第5話 心からの一言
奥方から『その後の話』を伺ったお坊様は、〈だからあんなに明るかったのか〉と腑に落ち、感謝の念仏をお称えしながら家路についた、というわけである。
「お母さん」という言葉はたった一言だが、実母でない者に対しては、よほど心が通い合っていない限り容易に出てくる言葉ではない。それが出てきたということは、『継母を受け入れることができた』という証でもある。だから嬉しくなって、思わず息子を抱きしめてしまったのだ。特にこの子の場合は、これまで何かにつけて反抗的だったので、「お母さん」と呼んでもらえただけでとても嬉しかったのである。
お念仏もこれと同じで、阿弥陀さまを慕って心から「南無阿弥陀仏」とお称えするなら、阿弥陀さまはとてもお喜びになられるのである。
たった一言の嬉しさ @konjikinokumo
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