第9話 魔王と呼ばれる転生者 1

 私の名前は泡秦友博27歳営業の仕事をしながらマンションに彼女と2人で暮らしていた。

 裕福というわけではないが、普通の暮らしをして彼女との結婚を考えていたが、ある日の営業の帰り、俺は会社の車を運転していたら、高校生の青年が赤信号を無視して道路に出てきた。


 咄嗟にブレーキを踏んだが、間に合わず俺は彼を轢いてしまい運の悪いことに頭を強く打って亡くなってしまった。


 現場の証言やドライブレコーダーの映像から、俺がわざとだったり不注意で彼を轢き殺した訳ではないことが証明されたが、俺が自責の念で自殺しないように逮捕され警察のお世話になった。


 そこから俺の人生は大きく変わってしまうことになる。


 俺は釈放され久しぶりに彼女と住んでいる家に帰った。


 ポストには大量の紙が入っており、犯罪者と書かれていたりこのマンションから出て行けと書かれていた。


 部屋に戻るとすごく綺麗で人が住んでいない状態になっており俺は薄々そうではないかと思っていたが、机の上に置いてある手紙を見つけて確信に変わった。


 彼女は俺が悪いわけではないと信じて待っていたが、家にずっとかかってくる電話やマスコミの訪問ポストに入っている数々の罵倒が書かれた紙や剃刀が仕込まれた手紙そう言った他人からの執拗な嫌がらせで心が限界を迎えてしまいごめんなさいあなたと別れて実家に帰りますと手紙には書いてあった。


 彼女がいなくなってその後すぐに家族から電話が来て出て開口一番お前はなんてことをしたんだと責められお前はもう私たち家族に関わるなと絶縁を言い渡された。


 俺を責めるお袋の恨み辛みを聞いていたら分かったことだが、近所からは犯罪者の親と呼ばれマスコミに連日取材され心身ともに限界を迎えていたみたいだ。


 その後会社からも連絡が来て君が悪くないことは分かっているが、他の取引先などからは印象が大分悪くなってしまったその責任として首を言い渡された。


 当然の結果であろうどれも俺が犯した罪への罰だ。


 俺はすぐに引っ越しをして前に住んでいたところから遠くの田舎の方へと移った。


 引っ越してから被害者の遺族の方に送った事故を起こした後に謝罪の手紙の返事をもらった。


 あなたが悪いわけではないのは頭では分かっているが、息子の顔をもう見れないと思うとあなたをどうしても許せなくなってしまうのでもう手紙などは送って来なくていい私たち家族に関わってこないでくれと書かれていた。


 俺はこの頃自殺を考えていたが、彼の命を奪った罪を彼を殺して生きている分最後まで生きなければならないと思い止まった。


 俺はコンビニの夜勤バイトと会社から渡された退職金を切り崩して生活をしていた。


 眠くても眠れずこれからどうすれば俺は罪を償えるのかとかどう生きていけばいいのかとか不安になり、考えても答えは出ず潰れるまで酒を飲んで気絶するように眠り、夜勤までの時間を無駄に過ごした。


 ある日、バイト先に俺のことを知ってしまった人が出てきてしまい俺はバイトを辞めてまた引っ越しをすることにした。


 前のアパートよりさらに安くボロボロのアパートに引っ越した俺は荷物を整理していたら意識を失った。

 目が覚めると何もない部屋に居て、目の前には人がいた。


「目が覚めたのですね初めまして私は転生案内人1ことファーストと申します。あなたはさっき地球での生涯を終えました。ここはあの世とこの世の狭間のような場所です」


突然転生案内人と名乗る若者に俺が死んであの世とこの世の狭間に来たのだと言う。


「あなたは彼の遺族か関係者か俺をここに攫った目的は俺への復讐か?」

「え?は?違いますけど混乱しているのも仕方ないですがよく聞いてくださいあなたは死んでしまいましたが、異世界に転生する資格があったのでここに呼ばれました。因みに私はあなたを害することはありませんし、出来ませんよ」


 そう言いながら俺の目の前まで来た案内人は俺の方へ手を伸ばしたが、伸びた手は俺の体を貫通していた。


「ご理解頂けましたか?ホログラムとかではありませんよそんなものを仕込んでいたら何かしらの機械とかありますよね」

「何で俺なんだ」

「あなたは前世で罪を犯してそのことをずっと後悔とどうしたらいいのか分からずただ日々を過ごしていた。前世では見つけられなかったことが異世界でなら見つかるかも知れませんよ」

「そもそも生まれ変わったからと言って俺の記憶は残っているのか本当に生まれ変われるのかも分からない」

「その点は心配しなくていいですよちゃんと自分が異世界に案内した人たちは前世の記憶を持ったまま転生しますし、それに案内人は自分だけではないのでもしかしたら彼も案内人に呼ばれているかも知れませんね」

「その言い方だといると言っているようなもんじゃないか、なら行くと答えるしかないだろう。彼に会って謝罪がしたい。許す許されないの問題ではないが、ちゃんと向き合ってまた人生を始める。」

「分かりました!では、軽く異世界とはどんな世界なのか、注意事項などを説明させていただきます。」


 案内人の説明を受けた後、俺は転生した。

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