第11話 魔王と呼ばれる転生者3

 俺が最初に参加した集会から一週間が経ち、俺は変わらず商業ギルドで仕事をしていた。

 早くに積荷の整理が終わり、仕事がなくなったので早上がりして、王都を散策していると路地裏で男女が揉めていた。


 明らかに女が男に因縁をつけられている感じだったので間に入った。


「失礼女性をこんな路地裏で恫喝しているなんて明らかに普通ではない様子だが一体どうしたのですか?」

「この男が私にぶつかられて装飾品を壊されたといきなり突っかかってきたのです」

「違う!これをみろ俺が買った宝石がこいつにぶつかられて落ちたせいで欠けてしまったんだだから弁償しろって言ってんだよ」

「まず、その宝石偽物じゃないですかなんの価値もない石ころにいくらの価値があるので?」

「はあ?何言ってんだてめえこれは正真正銘ライトプライムだ!」

「俺は商業ギルドで働いているから本物を見たことあるし、鑑定のスキルでそれを見たが石ころと結果は出ているが?」

「もういい!衛兵に言いつけてやる!」


 そう言って男は人混みに紛れて消えていったのを確認した後声がかかる。


「ありがとう助かったよ」

「いえ何も無くて良かったですここはあなたみたいに明らか場慣れしていない女性が1人で歩く場所ではないですよ」

「やっぱり私普通じゃないかな頑張ってそれっぽくしてみたんだけど」

「うーんまあ服装も見た目も綺麗ですからね」


 彼女の見た目を改めてみると、エメラルドグリーンの瞳にフードに隠れているが綺麗なシルバーの髪がキラキラ日の明かりに反射していた。彼女は明らかにこの場に不釣り合いで彼女には何かがあると考えていたら声がかかる。


「ねえ、あなたこの後時間があるなら、今から服屋で普通の格好を見繕いたいから案内してよあなたも私の奢りで何か服を買って良いからさ」

「別に服はいらないですけど、まあそれぐらいなら君がまた絡まれるかもしれないしね」

「ありがとう!私はメリシアあなたは何て言うの?」

「俺はライゼルよろしくメリシア」


  軽く自己紹介した後、服屋に案内した。出迎えた店員が話を聞いて張り切ってメリシアにお似合いの服を見繕ってくれた。それを見ていた俺にも店員がやってきて彼女さんにカッコいい格好見せたくありませんか?と言って俺をコーディネートしようと来たので、あくまで彼女の付き添いなんでとお断りをした。

 服屋を出て店員に選んでもらった服を着ていたが、本人の素材の良さを活かした格好をしているため、すれ違う人は皆二度見をしている。隣を歩く俺は居心地が悪かった。モデルさんみたいだなと何処からか声も聞こえた。


「今日はありがとう!ライゼルあなたは普段からこの辺りでお店をみたりしているのかしら」

「まあ、仕事が終わったらよく市場だったりこの辺の通りを見て回ってるかな散策するのが趣味なんだ。」

「やっぱりあなたさっきから私と話しながら通りに並ぶ店の品物に目がいっていたもの今度この辺りのお店を見て周りたいから教えてよ」

「すれ違う人から好奇の目で見られるのはもう勘弁だそもそもどうして俺に案内役を?」

「だってあなたこの王都のお店や行き交う人々を通してこの国を見ているのでしょう?私と同じように」

「それってどういう事だ?」

「それは次回があったら教えてあげるまた会いましょうライゼル!」


 そう言ってメリシアは王都の奥へと走り去った。

 

 俺は彼女が去った後、彼女はどうして俺が王都のことをこの国のことを知ろうとしていることが分かったのか、それと最後に彼女が言った私と同じようにという言葉…俺は彼女が俺と同じような境遇なのかどうかは分からないがレジスタンスみたいに何かことを為そうとする覚悟を決めた目をしていらように見えた。


 ま、そんなわけないかと軽く流して俺は翌日から変わらない生活を送っていた。

 

 レジスタンスの会合にはあれから一回参加したが、組織の方向が現実世界のうさんくさい宗教のような感じに向かっていた。革命の時は近いとか臭い台詞を吐いて、組織の人々をまとめ上げようとするカスケードはやっぱり信用ならないのだろうと、俺は思ったが俺をこの会合に誘ったアルビはカスケードのことを信じて止まない様子だった。俺が忠告をしても一切聞かないだろうと諦めて俺はこの組織から距離を取ったが、アルビが心配なのでたまに会合について行くことを決めた。

 

 ある日、俺は商業ギルドで積荷の整理をしていたら、メリシアがやってきた。俺を見つけるなり、こっちに近づいてきてお仕事が終わったらここに来てと紙を渡された。仕事が終わって俺は紙に書いてあった場所中央広場の噴水に行った。彼女はベンチのような長椅子に座って本を読んでいた。


「こんにちはメリシア待たせたかな」

「大分待ったけど、私がいきなりやってきて約束を取りつけたんだから気にしていないわそれよりこの後時間はある?」

「あるけどどうしたのまた何処か案内してほしいのか?」

「今日は案内じゃなくて聞きたいことがあるの…この国のレジスタンス組織の噂を聞いたんだけど、あなたなら何か知っているんじゃないかと思ってね」


 彼女からいきなりとんでもないことを聞かれてしまったが、しらばっくれるかそれとも誤魔化すべきなのか少しの沈黙の後俺は彼女の質問に答えた。

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