第6話
安西さんと私は、休みの日にカフェに行く約束をしていた。
安西さんは、私より少し年上の優しいお姉さん。
大人の女性だ。
いいなぁ、憧れる。
素敵な人だなぁ。
ここは、最近できた新しいカフェ。
クロワッサンが有名で若い人も集まってきている。
新しいお店は、田舎には珍しいくらいの人が集まっている。
白を基調としたオシャレなカフェだ。
「ここのクロワッサン、本当に美味しいね!」
「はい!とても!」
突然、安西さんが質問をしてきた。
「 なつみちゃんてさ……彼氏いるの?」
「 いないです 」
「 そうなんだ!私は彼氏いるんだー!でもその彼が最近冷たくて 」
「 そうなんですね 」
マンネリ?しちゃってるのかな?
こんなに大人で素敵な人なのに悩みがあるんだなぁ。
相手の人もきっと素敵な人なんだろう。
安西さんが、何枚かの写真を差し出してきた。
「 最近、彼氏がさ、写真撮ってくるの。木の写真ばっかりでさ 」
「木の写真ですか?」
木の写真……。
なんだかずいぶん、冷たい言い方に聞こえた。
興味がなさそうな雰囲気。
「 花が咲いてる時みたけど、たぶん桜の木だとおもうんだー!」
見覚えのある桜の木のような感じがしていた。
でも私は知らないふりをしてしまう。
「 写真好きな人なんですね!」
「 そうなのー。困っちゃう!私があげたハンカチも無くすし 」
どんなハンカチだったのか聞いてみたところ。
あの……ハンカチ……?
もしかして……。
なんとなくピンときていた。
でもそんな偶然て……あるのかな。
偶然すぎて少し怖かった。
安西さんの彼氏さん。
あのハンカチの事だとしたら、やっぱり落し物だったんだ。
持って帰って、洗ってしまった。
でも返さなきゃ……。
どうしよう。
でも安西さんに渡したら、きっと
へんに思われるよね?
私はどうしたらいいかわからなくて、伝えることすら出来ない。
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