第12話 魔王と呼ばれる転生者4

 俺は彼女に全てを話した。レジスタンスが革命を起こそうとしていることも、レジスタンス組織をまとめている男がこの国の騎士団の第二隊長で今回のクーデターも先王を殺して今の魔族差別の現状を作り、この国を悪くした王に対して訴えかけることそれから、俺自身のことも俺がレジスタンスの人たちに対してどう思っているのかも、不思議と彼女になら話してもいいと思ってしまったのだ。

 

 彼女は話を聞いた後、そう…彼がそんなことを…と呟いていたのを俺は聞き逃さなかった。


「君はカスケードの身内か何かなのか?」


 俺は軽く彼女のことを聞いてみる。


「いいえ私はこの国の第一王女であなた達からしたら、打倒すべき憎き王族と言ったところかしら」


 いきなりとんでもないことを言い出した彼女に面食らっていると彼女が悲しげに俺に喋りかけてきた。


「あなたが私は何者か知りたかったから教えたのに信じられないみたいだね。でもいきなり私が王女であなた達の敵だって言ったらそうなるか…ここで私たちはお別れね。」


「いや、待ってくれ真相を知ってお互いの秘密を知ってお別れはいくらなんでも無理があるだろそもそも、君はこの国の上が君の父親が悪いと思っている。そして君はそんな状況をなんとかしたいと思っているから1人で城を抜け出して庶民の生活から調べてレジスタンスまで辿り着いたのだろう? そんな君に俺は力を貸したい。」


 なんとかメリシアともう少し話がしたくて、俺は言葉を必死に考えて言った。


「あなたに何が出来るの? 私を捕まえて人質にでもしてお父様を脅す? それくらいじゃお父様は止まらないわよ」


「そんなことをするつもりはない。革命が起こる時まで組織について静観するつもりだったけどメリシアが王女だと聞いて気が変わった君が成そうとしていることを手伝いたい。」


「革命は失敗するわ確実にそして強固な国が出来上がる。何故なら、アルビはあなた達組織を売ってお父様のご機嫌を取ろうとしてるからね。だから私と一部の信用出来る兵士と周辺の貴族が前線で兵士として使われている兵士の一部を部隊に入れて連れて来てくれるわ。それらを使って、茶番劇が始まる時に、この国にある過去に国に逆らったりして捕まった魔族を収容している施設を強襲して魔族達を解放してその魔族達と共にお父様を打倒するわ」

「そうか…予想は出来ていたけど、アルビがレジスタンスを売るというのは本当なのか? それに魔族達はみんな徴兵されて最前線に送られていると聞いたが、彼らを収容している施設があるなんて聞いたことないぞ」


「本当よアルビがお父様に報告しているのを見て聞いているし、魔族達は兵士達に拷問されていたり、実験に利用されている者がいるわ」


「俺に考えがある。もちろんメリシア君の力も借りたい」


 俺は彼女を信じて作戦を提案し、話し合った別れ際にメリシアは俺を呼び止めてこう言った。


「忘れていたわ私の本当の名前はメイリーシアンタ・マグルよ。よろしくねライゼル!」


 こうして俺は革命が起きるその日まで彼女に提案した作戦の仕掛けを仕事の合間に行なっていった。3週間が経ち遂にその日がやってきたのであった。

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