第6話 転生して初めての進学

 あの後クラスで変化があった。同じグループのメンバーだった子たちと隣のシルビィさんと会話をするようになりそれからクラスの他の人も自己紹介から始まり皆と話すことができた。


 クラス替えも進学するまでないので5年間で本当にクラスの皆と仲良くなることが出来た。特に最初に友達になったロームとコズメルとは学校が終わってから遊んだりするぐらい仲良くなった。そんな初等部の学生生活も卒業式を迎えようとしていた。


「とうとう俺達も卒業か〜まあでもほとんどの人は中等部に進学だろ?他の学院の中等部に行く奴との別れは寂しいがその分中等部での新しい出会いが俺たちを待っている」

「なんだよコズメル変なこと言っちゃってまあ確かにお前の言うことも間違っちゃいないな僕も新しい校舎にある図書室は興味がある」

「お前達はブレねえなコズメルにローム別に慰めてくれなくても良いぞ」

「シルビィに振られちまったのは残念だけど中等部にはまた新しい良い女がいるって」

「おい馬鹿コズメル何お前あいつの地雷をストレートに踏み抜いてんだま、まあジェニスしばらくはショックだろうが出会いは沢山あるだろうから…その元気出せよ」

「はぁ…」

 

 そう俺は卒業式の1日前に告白をしたがシルビィさんに丁寧に断られてしまった。


「中等部に入るまでは立ち直るから今はそっとしていてくれ…」

「お、おう」

「ああ分かった」


 こうして俺は卒業式を迎えた。日本で言うと春休みの間にコズメルとロームが様子を見に俺の家までお菓子と紅茶を持ってきてくれた。


 気持ちを新たに中等部に入学して、新しい友達も出来たが、結局俺は彼女を作ることなく普通に卒業した。


 中等部の春休みに俺は家族に冒険者になりたいと自分の決意と共に伝えた。親と妹達は大反対だったが次期当主として領地の運営を少しずつするようになった兄がそこまで言うなら外の世界を見てこいただし、ちゃんと帰って来いよと言って賛成してくれたのである。そのおかげで渋々両親も賛成してくれた。


 俺は高等部に入学した。そこで運命の再会をする。


 同じクラスにシルビィさんがいたのだ。シルビィさんは可愛い系から美人へとクラスアップをしていて、人見知りな性格も改善したみたいでクラスの女子から囲まれていた。


 一方の俺は同じクラスになれたコズメルとロームと3人でクラスの端で授業の話とか放課後何をするとか話していた。高等部に入学した最初の頃は2人にすごくシルビィさんについての話をふられて困った。正直今のシルビィさんは学年でも上位5位以内の成績で他クラスの男子からも容姿も相まって人気で住んでいる世界が違うくらい昔と立場が変わってしまった。


 俺はというと学年でも中の上くらいで魔力や身体能力は相変わらず高いが模擬戦をすると負けることが増えた。能力を使えば攻撃が当たらず楽勝なのだが純粋な力で戦うと技術面で負ける。俺は高等部でそれを無くすためにミトリさんに剣術を教えて貰っていた。

  ある時ミトリさんは剣よりも他の武器の方が向いていると他の武器の使い手を呼ぼうとしたがその時わがままを言って剣術の指導を継続させて貰っている。


 高等部の選択授業で冒険者になるために必要なことを教えてくれる冒険術の授業を取って実際にライセンスをギルドで申請して作り、先生と同じ授業を選択している生徒と特別クエストを受けた。


 そこで俺は頭角を徐々に表し、先生からもお墨付きをもらって1人でクエストを受けられるようになり、ランクも最初はFから始まって3年生になった今は生徒の中で1番上のBランクまで上り詰めた。


 Bランクともなると普通に専業でやっている冒険者の中でもそこそこ実力が認められるくらいのランクである。

 因みにランクは上からSS、S、A、B、C、D、E、Fらしいのだが、まだAより上のランクの冒険者を見たことがない。


 俺が冒険者への道を目指している中、コズメルとロームはというとコズメルは実家の鍛治師を継ぐことが決まっておりこの国でも有名な鍛治ブランドの後継者のため鍛治師の修行と商人術の授業で経営者としての知識を叩き込んでいた。ロームの方は魔術をひたすら勉強して、魔法省へ入るためのテスト対策と実技の練習をしていた。


 ある日の放課後俺は授業の片付けを手伝ってくれと先生に言われ、帰るのが少し遅れてしまった。もう夕方でもう少しで夜になるくらいの時間だったので急いで教室に戻るとそこにシルビィさんが1人でいた。


 シルビィさんは生徒会の副会長もやってると聞いていたので色々あるのだろうと思ってさっさと鞄を取って帰ろうとしたらシルビィさんが俺の手を掴んで来た。


「話があるの」

「話?」

「ジェニスくんは高等部に入って誰か恋人とかはいますか?」

「いないし、今は作る気もないけどいきなりどうしたの?」

「私ね初等部の時からジェニスくんのことがずっと好きでした。でもジェニスくんに卒業式前日に告白されて私どうしたらいいか分からなくなってジェニスくんから逃げてしまった。そのことを中等部に入ってからも後悔してた…だから今までの内気な自分を変えてジェニスくんとまたお話するために機会を伺って今日やっとジェニスくんと2人きりで話せるチャンスがきたのそれでジェニスくん自分を振った挙句今更こんなことを言うのも失礼だと思うのですが私と恋人になっていただけませんか?」


 思考が止まった。俺は今告られてる?昔振られた初恋の女の子に?今でもまだ好きな女の子に?驚きの連続で止まっていた時間を動かそうと少しでもカッコつけようと言葉を発した。


「僕は最初高等部で再会した時、シルビィさんに対する思いはあの時と変わらなかった。でも僕シルビィさんに振られたし、失礼になると思って話しかけることも出来なかった弱い男だ。だけど僕から改めて言わせて欲しいシルビィさん僕と恋人になってほしい」

「はい」


 俺が告白した後、泣きながら笑顔ではいとシルビィさんは答えてくれた。俺たちは恋人になった。

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