ご高齢なんです。残念ですね。


 さて、本題です。

 わたしは個人的に心配をしている俳優がいます。遠藤憲一です。わたしが彼を初めて観たのは、大河ドラマ『北条時宗』の冒頭で、北条得宗家に叛逆をした北条の非得宗家の大将役でした。彼のあまりに強烈な迫力と鋭い目に感動し「この人は悪役スターになる」と思いました。しかし、その後、彼の姿を観ませんでした。

 それからだいぶ経ってから、わたしは米倉涼子主演『ドクターX』第三シリーズを観ました。知り合いが面白いと勧めて来たからです。すると、なんと遠藤憲一が海老原外科部長という役で出ていました。彼の役柄は権力者の院長にぶら下がる小悪党でコミカルな道化でした。多くの人は彼の演技の幅が広がったと思うでしょう。しかし、わたしは「この、遠藤憲一は遠藤憲一じゃない」と感じたのです。その後、彼は破竹の勢いでスターダムをのし上がり、もはや、悪役ではありません。皆さんは彼に好感を持って応援しているでしょう。しかし、わたしは日本映画・ドラマ界は貴重な悪役スターを失ったと思います。


 悪がなければ善は存在し得ない。当たり前の定義です。映画・ドラマでいえば悪役が光らなければ、主役も光らないということでしょう。

 昔は悪役が輝いていました。主役を食う悪役もいました。今は悪役スターと呼べる人はいませんね。よい役もやれば、悪役もやるという感じです。

 過去の悪役スターはあまたいますが、お時間も少ないので、今回は一人に絞りましょう。もし、続きが出来たら他の方のこともお話ししたいです。

 成田三樹夫。若くして亡くなった名悪役です。お顔は二枚目だけど、どこか神経質な印象です。演技で特筆すべきは、その変幻自在さ。重厚な悪役もやれば、奇矯でコミカルな悪役も出来ました。わたしの記憶の範囲では前者は『江戸を斬る 梓右近隠密帳』の由井正雪や『江戸を斬るⅢ』の火盗改方長官・脇坂重蔵、後者は伝説的なドラマ『探偵物語』の服部刑事ですね。本当に個性的で印象深い俳優でした。余談ですが『探偵物語』で、成田三樹夫の部下、松本刑事を演じた山西道広が、のちに『あぶない刑事』で刑事たちのリーダー格“パパ”こと吉井刑事を演じているのが感慨深いですね。今は丹沢の方で飲食店を開いているとかいないとか。


 結論として、悪役が光る映画・ドラマは面白いです。憎らしければ憎らしいほどいい。思えば大河ドラマ『いだてん』には悪役がいません。みんないい人です。あえていえば、大竹しのぶかな? これでは『水戸黄門』的な勧善懲悪、主たる視聴者層で、お約束が好きな御年寄り方は、定番・安定感がなくてそっぽを向いてしまいます。若者はそもそも、テレビを見ませんから。そういうところを考えるべきですよ。NHKさん!

 ごきげんよう。また勉強して来ます。

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